Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

追加:バルラーンとホサファト(自筆原稿による)(Barlaán y Josafat, autógrafo)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1611年?

種類:聖人伝と伝説に基づく宗教劇

補足:『バルラーンとホサファト』のロペによる自筆原稿は第二次大戦中に失われたとみなされていたが、Daniele Crivellariは2015年にそれがスイスに現存していることを発表した。Artelopeはこの情報に基づいて本データを追加している。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 インドの王アベニールには、ホサファトという王子がいる。ホサファトは生まれた時から宮殿の外に出ることを許されず、外の世界のことは教師から教わっていた。ホサファトは自分の境遇を嘆く。

 

 彼の教育係サルダーンは、アベニールがかつて占星術師から「ホサファトはいずれキリスト教徒になる」と予言されたことにより、息子をキリスト教徒たちと接触させまいとしているのだと教える。アベニールは禁欲を奨励する厳格なキリスト教の教義を嫌い、キリスト教徒を迫害していた。

 

 ホサファトは、宮殿の外へ行きたいとアベニールに懇願する。アベニールはそれを許可するが、ホサファトがいっさいの悲しみを味わわないですむように、彼が歩く道で音楽や踊りを披露させるように家臣たちに命じる。

 

 ホサファトは本屋に入り、アリストテレスヒポクラテスホメロスなどの著作とともに旧約聖書に関心を持ち、それらの本を宮殿へ持ち帰らせる。

 

 戦争に敗れて囚人となった王女レウシーペが、泣きながら現れる。彼女の身の上を聞いたホサファトは、王もまたそのような境遇に陥ることがあるのだと知って驚く。彼はレウシーペを自分の姉妹同様に扱うよう家臣に命じる。レウシーペの存在によって、ホサファトは人間の運命のはかなさと女性の美しさを知る。

 

 ホサファトはまた、老人や手足の不自由な人に出会い、病気や死というものがこの世にはあるということを知る。この世の苦しみについて考えたホサファトは、ごまかしに惑わされることなく真理を追究したいという望みを抱く。

 

 ホサファトは宮殿に持ち帰った本を読み、キリスト教徒たちの信じる唯一の神の存在に興味を持つ。

 

 バビロンの山中に住むキリスト教の隠修士バルラーンの前に天使が現れ、ホサファトにキリスト教の教義を伝えよと告げる。天使は彼を抱えて空を飛び、インドへと彼をつれて行く。

 

 バルラーンは商人のふりをしてサルダーンに近づき、「心の清らかな者だけが見ることのできる石」をホサファトに見せたいと告げる。

 

 ホサファトに恋をしたレウシーペは、ファビオという歌手を彼の元へ送り、恋の歌を歌わせることを思いつく。

 

 宮殿に入ることを許されたバルラーンは、ホサファトに会う。彼はホサファトにキリスト教の奥義を教え、洗礼を授ける。サルダーンはそれを目撃する。サルダーンの報告を受けたアベニールは激怒する。

 

 バルラーンはホサファトに粗い毛織物の衣を与え、別れを告げて去って行く。ホサファトは王子の服からその衣に着替える。

 

 アベニールの従者の一人は、ナコルという名の賢者にバルラーンのふりをさせ、ホサファトの目の前で占星術師たちに論破されるところを見せれば、ホサファトはキリスト教を捨てるであろうと提案する。

 

 ファビオが到着して、ホサファトの前で恋の歌を歌う。しかしホサファトは関心を示さない。落胆したレウシーペは、ホサファトへの恋をあきらめる。

 

 バルラーンに化けたナコルが宮殿に現れ、二人の占星術師とキリスト教をめぐる公開討論を行う。ナコルはわざと負けようとするが、神秘的な力で彼の正体を見抜いたホサファトが「キリスト教を擁護しなければ死刑にする」と彼を脅す。ナコルはやむなく占星術師たちを論破する。彼らは王から死刑を言い渡され、その後キリスト教に改宗する。

 

 魔術師のテウダスが、ホサファトを王に服従させるために宮殿にやってくる。彼はホサファトの貞節を試すため、彼に仕える者たちを全員女性にしてほしいと依頼する。

 

 ホサファトの前にレウシーペや他の女性たちが現れ、彼の入浴と着替えを手伝う。テウダスは悪魔を呼び出す。悪魔にそそのかされたレウシーペはホサファトに「あなたの魂を救いたいので、私と結婚してください」と言う。

 

 当惑したホサファトは急に眠りに落ち、天国と地獄を幻視する。彼は正しい信仰を抱いて生きることを決心し、周囲の者たちに自分が経験したことを話す。神秘的な声が響き、神の前では悪魔たちは無力であることを告げる。

 

 テウダスはキリスト教に改宗する。アベニールはサルダーンの忠告を受け入れ、ホサファトとの対立を避けて王国を分割することに同意する。アベニール自身もキリスト教に改宗し、王国の民もみなキリスト教に改宗する。

 

 ホサファトが王位を貴族の一人に与えて自らは退き、隠修士となってバルラーンを探すため山へ去る場面で幕となる。

 

 

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