Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

追われる者(Perseguido, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1596年以前

種類:架空の宮廷劇

補足:バンデッロの小説にヒントを得て書かれている。ブルゴーニュ公国が舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

*人物名表記は、スペイン語の読みにならう。

 

 カサンドラは、ブルゴーニュ公国の君主アルナルドの妻でありながら、廷臣のカルロスに恋をしている。しかしカルロスは彼女の気持ちに気づいていない。

 

 カサンドラは婉曲な質問をして、カルロスに恋人がいるかどうかを探ろうとする。カルロスはその質問をうまくかわすが、実際は彼はアルナルドの妹で寡婦レオノーラと6年前から秘密の結婚関係にあった。カルロスはアルナルドの名誉を傷つけるつもりはなかったものの、自分がレオノーラより低い身分であるため、アルナルドに結婚の許可を願い出ることができずにいた。そうと知らないルドビコ伯爵と騎士のフェリシアーノは、レオノーラに求婚している。

 

 カルロスは、カサンドラが自分に好意を抱いていることを察知し、彼女の嫉妬を警戒する。同時に彼はレオノーラとの関係を周囲に隠したまま、ルドビコやフェリシアーノを遠ざけなければならないという難しい立場に置かれる。

 

 レオノーラの夫であったクレーヴェ公国の君主は、後継者を残さないまま死んだため、その領土と財産はレオノーラが相続していた。フランス国王はその土地と財産の所有権を主張し、アルナルドと対立する。アルナルドは、もしフランス軍がクレーヴェに攻めてきた場合、十分な軍隊を準備できていないことを心配する。ルドビコ伯爵は「軍隊のことは私にお任せください。その代わり、私にクレーヴェ公爵の爵位と、レオノーラ様との結婚を与えてください」とアルナルドに交渉する。アルナルドは、その取引のことを口外しないという約束で伯爵の要求を受け入れる。

 

 カサンドラは、フランスとの間に戦争が起これば、アルナルドが国を留守にするであろうと考え喜ぶ。彼女は夫が死ぬことさえも期待して、カルロスに自分の恋心を告白する。カルロスはカサンドラを拒絶し、カサンドラは彼に恨みを抱く。

 

 カサンドラは、カルロスが自分に言い寄ったという嘘をつき、彼を罰してほしいとアルナルドに懇願する。しかしアルナルドは妻の言葉に疑念を抱き、カルロスを呼び出して質問する。カルロスは身に覚えのないことだと主張し、アルナルドはカルロスの言葉を信じる。

 

 カサンドラはさらに悪意をもってアルナルドに、「カルロスが恋している女性がいるのかどうか、いるとすればその女性の家柄はどの程度なのか、彼に質問してほしい」と依頼する。アルナルドが言われた通りにすると、カルロスは「私は美しい女性と愛し合っていますが、互いに相手のことを誰にも明かさないでおこうと誓い合っています」と答える。アルナルドは再びカルロスを信頼し、その証として金鎖をカルロスに与える。

 

 フェリシアーノがカルロスに近づき、「レオノーラのために詩を書いたので、彼女に渡して返事をもらってきてほしい」と頼む。そこへレオノーラが現れ、フェリシアーノは扉の陰に隠れる。レオノーラはカルロスに、「今夜、私の部屋へ来てほしい」と言う。

 

 カサンドラはカルロスへの恨みを晴らすため、様々な手段を講じる。彼女はフェリシアーノにカルロスを中傷するよう命じ、その代わりに彼とレオノーラとの結婚を約束する。また、道化のカリーニョを買収して、カルロスを公の場で平手打ちさせようとする(しかし道化は調子に乗り、カサンドラを含めあらゆる人々を平手打ちしようとする)。さらに、秘書のプルデンシオには、カルロスが彼を失職させようとしているという嘘を吹き込む。

 

 アルナルドは、カサンドラから執拗に要求されたため、再びカルロスに彼の恋人の正体を尋ねる。カルロスはついに真実を告白する。「私はレオノーラ様と7年間、秘密の結婚関係にあり、私たちの間には二人の子どもがいます。長男のグリマルディコはひそかに宮廷の中で育てられています」

 

 カルロスの話を聞いたアルナルドは、彼を責めることなく、「私とカサンドラの間には子どもがいない。きみとレオノーラとの間に生まれた男の子はいずれブルゴーニュ公国の君主となるだろう」と喜ぶ。しかしアルナルドは、すでにルドビコ伯爵にレオノールとの結婚の約束をしてしまったことをカルロスに話す。

 

 カルロスは、フェリシアーノ、カリーニョ、プルデンシオに、カサンドラが彼らをだましたことを説明し、彼らの誤解を解くことに成功する。

 

 その夜、アルナルドはカルロスとともに妹のレオノーラの元を訪れ、カルロスとレオノーラを祝福する。カルロスはアルナルドに感謝する。

 

 カサンドラは執拗に、アルナルドからカルロスの恋人のことを聞きだそうとする。根負けしたアルナルドはカルロスとレオノーラとの関係を彼女に話し、固く口どめをする。その後、フランスとの戦いに勝利したルドビコ伯爵が帰還し、アルナルドはルドビコを迎えに行く。

 

 カサンドラは、偶然グリマルディコを見つけ、彼を殺すことでカルロスとアルナルドに復讐しようと考える。

 

 カサンドラはグリマルディコを庭に行かせる。その後、カサンドラはレオノーラに会い、レオノーラとカルロスとの関係や、彼らの間に生まれた子どもに対する侮蔑の言葉を吐く。レオノーラは驚き、カルロスが自分を裏切ってカサンドラに心を移したのだと推測する。

 

 レオノーラはカルロスに会い、怒りをぶつけて去っていく。カルロスはグリマルディコが危険にさらされていることを察知し、息子を探しに行く。

 

 アルナルドに会ったルドビコは、レオノーラとの結婚を要求する。アルナルドは「それは不可能になったので、その代わりに領土を与える」と彼に告げるが、ルドビコは納得しない。カサンドラは「レオノーラと結婚したいのなら、カルロスを殺すしかない」とルドビコをそそのかす。

 

 その後、カサンドラは庭に出てグリマルディコを縛り、ナイフで刺し殺そうとする。しかし、庭師に見つかったため、カサンドラはグリマルディコをその場に残して去る。カルロスは息子の叫び声を聞いて彼を見つける。グリマルディコはカルロスに、自分がカサンドラに殺されそうになったことを知らせる。

 

 アルナルドはレオノーラに「カルロスは身分は低いが、高貴さと美徳を内に秘めている」と告げる。カルロスがグリマルディコをつれて登場すると、レオノーラはカルロスと和解する。

 

 カルロスはアルナルドに、カサンドラがグリマルディコを殺そうとしていたことを知らせる。アルナルドは激怒する。

 

 アルナルドはカサンドラをあざむくため、自分がカルロスに変装して彼女に会おうと計画する。アルナルドがカルロスの服を借りて変装した時、ルドビコに率いられた兵士たちが現れ、アルナルドをカルロスと間違えて殺そうとする。プルデンシオとフェリシアーノがアルナルドの命を助ける。

 

 ルドビコはアルナルドに、カサンドラにそそのかされてカルロスを殺そうと計画していたことを告白する。カサンドラが張り巡らせた陰謀に疲れ果てたアルナルドは、彼女を追放することで全ての問題にけりをつけようと決心する。

 

 カサンドラは、夜が明ける前にひそかに宮廷から独りで出ていくことを命じられる。カサンドラは自分の犯した罪を後悔し、レオノーラは彼女のためにとりなしをしようとするが、アルナルドは妻を許すことを拒否する。

 

 ルドビコもまた追放を命じられる。しかしカルロスのとりなしによってルドビコはアルナルドから罪を許される。

 

 アルナルドはカルロスを公国の継承者とすることを宣言する。カルロスとレオノーラとの正式な結婚、グリマルディコとの親子関係が認められる。アルナルドがルドビコ、カルロス、レオノーラを夕食に招き、祝宴を開くことを告げて幕となる。