Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

フリアン・ロメロ(Julián Romero)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1597-1604年

種類:歴史劇

補足:「サン=カンタンの戦い」(1557年)などで活躍したサンティアゴ騎士団員の軍人フリアン・ロメロの生涯を描いている。イングランドにおけるメアリー1世とジェーン・グレイとの王位継承権争い、メアリーとフェリペ2世との結婚なども扱われている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 クエンカでサクリスタン(聖堂の聖具管理人)を務めているフリアン・ロメロは、軍人になりたいと考える。彼は兵士として軍隊に入ろうとするが、軍人たちから拒否される。 フリアンはサクリスタンの仕事をやめ、太鼓の運び人としてひそかに軍隊に加わる。

 

 イングランドでは先王の死後、城に幽閉されていたメアリー(メアリー1世が王位を継ぐことになっていた。しかしサフォーク公爵レヨ伯爵(Conde Leyo)は、サフォーク公爵の娘ジェーン(ジェーン・グレイ)を支持してメアリーから王位継承権を剥奪しようと画策する。

 

 神聖ローマ皇帝カール5世(スペイン国王カルロス1世)は、メアリーを息子フェリペ(後のスペイン国王フェリペ2世の妻にしたいと望んでいたため、彼女の王位継承権を守るべくイングランドに攻め込む準備をする。

 

 ジェーンはイングランドの女王であることを宣言し、メアリーの捕縛を命じる。メアリーも自分が女王であることを宣言し、フェリペと結婚する意思を表明する。しかしサフォーク公爵が軍隊とともに彼女の城に現れ、彼女を捕えようとする。

 

 ジェーンが女王の位を剥奪したことを知って、メアリーは激怒する。彼女はローマ・カトリックの旗標を掲げ、あらためて自身が女王であると宣言する。それを見た兵士たちはメアリーに寝返り、サフォーク公爵を捕縛する。メアリーはロンドンへ赴き、ジェーンに会う。多くの貴族たちがメアリーを支持したため、ジェーンは女王の位を放棄する。レヨ伯爵は投獄される。(*史実ではジェーン・グレイとその支持者たちは処刑されている)

 

  フリアンはドン・ガルシア・デ・トレド率いる軍隊に入り、アフリカでの戦役で手柄を立てて軍曹に出世する。その後、フリアンはガルシアの父でナポリの副王であるドン・ペドロ・デ・トレドとともにロンドンへ赴く。

 

 ロンドンではメアリーとフェリペとの結婚式の準備が整えられていた。フェリペは、自分の顔がイングランドでは知られていないことを利用して別人になりすまし、フェリア伯爵とともに宿屋に泊まって女王の行列を窓から見物しようとする。宿屋の主人はフェリペとフェリア伯爵を裕福な家柄の人物だと思い、彼らを殺して財産を奪おうと企む。

 

  フリアンはペドロからの手紙を届けるため、フェリペのいる宿屋を訪れる。いっぽう、宿屋の主人の幼い息子は、フェリペに自分の父親が彼を殺そうとしていることを教える。フェリペとフェリア伯爵はひそかに宿屋から逃げ出す。

 

 フリアンは、宿の主人が雇った盗賊を待ち受けて彼らを殺す。しかし警吏がやってきてフリアンを捕える。宿の主人がついた嘘によってフリアンは強盗とみなされ、検事から死刑を宣告される。

 

 翌日、宿の主人は検事とともにフェリペとメアリーの前に現れ、事件を報告する。しかし真実を知っているフェリペはフリアンの処刑を中止させる。宿の主人はメアリーの命令によって処刑されそうになるが、幼い息子の嘆願によって命を助けられる。フリアンは国王フェリペの衛兵隊長に任命される。

 

  半年後、フリアンはフェリペの命令によりブリュッセルに赴く。その目的はカール5世に仕え、フランスの軍事的脅威に備えることであった。

 

 フランス軍がドゥエーでスペイン軍に降伏を呼びかけるが、フリアンはフランス軍をあざむき、自分がフランスに寝返ったと思わせる。フリアンは、スペイン側の援軍はしばらくはドゥエーに到着しないだろうと嘘をつく。

 

 ドゥエーのスペイン軍は、サヴォイア公の援軍を待つべきかどうかをめぐって議論していた。フランス軍の司令官はフリアンを彼らの元に送り、あらためて降伏を勧めようとする。しかしスペイン軍に接触したフリアンは、援軍はもうすぐ到着すると告げて彼らを励ます。

 

 フリアンの嘘を知ったフランス人兵士ギリェルモは、そのことを味方に知らせる。フランス側はサヴォイア公の援軍の攻撃に備える。夜になると、スペイン軍はわざと太鼓を打ち鳴らしながらときの声を上げる。スペイン側の援軍が到着したのだと思いこんだフランス軍は撤退する。スペイン側はドゥエーの獲得に成功する。

 

 ドゥエーで勝利をおさめた後、フリアンはフェリペ2世を助けるためサン=カンタンに赴く。彼はサンティアゴ騎士団の団員に任命される。他の騎士たちはフリアンに嫉妬し、彼がもとはサクリスタンであったことや貴族の家柄でないことを非難する。フリアンは彼らと戦い、勝利する。

 

 サン=カンタンの戦いのための会議が行われ、聖ラウレンティウスに捧げられた聖堂の取り壊しが提案される。フリアンは戦闘の勝利のために聖堂を壊し、代わりにスペインの地に新しい聖堂(*エル・エスコリアル王立修道院のこと)を建てることを提案する。

 

 フェリペのもとに聖ラウレンティウスが出現する(あるいは声のみが聞こえる)。スペイン軍がサン=カンタンを占領し、フランス側の司令官を捕えて幕となる。

 

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エル・グレコ《フリアン・ロメロと彼の守護聖人》1612‐18年 プラド美術館

Ciudad de la pintura - La mayor pinacoteca virtual

 

 

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