Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

クレタの迷宮(Laberinto de Creta, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1610-15年

種類:文学に基づく神話劇

補足:ギリシャ神話の英雄テセウスの物語にもとづいているが、ロペの創作による部分も含まれている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

*人物名はスペイン語読みにならう。

 

 クレタの王ミノスはかつて息子のアンドロヘオ(アンドロゲオス)をアテネ人たちに殺されたため、復讐心からアテネに攻め込む。

 

 アテネの王女シラはミノスに恋し、彼が自分を妻にしてくれると信じて父王ニーソを暗殺する。しかし彼女の裏切りのおかげでアテネに勝利したミノスは、シラにあからさまな軽蔑を示す。シラは怒り、ミノスを呪詛する。

 

 シラの呪いにより、たちまちミノスに不運がもたらされる。使者ポリネセスが現れ、ミノスにクレタの状況を知らせる。ミノスが不在の間、彼の妻パシファエは一頭の美しい牡牛(神ユピテルの化身)と交わり、半身が人間で半身が牡牛である怪物ミノタウロスを産んでいた。

 

 ミノスはアテネ人たちに「毎年、10人の人間をミノタウロスの生贄として差し出すように」と命じる。しかしアテネの公爵テセオ(テセウスは、「生贄は1人に減らすべきだ。その者はアテネの住民全員がくじ引きをして決めるべきだ」と主張する。

 

 テセオの主張が受け入れられ、くじ引きが行なわれた結果、テセオが生贄になることが決まる。テセオは従者のフィネオをつれてミノスとともにクレタへ向かう。

 

 ミノスの娘アリアドナ(アリアドネはレスボスの王子オランテオと恋仲になっていたが、ミノスは彼女を軍人のフェニーソと婚約させてしまう。アリアドナが嘆いていると、彼女の妹フェードラ(パイドラ)が現れ、ミノスが帰国したと告げる。オランテオは嘆きながら、従者のラウロとともにレスボスへ帰ってしまう。

 

 建築家のデダロ(ダイダロスは、ミノタウロス(劇中には登場しない)を閉じ込めておくための迷宮を建てる。帰国したミノスはデダロの仕事ぶりを賞賛し、デダロの息子イカロ(イカロス)に恩賞を与えようと約束する。

 

 ミノタウロスへの生贄として、テセオとフィネオが皆の前に引き出される。アリアドナはテセオに惹きつけられる。ミノスはテセオのような立派な人間を殺すことを惜しみつつも、彼を塔に監禁するようフェニーソに命じる。

 

 テセオに同情したアリアドナとフェードラは、フィネオの手引きで塔に忍び込み、テセオと面会する。テセオはアリアドナの美しさに魅了される。

 

 アリアドナはテセオに毒の入ったパンと棍棒を渡し、それを使ってミノタウロスを殺すよう忠告する。さらにアリアドナはテセオに黄金の糸を渡し、迷宮に入る際に入口に糸の端を結びつけていけば迷わずに戻って来られると教える。父から復讐されることを恐れたアリアドナは、ミノタウロス退治に成功したら自分とフェードラをアテネへつれて行ってほしいとテセオに頼む。アリアドナに恋したテセオは彼女の提案を受け入れる。

 

 オランテオはラウロをつれてひそかにレスボスからクレタに戻り、レスボスがクレタに戦争を仕掛けようと考えていることをミノスに告げる。ミノスはレスボスとの戦争を避けるため、アリアドナをオランテオと結婚させることに同意する。

 

 テセオとフィネオは黄金の糸を入口に結び付けてから、迷宮に入る。アリアドナとフェードラも男装して彼らの後を追う。首尾よくミノタウロスを殺したテセオは、海岸に用意しておいた船に乗り込み、フィネオ、アリアドナ、フェードラとともにアテネへ向かう。しかし風向きが悪く、船はレスボスに着いてしまう。

 

 テセオはフィネオに、自分がフェードラに心変わりしてしまったことを告白する。テセオはアリアドナを海岸に置き去りにしていくつもりだと話し、フィネオはテセオの卑劣な計画を非難する。

 

 テセオはアリアドナに音楽を聴かせて深い眠りに陥らせ、その隙にフェードラをつれて船でレスボスを出発する。目覚めたアリアドナはテセオの仕打ちを知って嘆き悲しむ。フィネオはアリアドナを慰める。

 

 ミノスはオランテオとアリアドナを結婚させ、フェニーソにはアリアドナのかわりにフェードラを妻に与えようと計画する。そこへテセオがミノタウロスを退治し、アリアドナとフェードラとともに姿を消したという知らせが入る。ミノスとオランテオは激怒する。

 

 アリアドナは男装したままモンターノと名乗り、羊飼いとしてレスボスで暮らしていた。農家の娘ディアナから求愛されたアリアドナは困惑する。

 

 オランテオとラウロはレスボスへ戻り、テセオに決闘を申し込むためアテネに使者を送る。その後、山へ狩りに出かけた二人は羊飼いのモンターノ(アリアドナ)に出会う。彼(彼女)がアリアドナにそっくりであるのを見たオランテオは驚くが、オランテオに気づいたモンターノ(アリアドナ)はしらを切り通す。モンターノ(アリアドナ)は農村の生活を賛美して宮廷での生活を批判するが、再び自分がオランテオに恋心を感じ始めていることに気づく。

 

 羊飼いたちは四月の祭りを祝うため、モンターノ(アリアドナ)を誘って女神ミネルウァの神殿へ花を捧げに行く。その祝祭でミネルウァ像から両手を頭に置かれた羊飼いたちは、王と王妃に選ばれるのである。ドリクレアは王妃に選ばれたいと望み、モンターノ(アリアドナ)に、「女性の服を着て、ミネルウァ像になりすましてほしい。そして私の頭に手を置いてほしい」と頼む。

 

 テセオはオランテオからの決闘の申込を受け、レスボスへ行くことを決心する。彼を案じるフェードラも彼についていく。

 

  レスボスでは四月の祭りが行われる。オランテオ、ラウロ、フィネオもそれに参加する。モンターノ(アリアドナ)は女性の服を着てミネルウァ像になりすまし、両手をフィネオとドリクレアの頭の上に置いて、彼らを王と王妃に選ぶ。

 

 ミネルウァ像がアリアドナにそっくりであるのに驚いたオランテオは、その像を持ち帰りたいと望む。しかしミネルウァ像(アリアドナ)はそれを拒み、「あなたの愛する者は、近くにいる」と彼に告げる。

 

 テセオとフェードラがレスボスに到着する。オランテオはテセオを殺そうと海岸へ向かう。ミノスとフェニーソもその場に立ち会う。

 

 ミノスとオランテオは、アリアドナを返すようテセオに要求する。フィネオはテセオを非難し、彼に捨てられたアリアドナはすでに死んでしまったと告げる。

 

 フィネオはモンターノ(アリアドナ)をつれてくる。モンターノ(アリアドナ)は自分の正体を明かす。皆は驚き喜ぶ。

 

 テセオとフェードラ、オランテオとアリアドナ、フィネオとドリクレアが結ばれる。テセオとミノスも和解して幕となる。