Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

聖イシドロの青年時代(Juventud de san Isidro, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1622年

種類:宗教劇

補足:マドリード守護聖人である農夫聖イシドロ(ラテン語ではイシドルス)の青年時代を描く。イシドロは1622年に列聖された。この戯曲は『聖イシドロの幼年時代(La niñez de san Isidro)』とともに、イシドロの列聖を記念する祝祭のためにマドリード市の注文でロペが執筆したものである。二つの戯曲は国王夫妻の前で上演され、同じ年に出版された。それぞれが二幕構成となっている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 騎士ドン・イバン・デ・バルガスとその妻ドニャ・アナに仕える農夫イシドロは、同じく農家の生まれであるマリア・デ・ラ・カベサと結婚する。村人たちが集まり、イシドロとマリアの結婚式が行われる。イバンとアナは、イシドロとマリアの人柄の誠実さを称える。信心深いイシドロとマリアは、新居に新しい祭壇を設置する。

 

 その夜、騎士ドン・ルイス・ラミレスがイバンを訪問する。ルイスは、モーロ人の軍隊とキリスト教徒側の軍隊との戦いについて報告する。ルイスはまた、戦いの最中に不思議な声が響き、モーロ人の敗走と未来の国王フェリペ3世および4世の平和な治世を予言したとイバンに話す。

 

 炎とともに「嫉み」が登場する。「嫉み」は村人のティルソやイバンの前に現れ、イシドロが農夫としての仕事をないがしろにしていると吹き込む。イバンは疑念に苛まれ、イシドロの仕事ぶりを確認しようと考える。

 

 イシドロは畑で神に祈りをささげる。「嫉み」はイシドロに近づき、祈りを妨げようとする。狼がイシドロの飼っているロバを襲って食べてしまうが、イシドロは「嫉み」に抵抗し続ける。

 

 羊飼いの姿をしたキリストがイシドロのそばを通りかかる。キリストは、イシドロが幼い頃に自分に食べ物を与えてくれたことを思い出させる。キリストはイシドロを祝福し、天に昇っていく。

 

 イバンはイシドロが仕事を怠けているのではないかと畑を見に行く。しかしイシドロの顔は神々しく輝いており、天使たちが彼に代わって畑を耕していた。

 

 互いに純潔を守ろうと考えたイシドロとマリアは、別々に暮らすことを決心する。マリアはハラマ川沿いに建つ修道院に入って祈りに身を捧げ、イシドロはマドリードに残って農夫としての仕事を続ける。

 

 ある冬の日に小麦を運んでいたイシドロは、飢えた小鳥たちを見かねて小麦をわけてやる。イシドロの慈悲深い行動により奇跡が起きて、彼が運んだ小麦は大量に増える。

 

 村人のティルソはバルトーラと恋仲になり、イバン夫妻から結婚の許可を得る。水車小屋に行った二人は、大量に増えた小麦を見て驚く。

 

 「嫉み」は「嘘」に援助を求める。「嘘」はイシドロに近づき、マリアが他の農夫たちと関係を結んでいると告げる。驚いたイシドロは、ティルソとともにマリアの貞節を確かめに行く。

 

 彼らがハラマ川沿いに来た時、祈りを終えて祈禱所から出てきたマリアが対岸にいるのが目に入る。マリアのもとに天の声が響き、夫のイシドロが「嘘」と「嫉み」によって混乱しているということを彼女に知らせる。マリアはマントを川の水面に広げ、その上に乗って川の向こう岸まで渡る。イシドロとマリアは「嘘」と「嫉み」に勝利したことを悟り、喜び合う。

 

 ルイス・ラミレスは、自分の病気の息子のためにイシドロに祈りをささげてほしいとイバンに依頼する。イバンは承知する。

 

 イバンの夢の中で「スペイン」「預言」が、フェリペ2世、3世、4世によってスペインの黄金時代が築かれることと、マドリードの聖人イシドロが栄冠を得ることを語って幕となる。