Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

スペイン最後のゴート人(Postrer godo de España, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1599-1603年

種類:歴史劇

補足:中世初期のスペインを支配していた西ゴート王国最後の王ロドリーゴ(ロデリック)が、ドン・フリアン伯爵の娘フロリンダ・ラ・カバ(Florinda la Cava)を凌辱したことから、王を恨んだフリアンがモーロ人と手を組んで西ゴート王国を滅ぼし、その後イスラム勢力にスペインが長期間支配される原因を作ったという伝説を扱っている。また、レコンキスタの出発点とされるコバドンガの戦いを思わせる場面もある。ロドリーゴの物語はスペインだけでなく、その後のヨーロッパにおける文学やオペラなどでたびたび取り上げられている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  ゴート人のロドリーゴは、自分の父から正当な王位を奪い、父の目をえぐり取った敵のベティサとの戦いに勝利する。ロドリーゴは、自分がスペインのゴート族の王であることを宣言する。(ゴート族はキリスト教徒である)

 

 ロドリーゴはトレドに王宮を定める。戴冠式が行われるが、王冠はロドリーゴの頭上から床に落ち、彼と王国の不吉な運命が暗示される。

 

 北アフリカのアルジェでは、聖ヨハネ祭を祝ってモーロ人のアベンブカルが、仲間のセリモと恋人のサラをつれて小型船での旅を楽しむ。サラはアルジェの王ベナドゥルフェの娘である。しかし船は風で沖に流され、スペインのデニア(バレンシア地方の都市)に到着する。デニアでもゴート族が聖ヨハネ祭を祝っていた。アベンブカル、セリモ、サラはゴート人のアルミルドにつかまり、捕虜としてトレドに連れて行かれる。

 

 ロドリーゴは、ある伝説が描かれた絵と文を発見する。そこには、モーロ人らしき人物たちが描かれており、「これらの者たちが、この絵を見た者からスペインを奪うであろう」と書かれていた。

 

 アルミルドが、捕虜たちをロドリーゴに見せる。ロドリーゴはサラの美しさに魅せられ、彼女をキリスト教に改宗させて結婚しようと考える。セリモとアベンブカルはアルジェへ戻ることを許される。アベンブカルはサラを奪われた怒りからロドリーゴを殺そうと望むが、セリモに説得されてアルジェへ帰国し、ベナドゥルフェ王にすべてを報告する。

 

 ドン・フリアン伯爵が、娘のフロリンダを連れてトレドに到着する。アルミルドは彼に、サラとロドリーゴが結婚したことを教える。フリアンは、自分が国境を警備する軍務のために出かけている間、娘の安全を守るため、フロリンダを王妃サラの侍女にしてほしいと希望する。彼の希望は叶えられる。

 

 しかしロドリーゴは美しいフロリンダを見て、彼女にも欲望を抱く。ロドリーゴはフリアンをできるだけ遠ざけるために、「私とサラの結婚をベナドゥルフェ王に知らせるために、アルジェへ行ってほしい」とフリアンに命じる。フリアンは王を信頼し、危険な任務を引き受ける。フリアンが去った後、ロドリーゴはすぐにフロリンダを凌辱してしまう。

 

 フリアンは、アルジェの任務を終えた後にチュニスへ行く。そこで彼は娘のフロリンダからの手紙を受け取り、彼女がロドリーゴに凌辱されたことを知る。

 

 フリアンは、モーロ人の兵士ムーサに、娘のフロリンダのことを話す。「娘が最初に話した言葉は『私はスペインの不幸のために生まれてきた』だった。やがて娘は、モーロ人や死者や亡霊が出て来る悪夢を見るようになり、手当たり次第に刃物を使って自分を傷つけ始めた。占星術師は、彼女がマラカという街の塔から身を投げて死ぬだろうと予言したが、その街がどこにあるのかはわからない」

 

 フリアンは娘の名誉を奪ったロドリーゴに復讐するため、チュニスの王にスペインを渡そうと決心する。

 

 フロリンダは、父に手紙を送ったことをロドリーゴに告白する。ロドリーゴはフリアンが自分に反旗を翻すのではないかと恐れ、優れた軍人である従弟のペラーヨを呼び寄せる。ペラーヨは、かつての敵ベティサがゴート人の武器を破壊したため、王国の軍事力が低下していることをロドリーゴに警告する。

 

 フリアンはモーロ人のタリフェ、ムーサ、アベンブカル、アブライドをつれてスペインに上陸する。モーロ人たちは海岸で待機し、フリアンはひとりでロドリーゴに会う。フリアンは「アルジェに行ってまいりましたが、ベナドゥルフェ王はすでに亡くなっていたので、陛下とサラ様の結婚を伝えることはできませんでした」と説明し、「妻が病気なので、娘を妻に会わせることを許可してください」とロドリーゴに告げる。ロドリーゴは、フロリンダを凌辱したことがフリアンには伝わっていないのだと感じて安心し、彼の望みを聞き入れる。

 

 フリアンはひそかに妻をモーロ人たちに預け、フロリンダをある街の塔に避難させてから、モーロ人たちにスペインの魅力を伝え、アンダルシア地方を奪うよう勧める。

 

 フリアンが逃亡したことを知らされたロドリーゴは、彼の裏切りを察知し、戦いに備える。王宮が肌に合わないペラーヨはすでにアストゥリアスに戻り、武器の製造に力を入れていた。

 

 モーロ人たちはアンダルシア地方の都市を次々に占領していく。ロドリーゴはスペイン南部に兵を送る。

 

 フリアンはフロリンダに会う。フロリンダは、自分の不幸とスペインの崩壊の責任はフリアンにあると彼を責める。絶望したフロリンダは、自分のいる街にマラカ(後のマラガ)という名をつけるよう望み、塔から身を投げて死ぬ。

 

 ロドリーゴは王国の敗北と崩壊を悟って嘆き、荒野へ向かって逃亡する。

 

 サラはモーロ人たちの捕虜となる。かつての恋人アベンブカルは、サラに求婚する。サラはそれを受け入れるが、アベンブカルもキリスト教徒になることを望む。イスラム教に疑問を感じていたアベンブカルは承知する。

 

 キリスト教徒たちはみなモーロ人たちに敗北するが、ただ一人、アストゥリアスの山中にいたペラーヨだけはアブライドの攻撃に耐える。しかしアブライドはペラーヨの妹のソルミラを捕える。

 

 タリフェは、アベンブカルがキリスト教に改宗したことを知り、彼とサラに斬首刑を言い渡す。二人は喜んで死を受け入れる。アベンブカルとサラは殉教者として神に祝福される。

 

 フリアンが、かつてはキリスト教の聖職者だった背教者オルパスをつれてタリフェの前に現れる。タリフェはオルパスに、ペラーヨを説得して降伏させてほしいと頼む。

 

 アブライドはソルミラを凌辱しようとする。しかしモーロ人に変装したペラーヨが現れ、ソルミラを逃がす。ペラーヨはほとんど武器を持たないキリスト教徒たちとともに、モーロ人たちの攻撃に対抗し続ける。

 

 フリアンは、妻が病死したことをタリフェから知らされる。彼は妻と娘を失い、スペインを崩壊させてしまったことを悔やんでその場を去る。タリフェはフリアンを軽蔑し、彼を殺すことを宣言する。

 

 ペラーヨはソルミラに身を隠すよう命じて、仲間とともに戦いに行く。ペラーヨたちはオルパスに出会う。オルパスは、自分がモーロ人たちの元で裕福な暮らしをしていることを彼らに教える。オルパスはペラーヨにも自分と同じ道を選ぶことを勧めるが、ペラーヨは立腹して彼を非難する。

 

 モーロ人たちがペラーヨたちに向けて矢を放つ。しかし奇跡が起きて、その矢はモーロ人たちの元へ戻ってきてしまう。勇気を得たキリスト教徒たちはモーロ人たちを撃退する。裏切り者のオルパスは、ペラーヨの仲間であるイルデリゴによって殺害される。ソルミラはアブライドに再び襲われるが、無事に救出される。

 

 レオンにいたタリフェは、ペラーヨたちがアブライドを降伏させたことを知らされる。まもなくペラーヨがやってきて、タリフェとの間で戦闘を繰り広げる。ペラーヨが勝利する。彼はキリスト教の守護者として、またアストゥリアスガリシアカスティーリャ・レオンの復興者として賞賛される。イルデリゴとソルミラが結ばれて幕となる。