Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

報復された偽証(Testimonio vengado, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1596-1603年

種類:歴史劇

補足:原題の直訳は「報復された証言」。本作は、アロンソ・フェルナンデス・デ・アベリャネーダによる贋作『ドン・キホーテ』の27章で言及されている。セルバンテスはこの箇所に触発されて、『ドン・キホーテ後編』におけるペドロ親方の人形芝居のエピソードを創作したと推測されている。11世紀のナバーラ王サンチョ3世統治下のスペインが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 舞台はサラゴサである。ナバーラの国王サンチョ大王(サンチョ3世)は、モーロ人との戦いに出発しようとしている。

 

 国王は廷臣のフォルトゥン伯爵に、自分の秘密を告白する。「かつて私は、ある貴族の女性を愛し、ラミーロという息子をもうけた。現在、ミラルバの城代に仕えるベリサルドという農夫が、父親代わりとなってラミーロを養育している。ラミーロは自分の出自については何も知らない。王妃ドニャ・マヨールは、私に庶子がいることは知っている」

 

 国王は、王妃がラミーロの居場所をつきとめて彼を殺そうとするのではないかと心配し、自分が戦場へ行っている間、ラミーロを保護してほしいとフォルトゥンに頼む。

 

 そこへ馬丁ペドロ・デ・セッセが現れ、馬の準備ができたと王に告げる。その馬の中には、コルドバから王に贈られた見事な白馬がいた。王は自分が何よりも大切にしているその馬を戦場へは連れて行かず、サラゴサに置いていくことを決める。

 

 王妃ドニャ・マヨールと3人の王子たち(ガルシアゴンサロフェルナンド)が現れる。王妃は戦場へ赴く王を引き留めようとするが、王はそれを拒む。王は王妃に「私がいない間、国を良く統治してくれ。それから、私の白馬には誰も乗せてはならない」と命じる。

 

 3人の王子たちは、王がいなくなって自由に行動できることをひそかに喜んでいた。王が去ったあと、王子たちは恋愛や女遊びについて語り合う。

 

王子のひとりガルシアは、恋人のドニャ・フアナと話をする。馬の競走を見たいと言うフアナの言葉を聞いて、ガルシアは、父の白馬に乗る自分の姿をフアナに見せようと決心する。

 

 ガルシアは王妃に「今日の午後、私が父上の白馬に乗る許可を与えてください」と頼む。王妃は、初めはその頼みを拒むが、しつこくガルシアに懇願され、根負けして許可を与えてしまう。

 

 馬丁ペドロはそのことを知り、国王の命令を無視した王妃を非難する。王妃は反省して、ガルシアに前言を取り消すと伝える。ガルシアは王妃が馬丁ごときに言いくるめられたと感じて口答えをし、涙を流して見せるが、王妃は怒って去る。

 

 苛立ったガルシアは、ゴンサロとフェルナンドに「母上が馬丁と通じ、父上を裏切っているのを見た。このことを父上に知らせに行く」と告げる。

 

 フォルトゥン伯爵はミラルバへ到着し、ラミーロに会う。ラミーロはベリサルドを父と思い、その娘セリアを妹と思っていた。伯爵はラミーロがサンチョ国王によく似ており、高貴な性質を持っていると感じる。伯爵はラミーロに宮廷へ行くことを勧めるが、ラミーロは宮廷を「嘘に満ちた場所」だと言ってその誘いを断る。伯爵はひとまずミラルバを去る。

 

 国王はガルシアによってサラゴサに連れ戻される。ガルシアはゴンサロとフェルナンドを証人に立てて、王妃が馬丁と不義密通を犯したと訴える。慣例にのっとり、ガルシアは1年の間、武力で自身の訴えを守ると宣言する。国王は疑念を抱きつつも息子たちの言葉を受け入れ、「もし期限までに王妃を擁護する者が現れなければ、王妃を不義密通の罪で火刑に処す」と告げる。

 

 馬丁ペドロと王妃は捕えられ、国王は王妃をミラルバ城に閉じ込めるようフォルトゥン伯爵に命じる。王妃は、血を分けた息子たちの偽証によって自分が捕えられたのだと知り、嘆き悲しむ。

 

 約1年が経過する。王妃はミラルバ城に閉じ込められ、城の周辺以外は移動することを禁じられていた。ベリサルドだけは彼女の正体を知っていたが、王妃の正体を知らないラミーロは、彼女を見て恋をしていた。

 

 ラミーロは、自分が身分の低い人間であると認めながらも、王妃に恋心を告白する。王妃はラミーロの気品に感心するが、「私はみじめな人間です」と言い、自分の正体は明かさない。

 

 セリアは羊飼いのマルセーロと愛し合っているが、互いに相手の浮気を疑い、嫉妬心から言い争いをする。ラミーロは王妃と結婚する許可を得ようと、ベリサルドを探しに行く。

 

 セリアとマルセーロは仲直りをする。そこへ、狩りの途中で山道に迷った王子ガルシアが現れる。セリアは彼を城へと案内する。マルセーロは嫉妬し、ひそかに彼らの後を追う。

 

 マルセーロは先に城に到着し、王妃に「見知らぬ男をつれたセリアがここへ来なかったか」と質問する。王妃は「いいえ」と答える。マルセーロは二人を探しに行く。

 

 ラミーロは、山の中でセリアとガルシアが二人で話をしているところを目撃し、妹の名誉が傷つけられたと感じて立腹する。彼は錆びた古い剣を見つけ出し、それでガルシアを殺そうと決心する。その様子を見ていた王妃は、一介の農夫にすぎないラミーロが家族の名誉をそれほどまでに重んじていることに驚く。

 

 ラミーロは、セリアと一緒にいるガルシアを見つけ、剣を持って彼と戦う。ラミーロはガルシアを負かし、彼を殺そうとする。セリアがラミーロを制止する。ラミーロは、今度は名誉を守るためにセリアを殺そうとする。セリアは城の中に逃げ込み、ラミーロは後を追う。

 

 王妃はガルシアと残される。王妃は偶然にも再会した息子に、自分のみじめな状況を話して、城に一晩泊まってほしいと頼む。しかし、ガルシアは王妃が自分を殺すためにラミーロを利用したのだと思い込み、泣きながら懇願する王妃を見捨てて去る。

 

 ベリサルドが現れ、ラミーロを落ち着かせる。彼はラミーロの行動を非難する。ラミーロは王妃との結婚を望み、それができないのなら兵士となって戦争へ行くと彼に宣言する。ベリサルドはやむを得ず、ラミーロの恋の相手が王妃であること、ラミーロが国王の庶子であること、国王の意志によりベリサルドが彼を田舎で養育してきたことなどを彼に話す。そしてベリサルドは、いずれはラミーロが国王になるであろうと予言する。

 

 ラミーロは、王妃がガルシアの偽証によって囚われの身となったことを知る。ラミーロはセリアと王妃に自分の粗暴な振る舞いを詫び、自分の正体を明かして、「王妃の名誉を守るため、私が宮廷に行き、武器を取って戦います」と告げる。彼は王妃に、自分に祝福を与えてくれるよう頼み、ベリサルドにはセリアとマルセーロを結婚させるよう助言する。

 

 王妃は、実の息子たちが自分を裏切ったのに対し、血のつながらない息子であるラミーロが自分の名誉のために戦うと申し出てくれたのを見て感激し、ラミーロを自分の唯一の息子だと思うようになる。ラミーロは皆に別れを告げて、サラゴサへ出発する。

 

 サラゴサの城門の前に到着したラミーロは、疲れて階段の上で眠ってしまう。彼の夢の中に、カスティーリャアラゴンの寓意人物と、ガルシ・ラミレス伯爵が現れる。「カスティーリャ」と「アラゴン」はラミーロの先祖たちについて語り、彼がその遺産を引き継ぐであろうと告げる。ガルシ・ラミレス伯爵は、ラミーロを正当な跡継ぎと認め、彼に一振りの剣を与える。

 

 ラミーロが目を覚ますと、そばに剣があった。その時、王宮から廷臣のドン・ルイス衛兵たちが、王の剣を探しに出てくる。彼らはラミーロが王の剣を持っているのを見て、それを奪い取ろうとする。

 

 ラミーロは抵抗し、衛兵のひとりを殺す。そのときフォルトゥン伯爵が現れ、ラミーロは彼に自分の出自を明かす(もっとも、伯爵はすでにそれを知っている)。続いて国王と3人の王子たちが現れ、ラミーロと対面する。

 

 ラミーロは国王の前に進み出て、自分が国王の息子であることを告げ、王妃が自分を息子と認めてくれたので、義兄弟たちの偽証から王妃を守るために戦うつもりであると告げる。国王はラミーロとの対面を喜び、戦いの準備をするから数日間待っているようにと彼に告げる。その間にドン・ルイスが王妃を迎えに行く。

 

 ミラルバでは、セリアとマルセーロの結婚式が行われようとしていた。しかしそこへ伯爵が現れ、皆にラミーロが王妃を守るために戦うことになったと告げる。王妃はドン・ルイスとともにサラゴサへ向かい、ベリサルド、セリア、マルセーロも彼らについていくことを決心する。

 

 サラゴサでは、ラミーロとの戦いを前にしたガルシア王子が、フアナに「自分に正義があるかどうか自信がないので、勇気を出せるようにきみのリボンがほしい」と頼む。フアナは「自信がないのなら、戦うのはやめて」と言うが、王子は機嫌を損ねてしまい、二人は喧嘩別れをする。

 

 国王、王妃、ドン・ルイス、ベリサルド、セリア、マルセーロが、競技場に現れる。国王は、ラミーロが負けた時に備えて、王妃を火刑に処すための薪を用意させる。

 

 ラミーロと3人の王子たちが入場する。ガルシアがラミーロと対戦する。ガルシアは敗北し、「王妃が白馬に乗ることを許可してくれなかったので、偽りの訴えを起こしました」と告白する。

 

 名誉を回復した王妃は、自らガルシアを後継者から外し、ラミーロにカスティーリャとレオンを与える。国王はラミーロをアラゴン国王に任命する。これによってラミーロはスペイン国王となった。

 

 王妃は自らのブリアル(チュニック)の下をラミーロにくぐらせる。これは、彼を嫡出子として新たに産んだことを意味する象徴的な儀式であった。国王はベリサルドにミラルバ侯爵の爵位を与える。ラミーロはマルセーロをアレバロの領主に任命し、幕となる。