Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

バルセロナのポンセ家(Ponces de Barcelona, los)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1610-1615年

種類:歴史劇

補足:カール5世によるチュニス征服が行われた時代に設定されている。ロペはこの作品において、登場人物の台詞を通して絵画芸術を賞賛している。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

*ペドロという名の登場人物が二人いるため、父にあたるペドロを「(ドン・)ペドロ・ポンセ」、息子にあたるペドロは「ペドロ」と表記する。

 

 レリダ大学の法学生ドン・ペドロ・ポンセは、身重の妻ルクレシアをつれてレリダからバルセロナへ向かう。ペドロ・ポンセの従者セベーロ(従者であり学生でもある)が二人に付き添う。

 

 ペドロ・ポンセの家が裕福であるのに対して、ルクレシアの実家は貧しかった。とはいえルクレシアは優れた美徳を備えた女性であり、彼女の父親は誉れある家柄の画家であった。親には秘密にしたままルクレシアと結婚したペドロ・ポンセは、初め彼女の両親と暮らしていたが、彼らが亡くなったために経済的に苦しくなり、やむなくバルセロナに住むペドロ・ポンセの父親を頼ることにしたのである。ペドロ・ポンセは父の怒りを警戒して、まず父の友人であるドン・ラミロを訪問する。

 

 ペドロ・ポンセの父ドン・ディオニス・ポンセは、息子が学生の身でありながら勉学をやめ、貧しい家の娘と結婚したという噂を耳にする。ディオニスは激怒し、ペドロ・ポンセには自分の跡を継がせないと宣言する。

 

 ペドロ・ポンセから話を聞いたラミロは、ペドロ・ポンセとディオニスを会わせる。ペドロ・ポンセは親の許可なしに結婚したことを謝罪し、ルクレシアの父親が画家という素晴らしい職業を持っていたこと、ルクレシアが優れた美徳の持ち主であることを主張して父の理解を得ようとする。ルクレシア自身も出自に誇りを持っていることをディオニスに告げる。しかしディオニスは二人を受け入れることを拒否する。

 

 ペドロ・ポンセとルクレシアに同情したラミロは、自身の家を提供しようと申し出るが、ペドロ・ポンセはそれを断り、ディオニスが所有する田園の別荘でつつましく生活する道を選ぶ。ルクレシアはその場所で出産する。

 

 ラミロは絵画の高貴さを主張して、ディオニスの頑なな態度を改めさせようとする。しかし、別荘の近くに住む羊飼いダンテオからルクレシアが男の子を産んだことを知らされたディオニスは、孫の誕生を喜ぶどころか、ペドロ・ポンセが勝手に自分の別荘に住んでいたことに激怒し、銃を持って息子を殺しに行く。

 

 別荘では羊飼いたちがディオニスの孫の誕生を祝っていた。そこへダンテオが、ディオニスがペドロ・ポンセを殺そうとしていると知らせに来る。ペドロ・ポンセとルクレシアは赤ん坊と一緒に急いでその場から逃げ出す。

 

 22年が経過する。名門アラゴン家の出身である騎士ドン・フリオバルセロナにやってくる。彼はラフィーナという女性を見て恋に落ちる。

 

 セラフィーナレオナルドという名の兄と暮らしている。レオナルドは広い庭園を所有しており、ペドロという名の若い庭師を雇っている。

 

 ペドロは、ペドロ・ポンセとルクレシアとの間に生まれた子どもである。ルクレシアはセラフィーナの侍女になっている。そしてレオナルドとセラフィーナはラミロの子どもたちである。

 

 フリオはなんとかしてセラフィーナに近づこうと考え、ルクレシアに助けを求める。ルクレシアは彼に同情し、セラフィーナ宛ての手紙を届けてやることにする。しかしフリオが庭園にいるのを見たペドロは、不審な人物として彼を追いだす。

 

 ペドロはセラフィーナに恋をしているが、自分を農夫の身分だと思っているために悩んでいる。セラフィーナも彼に魅かれており、身分の違いを乗り越えるためにはペドロがイタリアへ行って戦争で手柄を立てるのが良いと提案する。セラフィーナの若い侍女イネスもひそかにペドロに恋している。

 

 年配の庭師ゴンサロは、ルクレシアにかなわぬ恋をしている。フリオはゴンサロの甥のふりをして庭園で働くことにする。

 

 ペドロは自分の父親が誰であるかを知らない。彼はルクレシアに「父は不名誉な行いによってあなたを捨てたのか」と問う。ルクレシアは彼に事情を話す。「あなたの父親はポンセ家のドン・ペドロです。私たちは心から愛し合って結婚しましたが、彼の父ドン・ディオニスは私たちの結婚を認めず、私たちを殺そうとしました。ドン・ラミロが私とあなたを保護し、自分の子どもたちとともにあなたを教育してくれたのです。その後ドン・ディオニスは亡くなりましたが、遺言であなたを後継者とは認めてくれませんでした」

 

 イネスの父マリンがルクレシアに求愛し、嫉妬したゴンサロと喧嘩をする。一方、ペドロとセラフィーナは、ペドロが貴族の出身であることを知り、結婚の障害がなくなったと喜び合う。

 

  ペドロ・ポンセイスラム教徒の捕虜となってコンスタンティノープルにいた。彼はトルコの提督バルバロッサの肥満を治療し、感謝される。

 

 ペドロ・ポンセとセベーロは、家族のいるバルセロナへ帰りたいとバルバロッサに告げる。バルバロッサは、チュニスでカール5世と戦った後で彼らをバルセロナに送り返すと約束する。

 

 ルクレシアは、ペドロがセラフィーナに恋をしているせいで、母子ともにレオナルドの家から追い出されるのではないかと恐れる。彼女はフリオとセラフィーナの仲を取り持ち、セラフィーナがフリオを愛しているようにペドロに信じ込ませる。

 

 ペドロは絶望し、兵士となってチュニスの戦役に参加する決心をする。ペドロがセラフィーナに別れを告げて去った後、セラフィーナはショックのあまり倒れてしまう。

 

 レオナルドや従者たちは、セラフィーナが庭園の薬草を口にしたために病気になったのだと推測する。そこへモーロ人の物乞いに変装したペドロ・ポンセとセベーロが現れ、セラフィーナを治療しようと申し出る。

 

 ルクレシアは、モーロ人の物乞いが自分の夫であるとは気づかず、彼に声をかけて自分の夫に関する情報を知らないかと尋ねる。ペドロ・ポンセはルクレシアが自分の帰りを待ち続けていたことを知ってひそかに安心する。

 

 そこへ、兵士となることを決心したペドロが現れる。彼の望みを受け入れたルクレシアは、翌日に出発する予定の息子をつれて自分の寝室に入る。

 

 ペドロ・ポンセは、ペドロがルクレシアと自分の息子であることに気づかず、ペドロが彼女の愛人なのだと思い、嫉妬に身を焦がす。

 

 その夜、ペドロ・ポンセは我を忘れてルクレシアの寝室の扉を激しく叩く。その音を聞きつけて家中の者が集まってくる。

 

 皆が事情を説明していくうちに、全ての真実が明らかになる。ルクレシアとペドロ・ポンセは再会を果たし、セラフィーナとペドロ、セベーロとイネスが結ばれる。

 

 ペドロが観客に向かって「『愛の庭』はこれにて終わります」と告げるが、ルクレシアが劇の名を訂正して「『バルセロナポンセ家』」と言い直し、幕となる。