Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

世界第八の不思議(Octava maravilla, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1609年

種類:架空の宮廷劇

補足:スペインのエル・エスコリアル王立修道院が「世界第八の不思議」(世界七不思議に次ぐ驚異的な建築物)として劇中で賞賛されている。ベンガル(現在のインドおよびバングラデシュ)およびスペインが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ベンガルの国王であるモーロ人のトマルは、戦勝記念にムハンマドへの感謝を示す建造物を作ろうと考える。

 

 トマルの家臣オスミンは、優れた建築家たちを集めてくる。トマルは彼らから建築プランを聞いて、そのうちの一つを選ぼうと考える。

 

 最初の建築家シランは、ギリシャのエフェソスにある神殿にならった建築物を考案する。しかしトマルは装飾が多すぎて実用性に乏しいと判断し、その案を却下する。二人目のロセートは、アレクサンドロス大王や皇帝ネロの宮殿にならった建築物を考案する。しかしトマルはそれも却下する。三人目のユダヤ人建築家サムエルは、ソロモンの神殿にならった建築物を考案する。しかしトマルは費用がかかりすぎることからその案も却下する。

 

 四人目のスペイン人建築家レオナルドは、スペイン国王フェリペ2世の時代に建造され、「世界第八の不思議」とも呼ばれているエル・エスコリアル王立修道院にならった建築物を考案する。トマルはその案に魅了され、スペインという国にも多大な関心を示す。

 

 オスミンは、トマルの妹ブリセイダを愛している。しかしトマルはブリセイダを他の男と結婚させようとしている。オスミンはひそかにブリセイダに恋心を告白し、ブリセイダも彼の気もちに応える。

 

 トマルは自らスペインを訪問したいと考える。家臣たちは王が直接行くよりも大使を送るべきだと主張するが、トマルは反対意見を退けてスペイン行きを決行し、自分が不在の間の統治者としてオスミンを指名する。

 

 セビーリャの騎士ドン・フアン・デ・アレリャーノには、アナという妹がいる。フアンはアナを、植民地帰りの裕福な男性ヘラルドと結婚させるつもりでいるが、アナはフアンの友人ドン・ペドロをひそかに愛している。

 

 フアンの従者モトリルがペドロからの手紙をひそかにアナに渡す。アナが去った後、ヘラルドの従者カリーソがやってくる。モトリルとカリーソは、アナの侍女でムラータ(黒人と白人との間に生まれた女性)のイネスをめぐって対立する。イネスが愛しているのはモトリルの方である。

 

 フアンとアナの叔父で軍人のドン・バルタサール・デ・アレリャーノは、カナリア諸島に滞在している。バルタサールはアナが近いうちにヘラルドと結婚するという知らせを受け取り、セビーリャへ出発しようとするが、そこへトマルの乗った船が難破して漂着する。

 

 トマルは自分の目的を明かさず、ただ自分が高貴な人物であるということだけをバルタサールに教える。バルタサールは喜び、彼を奴隷にしてフアンとアナへの贈り物にしようと考える。

 

 ペドロはフアンに会い、アナと結婚したいと告げる。しかしフアンから、アナがすでにヘラルドを婚約していることを聞かされたペドロは落胆して去る。

 

 ヘラルドが立腹してフアンのもとを訪れ、「アナは庶子だと聞いた」と彼に告げる。フアンは怒り、「アナはれっきとした嫡出子だし、植民地で稼いだ金だけで社会的地位を築いている人間よりは上等だ」と言い返す。両者は激しく口論し、決闘を始めようとする。

 

 そこへバルタサールがトマルをつれて現れる。トマルは、新しい主人となるべきフアンが危機に陥っているのを見て、彼に加勢する。ヘラルドは負傷して立ち去る。フアンを助けたことでトマルは感謝される。アナとヘラルドの結婚は破談となる。

 

 トマルはフアンの家の庭師となる。モトリルはトマルに初めは反感を抱くが、トマルは気前の良さを見せてモトリルと仲良くなることに成功する。

 

 ペドロは、ヘラルドとアナの縁談が壊れたことを知って喜ぶ。しかし従者のヒネスから、アナの母親がモーロ人の女性らしいと聞くとペドロは落胆する。

 

 トマルはセビーリャという街に魅了され、アナの美しさにも魅了される。彼はアナに恋し、彼女を「世界第八の不思議」と呼ぶ。

 

 アナはペドロへの恋心に悩み、トマルに相談役になってほしいと望む。彼女はトマルに、互いの恋心について打ち明けようともちかける。トマルは様々な花を摘んでアナに渡す。花の頭文字をつなげると「アナ・デ・アレリャーノ」になり、アナはトマルの気もちに気づく。

 

 アナは立腹する。トマルはただの遊びだと言って本心をごまかす。アナは自分のペドロへの恋心を打ち明ける。トマルはひそかに嫉妬する。

 

 ヘラルドが死んだため、フアンは逃亡せざるを得なくなる。フアンはモトリルとトマルをつれていくことにする。トマルは別れ際にアナに「マドリードから王をつれてきて、あなたにプレゼントしましょう」と約束する。モトリルはイネスとの別れを惜しむ。

 

 主人に死なれたカリーソは、ペドロを新たな主人とする。バルタサールがペドロを訪問し、アナにとって不名誉な噂を流した張本人として彼を非難する。

 

 マドリードに着いたトマルは、所持していたダイヤモンドを売ってアナへの贈り物を買おうとする。モーロ人がダイヤモンドを持っていることを怪しんだ警吏が彼を捕え、フアンとモトリルも一緒に捕えられてしまう。

 

 トマルは牢屋の中でも囚人たちに気前の良いところを見せ、周囲の好意を勝ち取る。

 

 バルタサールはマドリードへ行き、自身の宮廷での影響力を使ってフアン、トマル、モトリルを解放させることに成功する。4人はセビーリャへ戻る。

 

 トマルはアナに多くの贈り物を渡す。バルタサールとフアンはトマルに、なぜ多くの金や宝石を持っているのかと質問する。トマルは自分がベンガルの王であることを明かし、フアンたちを祖国へつれていってアナを王妃にしたいと話す。バルタサールはアナの母親がモーロ人であることを告白し、トマルの提案を受け入れる。

 

 ヘラルドの死をめぐって警吏が彼らを捜索していることをモトリルが知らせる。フアンたちはベンガルへ逃亡する決意をする。

 

 ベンガルでは、トマルを裏切ってオスミンが王座を奪おうとするが、失敗する。しかしブリセイダが自ら女王の座につき、オスミンを夫とする。ポルトガル人たちが大使としてやってきて、フェリペ3世(当時は彼がポルトガル国王も兼ねていた)の肖像画を彼らに贈る。

 

 ベンガルに着いたトマルは、ただならぬ雰囲気を察知する。モトリルがモーロ人に変装して情報収集に行く。トマルはポルトガル人たちに会い、ブリセイダとオスミンに裏切られたことを知る。トマルは「洗礼を受けてキリスト教徒となり、自分の正体を明かして、ベンガルのフェリペと名乗る」ことを宣言する。

 

 ベンガルの宮廷では、賢者たちが「フェリペという人物が妻とともにあなたの王座を奪うでしょう」と予言する。そこへモーロ人に変装したモトリルが現れ、「トマル王が戻ってきました」と報告する。オスミンはモトリルに「兵をつれていき、トマルを捕えよ」と命じる。

 

 しかし兵士たちは正当な王であるトマルを見て彼に味方し、オスミンに反旗を翻して王宮を包囲する。トマルは王宮に飾られていたフェリペ3世の肖像画に免じて、オスミンとブリセイダを許す。アナはトマルと結ばれて王妃となり、フアンとバルタサールとモトリルは貴族の位を与えられて幕となる。