Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

罪なき者の血(Inocente sangre, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1604-1612年

種類:歴史劇

補足:カスティーリャ=レオン王フェルナンド4世時代(13-14世紀)のスペインが舞台となる。伝説によれば、フェルナンド4世は自分に仕えていた騎士のカルバハル兄弟を処刑した直後、誰にも看取られずに急死したとされる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 カスティーリャ国王フェルナンド4世は、彼の王位を狙う叔父のアロンソ・デ・ラ・セルダが率いるレオンの軍勢と戦う。カスティーリャの貴族ドン・ゴメス・デ・ベナビデスは、戦場で華々しい活躍をする。

 

 ペドロ・デ・カルバハルは裏切り者のドン・ラミロを侮辱し、投獄しようとする。しかしゴメスのとりなしによってラミロは投獄を免れる。

 

 ラミロは再びカスティーリャ側について戦うことを心に決めるが、その直後、ペドロの兄弟フアン・デ・カルバハルによってまたもや侮辱される。

 

 フェルナンドの母マリアは、王位をめぐる争いが長引いたことによってモーロ人たちに侵略される危険が高まっていることを憂い、カスティーリャ国王を選ぶ権利をポルトガル国王とアラゴン国王にゆだねることを提案する。フェルナンドとアロンソは、マリアの提案に同意する。

 

 パレンシアでは、ゴメスの妹ドニャ・アナが恋人フアン・デ・カルバハルの不在を侍女のイサベルに向って嘆いていた。そこへドン・ガルシアが現れて彼女を口説き始める。ガルシアは裏切り者ラミロの兄弟である。

 

 アナとイサベルは、戦場へ行かないガルシアを臆病者と軽蔑する。そこへゴメスの従者モラータが戦場から戻ってきて、アナとイサベルに状況を報告する。

 

 ラッパの音とともに国王の軍がパレンシアに到着し、街をねり歩く。パレンシアの市民イポリトフェリシアーノは隊列に近づこうとするが、衛兵たちが彼らを殴りつける。フェリシアーノは軍隊に恨みを抱く。

 

 ガルシアに再会したラミロは、カルバハル兄弟から侮辱されたことを話す。二人はカルバハル兄弟への復讐を誓う。

 

 フアンは恋人のアナとの再会を喜ぶ。フアンとペドロはラミロとガルシアの姿を見て、彼らへの軽蔑の言葉を吐く。

 

 ゴメスはモラータに、国王から多くの恩賞を受けたことを語る。しかしその直後、彼らの背後からイポリトとフェリシアーノが近づき、ゴメスを刺して逃げる。

 

 ゴメスは死ぬ間際にモラータに金鎖を贈る。しかしそのせいでモラータは周囲からゴメスを殺した犯人と誤解されてしまい、拷問を受ける。

 

  国王はゴメスの死を悲しみながらも、サラマンカへ向かう。ラミロとガルシアは、偽の証人をたててカルバハル兄弟にゴメス殺害の罪をきせようと企む。ガルシアはまた、フアンを亡き者にすることによってアナを手に入れようと考える。

 

 ベナベンテ伯爵から、フェルナンドがカスティーリャレオン王国の正式な王となったことが宣言される。国王はゴメス亡き後の顧問に伯爵を任命する。

 

 王の即位を祝って祭りが催される。人々は仮面をつけて街を歩く。ラミロとガルシアは仮面をつけて国王とベナベンテ伯爵に近づき「ゴメスを殺したのはカルバハル兄弟です。ラミロとガルシアがその証人です」とささやく。

 

 モラータは、国王に無実を訴えるためにサラマンカへやってくる。サラマンカの学生が彼のために直訴状を書く。

 

 アナはフアンとともに祭りを楽しみ、彼に指輪を贈る。

 

 国王はラミロとガルシアを呼び出し、ゴメスの死について尋ねる。二人はカルバハル兄弟がゴメスの家のまわりをうろついていたと王に語る。ベナベンテ伯爵は慎重な態度を示すが、王はカラバハル兄弟がゴメスを殺したと確信する。

 

 フアンはペドロとともに王のもとへ行き、戦場で手柄を立てた報酬としてアナとの結婚の許可を願い出る。彼が持っている指輪を見た王は、それがかつて自分がゴメスに与えた指輪であると気づく。王はひそかにベナベンテ伯爵に、フアンがゴメスの指輪を盗んだ疑いがあると告げる。

 

 王はその場ではフアンを捕えず、彼に報酬を与えることを承知する。そこへモラータが直訴状を持って現れるが、王は彼を物乞いと思って相手にしない。カラバハル兄弟はモラータをアナのもとへつれて行く。

 

 その後、モーロ人との戦いのためフアンはジブラルタル海峡へ向かう。アナはモラータとイサベルの反対を振り切り、男装してフアンの後を追う。

 

 ジブラルタルでは国王が軍功のあった人物に報酬を与えるが、カルバハル兄弟は除外される。臆病者のラミロとガルシアも報酬をもらっているのを見てカルバハル兄弟は不満を覚える。

 

 モラータとイサベルは、モーロ人に変装してアナとともにジブラルタルに到着する。モラータはフアンのアナへの愛情を試すため、モーロ人のふりをして彼に「あなたにひとめぼれをした裕福なモーロ人女性からです」と言って贈物をしようとする。フアンは初めは気の進まない様子を見せるが、ペドロからの提案を受け、そのモーロ人女性をだまして富を奪ってやろうと考える。

 

 国王の軍隊はマルトスに到着する。国王はカルバハル兄弟をゴメス殺害の容疑で投獄する。ベナベンテ伯爵は反対するが、王はそれを無視する。

 

 アナはモーロ人女性に変装して、投獄されているフアンを訪問する。フアンが彼女との面会を受け入れたのを見て、アナはフアンの不誠実さを非難する。

 

 ガルシアがカルバハル兄弟を王の前に引き出し、王は二人に死刑を命じる。ベナベンテ伯爵をはじめ、彼らの無実を信じる多くの貴族たちが慈悲を懇願する。ラミロも彼らに加わるふりをする。

 

 モーロ人に変装したアナ、モラータ、イサベルもフアンとともに引き出される。アナは自分の正体を明かし、王にフアンとの結婚を願い出る。

 

 王はアナとフアンとの結婚を許すが、すぐにフアンとペドロの兄弟、および従者のモラータをゴメス殺害の罪で処刑するよう命じる。アナは激怒し、王を野蛮な君主と非難する。

 

 処刑が迫ると、ペドロは自分の不幸な運命を受け入れて王を許す。しかしフアンは国王が神によって正当な裁きを受けることを望む。カルバハル兄弟は高所から突き落とされて死ぬ。泣き悲しんでいたモラータは、最後の瞬間にかろうじて王から処刑を免除される。

 

 その後、自分の部屋で眠っていた国王は、夢の中で自分の抱いている疑いと怖れを告白する。彼の前にカルバハル兄弟の幻が現れ、モーロ人たちがグラナダに侵攻したことを知らせる。その直後、王は死ぬ。

 

 モラータが、ラミロとガルシアもまた突然の死を遂げたことを知らせる。「証人が死んだことにより、裁きがなされた」ことが告げられて幕となる。