Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

王都の宿屋(メソン)(Mesón de la corte, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1588-1595年

種類:都会的な同時代劇

補足:ピカレスク(悪者)小説的な要素がある。マドリードが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 「メソン・デル・シエゴ(Mesón del Ciego)」は、マドリードにあるメソン(料理屋兼宿屋)の名である。このメソンを経営する主人の娘フアナは、とびきりの美人として評判が高い。

 

 メソンではロドリーゴとペドロという二人の青年が働いているが、実は二人とも正体を偽っている。ロドリーゴはセビーリャ出身の騎士で、本名はドン・フアンである。彼はもともと法律を学ぶためにサラマンカへ行くはずだったのであるが、フアナに恋したためにメソンにとどまっている。彼はそのことを実家の父親には秘密にしている。ペドロの正体は、ドニャ・ブランカという女性である。ブランカは自分の元を去った恋人を追うために家を出て、メソンで男性のふりをして働いている。

 

 兵士のリサルドが、従者のベラリーソをつれてメソンへやってくる。リサルドとベラリーソもまた多くの男性と同じように、フアナをひと目見て恋に落ち、彼女を口説く。ロドリーゴ(フアン)は嫉妬する。

 

 

 ロドリーゴ(フアン)とペドロ(ブランカ)は、協力してリサルドとベラリーソをフアナのそばから追い払う。フアナはペドロ(ブランカ)に好意を抱く。ロドリーゴ(フアン)はまた嫉妬する。

 

 次に、騎士だと名乗るフリオがメソンにやってくる。フリオはロドリーゴ(フアン)と二人きりになると、自分がフアンの父の従者であることを明かし、セビーリャにあるフアンの実家から持たされた生活費と土産を彼に渡す。

 

 リサルドはロドリーゴ(フアン)に、フアナとの仲をとりもってほしいと頼む。しかしロドリーゴ(フアン)は嫉妬心からそれを拒否する。リサルドはやむなく、ペドロ(ブランカ)を手なずけてフアナとの仲をとりもたせようと考える。しかしリサルドこそは、ブランカの元を去った恋人にほかならなかった。

 

 セビーリャからやってきたベラルドという老人がメソンに現れる。ベラルドは、自分の娘をかどわかして連れ去った兵士を追っているのだと告げる。

 

 ペドロ(ブランカ)は、ベラルドが自分の父親であることに気づく。リサルドもまた、ベラルドがブランカの父親であることに気づく。リサルドとベラリーソは、同じ宿にいることをベラルドに悟られないよう、偽名を名乗ることにする。

 

 ベラルドの従者アルベルトもメソンに到着する。アルベルトはペドロ(ブランカ)の正体に気づかず、彼(彼女)と議論を始める。ペドロ(ブランカ)に好意を持っているフアナはアルベルトを追い払い、ペドロ(ブランカ)に愛想をふりまく。

 

 インディアノ(植民地帰りの成金)の老人フランセーロがメソンにやってくる。

 

 フランセーロはベラルドに身の上話をする。「かつて、ある兵士が、当時14歳だった私の娘を植民地へ連れ去ってしまったのです。私は娘を探すため、バリャドリードから植民地へ旅立ちました。それから10年が経ち、娘は見つかりませんでしたが、私は植民地で富を築いて戻ってきました」

 

 似たような境遇をもつベラルドとフランセーロは、どちらもフアナに恋をする。ペドロ(ブランカ)が現れたので、ベラルドは自分とフアナの仲をとりもってほしいとペドロ(ブランカ)に頼む。

 

 ペドロ(ブランカ)は、自分のかつての恋人と父親が、どちらもフアナに恋していることを知って嘆く。しかしフアナが好意を持っているのはペドロ(ブランカ)である。ペドロ(ブランカ)はそのことでいくらか留飲を下げる。

 

 リサルドはペドロ(ブランカ)に、自分とフアナとの恋の取り持ち役を果たしていないと文句を言う。ペドロ(ブランカ)はリサルドの手相を見るふりをして、リサルドがかつてブランカと愛し合っていたことを指摘する。リサルドとベラリーソは驚き、ペドロ(ブランカ)は魔術師なのではないかと怖れを抱く。

 

 ロドリーゴ(フアン)はフアナに贈物をして彼女を口説く。フアナは彼にまんざらでもないそぶりを見せる。ペドロ(ブランカ)はフアナに嫉妬しているふりをする。

 

 ベラルドとフランセーロもやってきて、フアナに求愛する。フアナは適当に老人たちをあしらう。

 

 ロドリーゴ(フアン)は、フリオがフアナを抱擁したと聞いて怒り、彼を叩く。ベラルドとフランセーロは、使用人(本当は騎士)のロドリーゴ(フアン)が騎士(本当は従者)のフリオを叩いているのを見て不思議に思う。

 

 リサルドとベラリーソは、ロドリーゴ(フアン)がフアナを口説いたことを知って怒り、彼を叩く。フリオは主人が叩かれている姿を見て留飲を下げる。

 

 リサルドがその夜、フアナと話をする予定だと知ったロドリーゴ(フアン)は、邪魔をするための計画を練る。

 

 ペドロ(ブランカ)は、フアナになりすましてリサルドに会う計画を立てる。

 

 ベラルドは、ペドロ(ブランカ)になりすましてフアナに会う計画を立てる。フランセーロもまたフアナに会おうと考える。

 

 フアナは、自分に求愛しようとする男性たちから逃れるため、その夜、アルベルト、フリオ、ベラリーソに頼んで自分の部屋の入口を見張らせる。

 

 フアナになりすましたペドロ(ブランカ)は、干し草置き場でリサルドに会う。

 

 フアナに会おうとしたロドリーゴ(フアン)、ベラルド、フランセーロは、入口を見張っていた従者たちに棒で殴られてしまう。

 

  翌日、リサルドはフアナと前夜に会ったと思い込んでいる。しかしフアナはリサルドに会ってなどいないと断言する。リサルドは当惑する。

 

 ベラルドとフランセーロは、前夜にフアナの部屋に忍び込んだと思い込んでいる。しかし実際はロドリーゴの計略により、それぞれベラリーソとアルベルトの部屋へ入っていたのであった。

 

 老いた騎士クレオリシオがメソンへやってくる。彼は、二人の息子を失った自分の身を嘆く。一人はサラマンカで勉強していると嘘をついてメソンで使用人として働き、もう一人は兵士となってイタリアへ行ってしまったのだという。

 

 リサルド、フリオ、フランセーロ、ベラルドは、みなフアナに会う機会を狙っているが、互いにライバルを妨害しているため、誰もフアナに近づくことができない。

 

 一人の警吏がメソンにやってきて、「ここに二人の娘が隠れている疑いがある」と主人に告げる。主人は疑いを晴らすため、全ての部屋を調べることを警吏に許可する。

 

 最初の部屋にはロドリーゴ(フアン)がいた。彼は警吏に「私の名はドン・フアンで、クレオリシオの息子です」と告げる。

 

 次の部屋にはフアナがいた。彼女は警吏に「私が待っている相手はペドロ(ブランカ)です」と告げる。

 

 次の部屋にはベラルドとベラリーソがいた。二人は互いにフアナと一夜を過ごしたものと思っており、真実を知ってがっかりする。

 

 残る二つの部屋には、クレオリシオとフリオ、アルベルトとフランセーロがそれぞれ同じベッドに寝ていた。彼らは真実を知って困惑する。

 

 クレオリシオは、従者のフリオと息子のフアンが自分と同じメソンにいた事実を知る。フアンが身分の低いフアナに恋をしているのを知り、クレオリシオは息子に罰を与えようとする。

 

 その時、メソンの主人が「フアナは私の実の娘ではありません。本当は貴族の娘で、名はドニャ・エルビラ・ピメンタルなのです」と告白する。フアナがフランセーロの娘であったことが判明する。

 

 ペドロ(ブランカ)は皆の前で、自分が女性であり、ベラルドの娘ドニャ・ブランカであり、リサルドの恋人であったことを告白する。ベラルドは喜ぶ。ブランカはリサルドに、投獄される道か自分と結婚する道か、どちらかを選ぶよう迫る。

 

 同時に、リサルドがクレオリシオの息子であり、フアンの兄弟であることが判明する。クレオリシオは喜ぶ。

 

 ブランカとリサルド、フアナとフアンが結ばれて幕となる。