Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ヤコブの労苦、または真実であるべき夢(Trabajos de Jacob. Sueños hay que verdad son, los )

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1620-1630年

種類:宗教劇

補足:旧約聖書の『創世記』にもとづいている。現存する草稿の扉ページに書かれたタイトルは「ヤコブの労苦」であるが、第二幕と第三幕の冒頭に書かれたタイトルは「真実であるべき夢」になっており、タイトルが統一されていない。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

*人名表記は、聖書に示されていないものについてはスペイン語の読みにならう。

 

 舞台は、エジプト人ポティファルの家の中である。ポティファルの妻ニセーラは、奴隷のヨセフから、彼の身の上話を聞く。

 

 ヨセフは語る。「私の父の名はヤコブ、母の名はラケルといいます。私は父が老齢になってから生まれた子どもだったので、父は私を特にかわいがりました。私は10人の兄たちからねたまれてしまったのですが、それは兄たちの前で私が、ユダヤ人の王になる夢を見たと語ったからでもあります。ある日、私はドタンという場所の近くで兄たちと出会いました。兄たちは、私を殺すつもりだったのですが、殺人という罪で手を汚すことを避けるために、私を生きたまま井戸に投げ込みました。その後、イシュマエル人の商人によって私はエジプトに連れてこられ、ポティファル様に奴隷として売られたのです」

 

 ニセーラは夫のポティファルが不在であることを利用して、ヨセフに恋心を告白する。しかしヨセフは主人のポティファルから絶大な信頼を受けているため、ニセーラの求愛を拒絶する。

 

 ニセーラは贈物でヨセフの気を引こうとしたり、罰を与えると告げてヨセフを脅そうとする。しかしヨセフは自分の神への信仰と、主人への敬意を理由にして彼女を再び拒む。するとニセーラはヨセフから強引に服を奪い取る。

 

 帰宅したポティファルは、ヨセフの服を手にしたニセーラを発見する。ニセーラは夫の怒りを恐れ、「ヨセフに凌辱されそうになったのです」と嘘をつく。ヨセフはポティファルの前に引き出されるが、身の潔白を証明することができず、投獄されてしまう。

 

 村人のバートは、羊飼いのリーダに求愛するが、リーダは彼を拒む。そこへヨセフの父のヤコブが現れる。ヤコブはバートの主人である。

 

 ヤコブは、息子のルベンイサカルの前で、ヨセフを失った悲しみを語る(ヤコブはヨセフが死んだと思っている)。リーダはヤコブに、彼の娘のディナがひとりの青年に凌辱された末、田舎へ引きこもったことを知らせる。ヤコブはさらなる悲しみに打ちひしがれる。

 

 ヤコブは末息子のベニヤミンを愛しているが、再び他の息子たちのねたみを招くことになるのではないかと恐れる。

 

 エジプトのメンフィスでは、ファラオ(王)が自分の見た夢を学者たちに解読させようとする。学者たちが難儀しているのを見て、酒つぎ係のアシリスは、「囚人のヨセフに夢を正しく解読してもらったことがあります」とファラオに告げる。

 

 ヨセフはファラオに呼び出される。ファラオは語る。「私は夢を見た。川のほとりで、太った7頭の牛が草を食べていた。すると痩せた7頭の牛が、その太った牛たちを食い尽くした。私は目を覚まし、再び眠りについた。すると今度は、よく実った7つの穂が、やせて乾いた7つの穂に飲み込まれている夢を見た。これらの夢を解読してほしい」

 

 ヨセフはファラオに答える。「7頭の太った牛と、よく実った7つの穂とは、これから7年間続く豊作を意味します。やせた牛とやせた穂は、その後に来る7年間の飢饉と苦難を意味します。ですから、飢饉が訪れたときに困らないよう、豊作の間に余剰分をしっかりと蓄えておけば、国が滅びることはないでしょう」

 

 ヨセフの言葉を聞いたファラオは感心し、彼の助言に従う。

 

 7年が経過する。バートは再びリーダに求愛し、再び拒絶される。リーダはベニヤミンに恋をしており、彼に気持ちを打ち明ける。しかしベニヤミンは彼女を拒絶する。その様子を見たバートは「ぼくの気持ちに応えてくれないのなら、今の出来事をヤコブ様に報告する」とリーダを脅す。

 

 ヤコブの住む土地は干ばつに見舞われていた。彼はエジプトでは穀物が豊かに実っているという話を聞く。ヤコブは小麦を買うために、ベニヤミンを除く息子たちを全員メンフィスへ行かせる。

 

 ヨセフは出世してエジプトの副王となり、結婚して二人の息子を得ていた。かつての主人ポティファルは、今はヨセフに仕え、善政を行う彼に尊敬の念を抱いていた。ニセーラもひそかにヨセフを見に行き、彼の威厳ある姿に驚きを示す。

 

 ヨセフは、今は自分の従者となっているポティファルに対しても謙虚な態度を崩さない。それを見たポティファルは、かつてニセーラがヨセフを告発した内容は偽りだったのだと確信する。

 

 困窮している人々が、ヨセフに嘆願にやってくる。その中にヨセフの10人の兄たちもいた。兄たちは、対面している人物がヨセフであることに気づかず、「私たちはカナンの地から小麦を買うために来ました」と告げる。彼らは、「私たちはヤコブの子どもです。兄弟のうちの一人は野獣に襲われて死にました。末っ子のベニヤミンは家にとどまり、父を慰めています」と言う。

 

 ヨセフは彼らが自分の兄であることに気づく。ヨセフは彼らの嘘をとがめ、彼らを投獄する。ヨセフは「おまえたちのうちの一人だけを自由にする。その者はベニヤミンをつれてきて、おまえたちの話が真実であることを証明させなければならない」と告げる。

 

 その後、フェニシアリセーノというエジプト人の夫婦がヨセフの前に来る。彼らには二人の息子がいたが、兄が弟を妬みから殺害し、投獄されている。リセーノは「息子を死刑にしてください」と嘆願し、フェニシアは「せめて息子のうち一人は助けてください」と嘆願する。ヨセフは「罰するのは神のみである」と言って彼らの息子を解放する。

 

 ヨセフは自分の行いを顧みて、兄たちを3日後に解放しようと決意する。彼はポティファルに「シメオン(兄たちの一人)だけを牢に残し、他の者たちにベニヤミンを探しに行かせるように。そして彼らの荷物入れの袋を金でいっぱいに満たしておくように」と命じる。

 

 ヨセフの兄たちは、バートをつれてカナンへ帰る。ベニヤミンに求愛することをあきらめたリーダは、ようやくバートを受け入れる。

 

 ベニヤミンは兄たちの話を聞き、メンフィスへ行く決意をする。ヤコブはしぶしぶそれを認める。

 

 ヨセフの兄たちはベニヤミンをつれてメンフィスへ戻る。彼らは袋の中に入っていた金をヨセフに返し、ベニヤミンを差し出してシメオンを解放してほしいと訴える。ヨセフはベニヤミンの顔に母親の面影を見て、思わず彼に駆け寄ろうとするが、自分の立場を考えて思いとどまる。

 

 ヨセフは兄弟を夕食に招く。しかし夕食が終わった後、彼はポティファルを呼び、「彼らの袋の中に、もう一度金を満たしておくように。そしてベニヤミンの袋には、私の最も高価な杯を入れておくように。彼らがここを去った後で彼らを追いかけ、泥棒の罪で捕えるのだ」と命じる。

 

 ポティファルは困惑しながらも、ヨセフの命令に従う。ヨセフの兄弟たちは捕えられて、再びメンフィスへ戻される。

 

 ヨセフは「杯を盗んだベニヤミンだけを、奴隷としてここへ置いていけ」と彼らに命じる。するとイサカルが弟をかばい、「ベニヤミンがいなければ、老いた父は悲しみのあまり死んでしまうでしょう」と言う。ヨセフは涙を流し、自分の正体を兄弟に明かす。ヨセフは自分の身に起きたことを語り、ヤコブを呼び寄せて皆でエジプトで暮らすことを兄弟に命じる。

 

 ヨセフの兄弟たちはカナンへ戻る。その途中、バートはベニヤミンから、リーダと結婚する許可をもらう。

 

 老いたヤコブは、ヨセフとディナとベニヤミンを失ったことを嘆いていた。そこへディナが戻ってきて、羊飼いたちが音楽でヤコブを喜ばそうとする。続いて息子たちが戻ってきて、ヨセフが家族をエジプトに呼び寄せようとしていることをヤコブに伝える。

 

 ヤコブの夢の中に天使が現れ、エジプトへ行くことを促す。ヤコブはエジプトへ行く決心をする。

 

 ニセーラはヨセフに過去の行いを謝罪し、夫のポティファルに名誉を与えてほしいと懇願する。ヨセフはそれを受け入れ、ポティファルに名誉ある役職が与えらえるよう取り計らう。

 

 ヤコブがメンフィスに到着する。ヤコブとヨセフが再会を果たす場面で幕となる。

 

 

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