Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

自らを知る者はなし(Nadie se conoce)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1615-1621年

種類:架空の宮廷劇

補足:ハンガリーが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ハンガリー王子リサルドは、セリアという女性と愛し合っている。しかしセリアが外国出身の家柄であることから、国王は彼女がリサルドの妻としてはふさわしくないと考え、息子の態度を非難する。

 

 騎士のアルバーノは、リサルドとセリアを別れさせる方法を国王に提案する。それは、アルナルド公爵に協力してもらい、彼にセリアを口説かせるというものであった。国王はアルバーノの提案を受け入れ、アルナルドは不本意ながらセリアを口説くことにする。

 

 リサルドの従者ファビオは、国王がリサルドの恋を妨害しようとしているのを知り、そのことをリサルドに教える。リサルドはセリアが命を狙われることを恐れ、彼女を守るための作戦を立てる。

 

 セリアは農家の娘に変装する。リサルドの友人の騎士フェリシアーノが農夫に変装してセリアの夫になりすまし、二人は王宮を出てミラフロールの森にある城に身を隠す。リサルドは時々、ひそかに城を訪れてセリアに会う。セリアの不在を周囲に悟られないようにするために、セリアの侍女ドリスタが変装し、セリアになりすます。これが作戦の内容である。

 

 アルナルドは気乗りしないままセリアの家に行き、彼女を口説こうと試みる。しかし出てきたのはセリアに変装したドリスタであった。偽のセリア(ドリスタ)はアルナルドに逢引の約束をする。

 

 リサルドをつれて山へ狩りに出かけた国王は、泉のそばでディアナと名乗る農家の娘に出会う。それは変装したセリアであった。国王はディアナ(セリア)の美しさと賢さに魅了される。

 

 国王がディアナ(セリア)に魅かれている様子を見たリサルドは心配になるが、国王がディアナ(セリア)に好感を持つようになれば、自分とディアナ(セリア)との結婚にも反対しなくなるかもしれないと考え直す。

 

 国王のディアナ(セリア)への恋慕は日ごとに大きくなる。国王は恋の力の偉大さに気づき、リサルドにもいくらか理解を示すようになる。

 

 アルナルドは国王に「セリア(ドリスタ)と私は深い仲になり、子どもが生まれました」と報告する。国王は満足し、セリア(ドリスタ)が浮気をしたことをリサルドにわざと気づかせようと企む。

 

 リサルドとファビオは、国王の矛盾した行動を批判し「自らを知る者はなし。自らの過ちを認める者はなし」と皮肉を言う。

 

 ドリスタは、リサルドにセリアを捨てさせようとしている国王の企みを知り、それをリサルドに知らせる。

 

  セリアは、リサルドが自分の城へなかなか来てくれないことに不安を覚え、自宅へ戻る。セリアは、ドリスタがアルナルドと深い仲になっていることを知り、気分を害する。

 

 リサルドがセリアを訪問する。セリアはリサルドとドリスタの仲を疑うが、その誤解は解け、両者は仲直りをする。

 

 そこへアルナルドが現れる。アルナルドはまだドリスタがセリアだと思っている。リサルドは嫉妬しているふりをしてアルナルドに襲いかかる。国王が現れてリサルドを捕え、彼とセリア(ドリスタ)をミラフロールの城に幽閉する。セリア(ドリスタ)は、自分が高貴な家柄の出身だと主張するが、国王は無視する。

 

 アルバーノは、同情しているふりをしながら、ミラフロールへ向かう王子に付き添う。王子は内心、ディアナ(セリア)と暮らせるようになったことを喜んでいる。

 

 国王は、王子をミラフローレスに幽閉したことによって、自分がディアナ(セリア)を訪問する口実ができたと喜んではいるものの、ディアナ(セリア)が王子を好きになってしまうのではないかと心配し、アルバーノにそれを打ち明ける。アルバーノは「本来、王子にセリアのことを忘れさせるのが目的だったのですから、それでよいではありませんか」と告げるが、国王は国家の利益よりも自身の恋愛を優先し、王子がセリア(ドリスタ)を愛し続けることをひそかに期待する。

 

 数か月後、ディアナ(セリア)は女の子を出産する。王子はその子に深い愛情を示す。

 

 嫉妬した国王は、セリア(ドリスタ)を解放して王子とともに王宮に呼び戻し、彼らを結婚させようと考える。事がここに及んで、国王は自分が当初の目的と明らかに反対の行動をとっていることを自覚する。

 

 ディアナ(セリア)は国王に、産まれたばかりの娘の名付け親になってほしいと頼む。国王はそれを受け入れる。

 

 アルナルドに付き添われて、セリア(ドリスタ)が解放される。王子は国王をあざむくため、セリアの浮気を激しく非難するふりをする。国王は、セリア(ドリスタ)が高貴な家柄の出身であったことが判明したとして、王子との結婚を許可する。王子は「アルナルドが、名誉を失ったと疑われているある女性と結婚するなら、私は父上に従います」と答える。国王は王子に「ディアナを愛しているか」と質問し、王子は「セリアだけを愛しています」と答える。

 

 国王の前で、ディアナの正体がセリアであること、国王がセリアだと思っていた女性が実はドリスタであったことが明かされる。国王と王子との約束によって、アルナルドは愛するドリスタと結婚する。ドリスタはセリアのいとこでアルベルトの娘であることも明らかになる。セリアの侍女ベリーサとファビオも結ばれ、国王が皆を許して幕となる。