Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

偽の従僕(Lacayo fingido, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1599-1603年

種類:架空の宮廷劇

補足:劇中で、人々が「限られた人々(この場合は嫡出子)にしか見えない布」という嘘によって騙されるという設定は、14世紀のスペインの作家フアン・マヌエルによる寓話集『ルカノール伯爵』に収められた一挿話に基づいている。セルバンテスもまた幕間劇『不思議な見世物』で同じ設定を用いた。さらにこの挿話は後にアンデルセンによって『皇帝の新しい服』(裸の王様)という童話に翻案された。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 

 フランス国王は、ロサルダという女性を自分のものにしたいと考える。ロサルダとロシムンド公爵の結婚式の前日、国王は家臣のレオナルドに「ロサルダを誘拐してこい」と命じる。

 

 国王は、レオナルドがロサルダの恋人であることを知らない。レオナルドはロサルダの教育者で叔父でもあるアルネスト侯爵の家でわざと火事騒ぎをおこし、混乱に乗じてロサルダを連れ去る。ロシムンド公爵との結婚を嫌がっていたロサルダは、最初はレオナルドが自分を助けに来てくれたものと思って喜ぶ。しかしレオナルドが国王の命令で自分を誘拐したのだと知ると、彼女は抵抗する。

 

 ロサルダは、自分を連れて逃げてほしいとレオナルドに懇願するが、そこへ王が現れて彼女を連れ去る。

 

 レオナルドはアルネスト侯爵に会い「ロシムンド公爵が、結婚せずにロサルダを手に入れたいと望み彼女を拉致したのです」と嘘の報告をする。さらにレオナルドはロシムンド公爵に「ロサルダの結婚に反対していたアルネスト侯爵が彼女を拉致したのです」と嘘をつく。アルネスト侯爵とロシムンド公爵はレオナルドの言葉にだまされ、互いに相手を訴えて裁判を起こす。

 

 スペインの王女レオノーラは、かつてロシムンド公爵と結婚の約束を交わしていたが、公爵は彼女を捨ててフランスへ戻ってしまった。レオノーラは彼を追ってフランスへやってくる。

 

 レオノーラは従僕に変装してサンチョと名乗る。サンチョ(レオノーラ)は王宮で有名な存在になるために、ある塔(その中にはロサルダが幽閉されている)の管理人に悪質な冗談を言い、彼の妻が不貞をしたように誤解させる。管理人は怒って妻に罰を与え、妻は国王に夫の仕打ちを訴える。国王はサンチョ(レオノーラ)に事情を聞き、彼(彼女)の冗談が管理人の誤解を招いたのだと知る。

 

 国王はサンチョ(レオノーラ)に興味を持ち、身の上をたずねる。サンチョ(レオノーラ)は「私はスペイン人で、父とともにフランスへやってきました」と説明し、レアンドロ(レオノーラの従者)を父と偽って紹介する。

 

 サンチョ(レオノーラ)は国王に「父は優れた魔術師であり、技術者です。父は不思議な布を織ることができるのですが、その布は正妻から生まれた子どもでなければ見えません」と話す。彼(彼女)にそそのかされた国王は、エレアンドロにその布を織らせて王宮にいるすべての庶子を見つけ出し、彼らから財産を取り上げようと計画する。王はサンチョ(レオノーラ)を気に入り、自分の従僕にする。

 

  アルネスト侯爵とロシムンド公爵は、王の立会いの下の裁判で互いを非難し合う。王妃が彼らを仲裁する。

 

 サンチョ(レオノーラ)はロサルダとレオナルドに出会い、彼らの恋を助けようと決心する。王はロサルダに抵抗されて彼女を手に入れることをあきらめ、彼女をロシムンドと結婚させようと考え始めていた。しかしサンチョ(レオノーラ)は王に「私がロサルダの心を変えてみせます」と告げる。

 

 

 サンチョ(レオノーラ)は塔の管理人に「王妃様はロサルダが塔の中にいることに気づき、あなたが彼女を幽閉したのだと考えている。あなたは拷問され、処刑されるだろう」と告げる。恐れをなした管理人は王妃のところへ行き「ロサルダ様を拉致したのはアルネスト侯爵です」と嘘の報告をする。王妃はすぐに管理人の嘘を見抜き、アルネスト侯爵とロシムンド公爵を仲直りさせる。

 

 エレアンドロは、不思議な布が完成したと王宮の人々に宣伝する。人々は、舞台の上に広げられているというその布を見ようとするが、誰の目にもその布は見えない。しかし自分が庶子であると疑われることを恐れ、誰もそのことを口にしない。

 

 サンチョ(レオノーラ)は翌日、巧みな嘘によって人々を塔の前に呼び集める。王は自分のためにロサルダが塔から解放されるのだと思い、ロシムンドはロサルダと結婚できるのだと思い、塔の管理人は不思議な布で自分の服を作ってもらえるのだと思いこんでいる。

 

 王はロサルダを求めて塔に入るが、そこには愛の言葉を交わすロサルダとレオナルドの姿があった。王は激怒するが、そこへ王妃がやってきて王を非難する。ロサルダとレオナルドは王妃に「王様は私たちが結婚できるよう取り計らってくださったのです」と説明し、王はやむなくそれを認める。

 

 ロシムンドは花婿の衣装を着て塔に入るが、そこへサンチョ(レオノーラ)が現れて自分の正体を明かす。レオノーラはロシムンドとの結婚を望み、ロシムンドはそれを受け入れる。

 

 皆の前に塔の管理人が裸で現れる。皆は彼の「新しい服」を誉めそやす。しかし管理人は、その服が実際には誰の目にも見えていないことを暴露する。

 

 二組の男女の結婚が祝福され、レオナルドが観客に挨拶をして幕となる。

 

 

スペイン中世・黄金世紀文学選集 (3)

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