Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

幸運な農夫(Labrador venturoso, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1620-22年

種類:農村を舞台とした同時代劇

補足:10‐11世紀のレオン王アルフォンソ5世の姉妹の一人が、本人の意志に沿わない形でトレドのイスラム教徒の王と結婚させられたという史実をもとにしているが、ジャンルとしては同時代劇と言えるものである。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 カスティーリャ国王は、セビーリャのイスラム教徒の王スレーマと良好な関係を保つため、娘のエルビラを彼と結婚させようとする。父に反発するエルビラは、結婚から逃れるため侍女のセリアの助けを借りて変装し、王宮から脱出する。貴族のドン・マンリーケ・デ・ララはエルビラの正体に気づかず、彼女に逃げられてしまう。

 

 エルビラは街はずれまで来ると、疲れて道端で眠ってしまう。トレドから故郷へ戻る途中の農夫フィレーノドルシートも、彼女と同じ場所で眠っていた。夜が明け、目を覚ましたエルビラはフィレーノとドルシートを見つける。エルビラは二人に、彼らの住む村へつれて行ってほしいと頼む。

 

 フィレーノとドルシートの住む村には、フェリシアーノという裕福な農夫が住んでいた。彼は貴族の血を引いていたが、争いごとに嫌気がさし、山地での穏やかな暮らしを求めてその村に居を構えたのであった。エルビラはイネスと名乗り、彼の家に雇われる。

 

 カスティーリャ国王は、娘のエルビラがいなくなったのは神の意志によるものだと考え、彼女とイスラム教徒の王との結婚は取り消すと宣言する。

 

 フェリシアーノは、息子のアルフォンソを孤児の娘レオノールと結婚させようと考えていた。しかしアルフォンソの従兄にあたる青年ラウロもレオノールに恋しており、アルフォンソとラウロはレオノールをめぐって対立する。

 

 村人たちは、アルフォンソとラウロの喧嘩を仲裁しようとする。レオノールは、アルフォンソに恋していることを告白する。村人たちは振られてしまったラウロを慰め、彼にイネス(エルビラ)を紹介する。ラウロはたちまち彼女に魅了される。

 

 ラウロはフィレーノに、イネス(エルビラ)との仲をとりもってほしいと頼む。しかしイネス(エルビラ)はラウロの求愛を交わすため、わざとフィレーノに恋しているふりをする。ラウロはそれでもめげずに、彼女のために宴会を開くと宣言する。

 

 ラウロと争ったことで父から叱られたアルフォンソは意気消沈する。彼はイネス(エルビラ)に出会い、その美しさに魅了される。アルフォンソは恋の相手をイネスに変えればラウロとの対立も終わらせられるだろうと考える。しかしラウロがイネス(エルビラ)のために宴会を開くという知らせが入り、またフィレーノもイネス(エルビラ)が恋しているのは自分だとアルフォンソに告げる。

 

  ラウロ主催の宴会が始まる。そこへ、家臣たちと共に狩りを楽しんでいたスレーマが現れる。スレーマはイネス(エルビラ)が自分の婚約者であるとは気づかないまま彼女と話をする。さらにそこへマンリーケ・デ・ララが現れ、「エルビラが修道院へ隠遁したので、彼女との結婚はできなくなった。しかし両国の平和な関係を維持したいという意思は変わらない」というカスティーリャ王の言葉をスレーマに伝える。スレーマは憤慨し、カスティーリャに宣戦布告をして去っていく。

 

 アルフォンソとラウロは、今度はイネス(エルビラ)をめぐって対立する。イネス(エルビラ)は、彼らは二人とも郷士の身分ではあるが王女の自分とは不釣り合いな相手であるとひそかに考える。

 

 アルフォンソは、自分の祖先が国王であることをイネス(エルビラ)に告げ、彼女に逢引の提案をする。イネス(エルビラ)は抵抗を示しつつも期待を持たせる返事をする。フィレーノがイネス(エルビラ)に求愛するが、イネス(エルビラ)は「私と結婚しようとする者は、亡き夫の亡霊に殺されるかもしれない」と嘘をついて彼を遠ざける。

 

  スレーマはトレドを攻めようとする。アルフォンソはカスティーリャ王に軍資金を提供し、国を守るために戦いたいと申し出る。彼の勇気に感心した王は彼を隊長に任命する。

 

 アルフォンソはスレーマと戦い、彼を捕虜にする。スレーマは自分の婚約者だと告げてエルビラの肖像画をアルフォンソに見せる。アルフォンソはそれがイネス(エルビラ)であるのを知り、動揺する。

 

 アルフォンソは王にスレーマを引き渡し、父フェリシアーノの住む家に招待する。

 

 ラウロはアルフォンソが戦死したという偽りの噂を流し、イネス(エルビラ)と結婚しようと企む。しかしアルフォンソが帰ってきたために彼の嘘はばれてしまう。イネス(エルビラ)とアルフォンソは再会を喜び合うが、ラウロが偽りの噂を流したことを知ってアルフォンソは怒り、ラウロと戦う。

 

 王はアルフォンソから事情を聞き、イネス(エルビラ)にどちらかの男性を選ばせるようにと命令する。イネス(エルビラ)が現れ、王はそれが自分の娘であることに気づく。スレーマは彼女との結婚を要求するが、エルビラはそれを拒む。エルビラは、「マンリーケと結婚するのが適切かもしれないが、私はアルフォンソを選ぶ」と宣言する。王はそれを認める。「幸運な農夫」アルフォンソとエルビラ、ラウロとレオノールが結ばれて幕となる。