Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ホルヘ・トレダーノ(Jorge Toledano)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1595-1597?年

種類:文学に基づく劇

補足:カトリック両王時代のスペインと北アフリカのアルジェが舞台となる。ホルヘ・トレダーノ役を演じたのはアグスティン・ソラーノという俳優で、彼の演技に対するロペの賛辞が残されている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 キリスト教からイスラム教へ改宗したアラーフェは、北アフリカのアルジェの貴族となり、アルジェの国王に仕えていた。彼は王の寵愛を受けているキリスト教徒の奴隷セリマに恋をしてしまう。

 

 アルジェの王の方は、スペインのカステリョンに住むラウドミアという美しい女性の噂を聞き、彼女に強い関心を持つ。王は、ラウドミアを拉致して来ればセリマとの結婚を許すとアラーフェに約束する。

 

 アラーフェは、ラウドミアが父親のアントニオとともにカステリョンの海岸を散歩するという情報を得て、彼女を海岸で待ち伏せる。

 

 モーロ人の貴族アルガンはひそかにセリマに恋しており、アラーフェに嫉妬している。彼はアラーフェの計画を妨害し、自分が手柄を横取りしようと企む。

 

 アラーフェが率いるモーロ人たちは、散歩をしていたラウドミアとアントニオを襲う。アラーフェがアントニオを捕えている間に、アルガンはラウドミアを追う。

 

 アルガンはラウドミアを捕えるが、「自分は、あなたを拉致しようとしているアラーフェの企みを阻止したい」と彼女に告げて、彼女を助けると申し出る。そこへ、リベリオというバルセロナの騎士が従者たちをひきつれてラウドミアを救出しに来る。リベリオは、アントニオがラウドミアと結婚させようと考えていた青年である。

 

 ラウドミアはリベリオに、アルガンが自分を助けてくれたのだと話す。リベリオはアントニオを助けに向かい、アルガンも彼に付き添う。

 

 ラウドミアは、リベリオの従者であるホルヘ・トレダーノとともに残る。ホルヘは突然、ラウドミアに愛の告白をする。しかしラウドミアはその告白をばかげていて無礼だと評し、彼を叱る。そこへ、嵐のためにアラーフェとアントニオの乗った船を見失ったリベリオとアルガンが戻ってくる。

 

 アラーフェはアントニオをつれてアルジェへ戻り、嵐のためにラウドミアを捕えることに失敗したと報告する。王はアラーフェを叱責する。しかしアントニオと二人きりになったとき、王は「ラウドミアを拉致しようとしたことを後悔している。自分が本当に愛しているのはセリマだ」と告白する。アントニオは、自分が騎馬隊の隊長であること、現在アラゴン国王フェルナンドはナポリにいて、カスティーリャは女王イサベルによって統治されていることを話す。

 

 王とアントニオが話しているのを見たセリマは、王がラウドミアとの結婚を相談しているのだと勘違いし、嫉妬する。彼女は王への腹いせのために再びキリスト教徒に戻ると宣言する。

 

 カステリョンでは、ラウドミアが「父を助けてくれた男性と結婚するつもりだ」と宣言し、ホルヘは希望を持つ。ホルヘはアルガンに「私は貧しいけれども郷士の生まれだ。子どもの頃、トレドの孤児院に捨てられたので “ホルヘ・トレダーノ”(トレドのホルヘ)と呼ばれるようになった」と打ち明ける。アルガンは、ともにアルジェへ行ってアントニオを助けようと彼に提案する。

 

 モーロ人たちの船が海岸にやってきたという知らせが入る。ホルヘとアルガンはリベリオの先を越して海岸へ向かい、モーロ人の船に乗ってアルジェへと向かう。

 

 アルガンは、セリマがキリスト教徒の捕虜を好んでいることを利用しようと考え、ホルヘを捕虜として彼女のもとへつれていく。アルガンがセリマに恋していることを知っているホルヘは、セリマとアルガンの仲を取り持とうとするが、セリマはホルヘを見て彼に恋してしまう。

 

 ホルヘを見たアラーフェは、アルガンがつれてきた捕虜として彼を王に紹介する。ホルヘはセリマからも王からも気に入られ、双方から従者になることを求められる。

 

 アラーフェは「セリマはもともと私の恋人でした」と主張して彼女との結婚を希望するが、王はそれを拒否する。アラーフェは怒り、「今のセリマはキリスト教徒に戻った卑しい女です」と王に告げる。王はそれを聞いて動揺する。

 

 ホルヘから「王からもセリマからも、自分の従者になれと言われた」と相談されたアルガンは、王の要求をうまくかわすことに決め、セリマの気に入られるようにキリスト教徒の優雅な服装をするよう助言する。

 

 優雅な服装でセリマの前に出たホルヘは、セリマから熱烈な求愛を受ける。耐えきれなくなった彼は大声を上げて助けを求める。

 

 王とアラーフェは、離れたところからその様子を目撃する。王はセリマを捕えさせるが、彼女の求愛を拒否したホルヘは自分に忠実な家臣だと信頼して、彼に高い地位を与える。

 

 アラーフェはセリマをだまし、王が彼女の処刑を命じたように思いこませる。セリマが慈悲を乞うと、アラーフェは彼女に「ナポリへ一緒に逃げてアラゴン王フェルナンドの庇護を求め、キリスト教に改宗しよう」と提案する。

 

  ホルヘはアントニオに会い、ラウドミアが「父を助けてくれた人と結婚する」と約束したことを告げる。しかし彼は、自分がリベリオの従者であることは隠す。

 

 王がホルヘに「アラーフェが私を裏切り、セリマを連れてナポリへ逃げた」と知らせる。ホルヘはすぐに船でアラーフェを追跡する。

 

 ホルヘはアラーフェとセリマ、キリスト教徒の捕虜たちを捕えてアルジェにつれ戻す。しかし彼は王に、彼らを許してほしいと懇願する。王はホルヘの寛大さを見て感心する。

 

 ホルヘはセリマと王との仲を取り持ち、二人は和解する。セリマはアラーフェにだまされたことを王に教える。

 

 アルガンは、自分とセリマとの仲を取り持つという約束をホルヘが破ったことに立腹する。アルガンとアラーフェは、もう一人のモーロ人マラーフォとともにホルヘを失脚させる計画を立てる。

 

 3人は、ホルヘをそそのかしてアルジェの王位を得たいという野心を持たせ、その後で王に讒言してホルヘを失脚させようと考える。しかしホルヘは一足早く彼らの企みに気づき、3人が自分に王位をちらつかせて野心を起こさせようとしているところをわざと王に目撃させる。

 

 王は、自分の危機を救ってくれたとホルヘに感謝し、なんでも望みの物を与えようと彼に告げる。ホルヘは自分がラウドミアとの結婚を望んでいることを告白し、自分とアントニオを自由にしてほしいと訴える。王は彼の望みを受け入れる。ホルヘはアントニオや他のキリスト教徒の捕虜たちとともにスペインへ戻る。

 

 リベリオとラウドミアは、メルセス会の修道士たちとともにアントニオをアルジェの王から請け戻すことを考えていた。リベリオはアントニオに代わってラウドミアの身を保護しており、彼らはすでに結婚の意志を固めていた。

 

 リベリオの妹のレオノールが、バルセロナからカステリョンに到着する。リベリオとラウドミアは彼女を歓迎する。リベリオとラウドミアの結婚式が行われる。

 

 結婚式が終わり、リベリオとラウドミアは仲睦まじい会話を交わす。そこへベラルドというキリスト教徒の捕虜がやってきて、アントニオの帰還を知らせる。リベリオは敵の罠ではないかと怪しむ。

 

 モーロ人の優雅な衣装をまとったホルヘが、キリスト教徒の捕虜たちが奏でる太鼓やラッパの音とともにアントニオをつれて登場する。皆は仰天する。

 

 アントニオは、ホルヘが自分を助けてくれたこと、彼にラウドミアとの結婚を約束したことを皆に話す。しかしリベリオとラウドミアはすでに結婚してしまったので、その約束を果たすことはできない。ホルヘは嘆き、自分の身の上を皆の前で告白する。その結果、彼はアントニオの実の息子であることが判明する。

 

 自分がラウドミアと兄妹であったことを知ったホルヘは、実の家族との再会に感謝し、レオノールとの結婚に同意する。ホルヘが自分の財産を捕虜たちに分け与えることを告げて幕となる。