Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

フェリサルドの大理石像(Mármol de Felisardo, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1594-1598年

種類:架空の宮廷劇

補足:ゼーラント(現在のオランダ)が舞台となる。男装の女性が登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 舞台はゼーラント王国の農村。羊飼いのハシントエリサは婚約している。しかしエリサは、静かな環境で勉強するために村へやってきた神学生のフェリサルドから求愛され、彼の優雅さにひかれる。ハシントは嫉妬する。

 

 村の人々は、フェリサルドが国王か提督の息子なのではないかと噂している。フェリサルドはエリサに「自分は聖職者になるつもりはない。自分が誰の息子であるのかは知らない」と告げて求愛する。エリサはためらいながらも、夜に彼と会う約束をする。フェリサルドの従者トリスタンは、エリサの侍女フィネアに求愛する。

 

 スコットランド国王がゼーラントを侵略しようとしていることを知った王子プリミスラオは、自ら戦場へ行くことを望む。国王提督は王子を制止しようとするが、王子は聞き入れない。

 

 フェリサルドは国王の庶子であった。国王はフェリサルドを聖職者にするつもりでいる。しかし提督は国王に、プリミスラオに息子が生まれるまではフェリサルドを聖職者にすべきではないと忠告する。

 

 フェリサルドはエリサと逢引をしようとするが、エリサの父ドリステオが現れ、フェリサルドを非難する。

 

 プリミスラオ王子は戦死する。スコットランド軍は退却する。

 

 その後、ドリステオとフェリサルドは和解し、ドリステオはフェリサルドとエリサとの結婚を許可する。ドリステオとフェリサルドの間には父子のような絆が芽生える。しかしその時、提督がフェリサルドを王国の後継者として迎えに来る。

 

 フェリサルドは王宮へ向かうが、彼はドリステオとエリサに、ひそかに王宮へ来るように指示する。

 

 王宮へ迎えられたフェリサルドは、提督の娘ドルシーラと結婚するよう要求される。そこへ、ドリステオが到着し、エリサの双子の兄セリオをフェリサルドに紹介する。セリオはフェリサルドの従者となる。実はセリオは男装したエリサである。(*ここではエリサがセリオに扮しているが、劇の後半ではセリオが実在することが判明する)

 

 セリオ(エリサ)は、フェリサルドがドルシーラとの結婚を控えていると聞かされてその場で失神する。フェリサルドとトリスタンはセリオ(エリサ)の正体に疑念を抱く。

 

 フェリサルドは、聖職者の職を辞退する許可を教皇から得るまでは結婚を延期すると宣言する。

 

 ハシントがエリサを追って王宮へやってくる。彼はセリオの正体がエリサであることを見抜き、国王にフェリサルドとエリサの関係を暴露する。国王はエリサを投獄し、フェリサルドにはドルシーラより身分の低い女性を愛することを禁じる。

 

 トリスタンは主人のフェリサルドを助けるために奇想天外な作戦を立てる。彼はフェリサルドに指示して、王宮の庭にある大理石の女性像に恋をしたふりをさせる。

 

 王子が正気を失ったという噂が宮廷中に広まる。トリスタンは国王に話す。「王子を治す唯一の方法は、エリサを牢から出し、いったん王子とエリサを婚約させることです。そして王子が正気を取り戻したら、ドルシーラ様と結婚させればよいのです」

 

 国王はその計画をエリサに話し「協力してくれたら、おまえに良い縁談を紹介してやろう」と言う。

 

 トリスタンはフェリサルドとエリサに、あらたな計画を説明する。二人はそれに従う。

 

 エリサは国王に協力し、フェリサルドは一度は正気に戻ったふりをする。しかしその後、エリサはハシントと結婚すると言い出し、フェリサルドは再び正気を失ったふりをする。

 

 フェリサルドは王宮の庭の大理石像と結婚すると宣言する。国王は絶望する。

 

 トリスタンはドリステオを王宮へつれてくる。ドリステオは国王に話す。「私はかつて軍人であり、フランスの貴婦人と結婚したのですが、妻は双子の男女を産んで他界しました。それがエリサとセリオです。その後、エリサはフェリサルド様と恋仲になりました。私は自分の子どもたちにだまされ、フェリサルド様にセリオを従者として差し出したつもりだったのですが、それは本当はエリサだったのです。エリサはフェリサルド様に会う前はハシントと婚約していました。どうかエリサを牢から出して、ハシントと結婚させることをお許しください」

 

 国王はドリステオの話を聞き、エリサを解放してハシントとの結婚を許す。

 

 トリスタンは、フェリサルドを心配する国王にこう忠告する。「フェリサルド様に調子を合わせて、大理石像との結婚式を華々しく祝うのが良いでしょう。そして大理石像をエリサの容姿とそっくりにして、ドルシーラ様を結婚式の立会人にしましょう。そうすればフェリサルド様は満足して、正気を取り戻すに違いありません」

 

 ドリステオはハシントに会い、「エリサときみとの結婚式をするというのはでまかせだ。牢の中にいるのはエリサではなくセリオなのだ。エリサは王子と結婚できないなら修道院に入るつもりだと言ってスコットランドへ向かっている」と告げる。

 

 王宮の庭園で、皆が見守る中でフェリサルドと大理石像の結婚式が行われる。トリスタンが花嫁として大理石像を運んでくる。それは大理石像に化けたエリサである。

 

 フェリサルドは大理石像(エリサ)の腕を取って結婚を誓う。国王は結婚の許可を与える。すると大理石像(エリサ)は「はい」と返事をする。

 

 大理石像がエリサであることが皆に知られたため、提督は国王にフェリサルドとエリサとの結婚を認めるべきだと進言する。

 

 国王はフェリサルドとエリサの結婚を認める。ハシント、トリスタン、ドリステオにはそれぞれ王宮の役職が与えられる。ドルシーラはセリオ(ここまで全く登場しないにもかかわらず、最終場面では同席していることになっている)と結ばれて幕となる。