Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

名誉の鍵(Llave de la honra, la)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1614-1619年

種類:架空の宮廷劇

補足:ナポリが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ロベルトナポリ国王の寵臣である。彼は既婚者のエレーナに欲望を抱いている。国王はロベルトが悩んでいる様子を見て心配するが、ロベルトは自分の不道徳な感情が知られれば国王の寵愛を失うのではないかと恐れ、王に理由を話すことを拒む。

 

 ロベルトはエレーナの夫のリサルドが家を空ける機会を作り、その隙にエレーナに接近しようと企む。

 

 リサルドは妻のエレーナを深く愛しており、彼女にダイヤモンドの首飾りを贈ろうと考える。しかしエレーナは、リサルドの愛情があれば充分であり宝石などいらないと答える。そこへロベルトの従者ルシンドがやってきて、ロベルトがリサルドに会いたいと望んでいると告げ、リサルドを連れ出す。

 

 エレーナはロベルトが自分に欲望を抱いていることに気づいており、リサルドが外出したのはロベルトの計略だと勘付く。彼女は自分の不安を妹のベリーサに打ち明ける。

 

 ロベルトはリサルドに「国王陛下は、きみに大使としてミラノへ行くようお命じになった。ナポリヴェネツィアの仲裁を依頼する手紙をミラノ公へ渡してほしい」と告げる。リサルドは国王とロベルトに信頼されていると感じて喜ぶ。

 

 リサルドはエレーナにしばしの別れを告げ、ミラノへ向かう。リサルドの従者マリーンも、恋人である侍女のイネスに別れを告げ、リサルドについていく。エレーナはベリーサとともに留守を守る。

 

 ロベルトはエレーナをバルコニーへ誘い出そうと考え、二人の若者に彼女の家の前で騒ぎを起こさせる。しかし用心深いエレーナは外へ出ない。

 

 リサルドはミラノに着き、ロベルトからことづかった手紙をミラノ公に渡す。ミラノ公が手紙を読むと、そこには「リサルドを楽しませてやってください」と書かれていた。ミラノ公はロベルトがリサルドをだまし、よからぬことを企んでいるのだと気づく。公はすぐに家へ帰るようリサルドに命じる。

 

 ナポリへ戻ったリサルドは、ロベルトにミラノ公からの手紙を渡す。手紙には、ロベルトの行いを叱責する言葉が書かれていた。ロベルトは不機嫌になるが、リサルドには手紙の内容を知らせず、感謝しているふりをして報酬を払う。リサルドは喜び、ロベルトへの忠誠を誓う。

 

 リサルドは帰宅してエレーナに、ロベルトからもらった報酬で馬車を買おうと提案する。しかしエレーナは彼に「これまでつつましく生活していたのに、急に贅沢な暮らしをし始めたら悪評が立ちます」と言って反対する。

 

 ルシンドがエレーナを訪問し、ロベルトからの贈物を渡そうとする。しかしロベルトの真意を知っているエレーナは、それを受け取ることを拒否する。

 

 国王は、自分のレオノールをミラノ公と結婚させるつもりだとロベルトに話す。ミラノ公の自分への仕打ちを恨んでいるロベルトはそれに反対し、レオノールを別の貴族と結婚させるべきだと主張するが、国王はそれを無視する。

 

 ロベルトは、マリーンを買収してエレーナに接近しようと考える。マリーンは表向きはロベルトの買収に応じたふりをするが、その後主人のリサルドに「スペインへ行かせてほしい」と願い出る。リサルドがその理由をしつこく尋ねると、マリーンはようやく、ロベルトが自分を買収してエレーナを口説こうとしているのだと告白する。

 

 ロベルトがリサルドを呼び出す。リサルドはマリーンに家の扉を固く締めておくよう命じて出かける。しかしマリーンは、バルコニーの鍵を持っているのはエレーナであることを主人に告げ、「名誉の鍵を持っているのは女性だけです」と警告する。

 

 リサルドが家を出たのを見計らって、ロベルトが取り巻きをつれてエレーナに会おうとやってくる。しかしマリーンは口実を作って扉を開けることを拒否する。ロベルトが家に入る機会をうかがっていると、リサルドが引き返してくる。ロベルトの取り巻きの男たちがリサルドを攻撃するが、マリーンがリサルドに加勢して男たちのうちの一人を傷つけ、追い払う。

 

 リサルドは「私がロベルト様の寵愛を受けたことで、ロベルト様の従者たちの妬みを買ったのだろう」と嘘をつき、シチリアへ逃れるとエレーナに告げる。エレーナとベリーサは彼に賛成する。そこへロベルトが現れ、「リサルドが自分の従者を殺した」と言ってリサルドを捕える。

 

 リサルドはエレーナに、自分の命を救うためにロベルトに身をゆだねたりしてはならないと告げる。エレーナはロベルトに、たとえリサルドを殺してもロベルトが自分を手に入れることはできないだろうと宣言する。

 

 エレーナは館の中の塔に閉じこもり、塔の鍵をマリーンに渡して牢の中のリサルドに届けさせる。リサルドはエレーナの覚悟を知って感動する。

 

 牢の管理人がやってきて、リサルドに死刑判決が下されたことを知らせる。しかし多くの人々はリサルドが無罪だと思っているので、管理人はリサルドに「レオノール様がミラノ公と結婚する機会を利用して、王に恩赦を願い出てはどうか」と忠告する。

 

 レオノールと結婚するためにナポリへやってきたミラノ公は、王にロベルトの手紙を見せ、彼がリサルドをだまして彼の妻エレーナを奪おうとしていたことを教える。そこへエレーナとマリーンが現れ、リサルドの無実を訴える。王はただちにリサルドを解放するよう命じる。リサルドが王の前に現れると、王は彼を衛兵隊長に任命する。

 

 ロベルトは自宅で、エレーナが夫を救うために自分に屈服するだろうと得意げに従者たちに語る。しかし彼の前に現れたのは衛兵隊長となったリサルドであった。リサルドはロベルトを捕える。

 

 王はロベルトの処分をリサルドに委ねる。リサルドはロベルトに死刑を宣告する。ロベルトはエレーナに命乞いをし、エレーナはロベルトを許す。王はかつてロベルトに与えた地位をリサルドに譲らせると宣言する。リサルドが「良き妻を持つことこそ名誉の鍵」と告げて幕となる。