Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

忘恩の報い(Ingratitud vengada, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1585-1595年

種類:ピカレスク小説的な劇

補足:セルバンテスは、『ドン・キホーテ』前編(1605年刊行)第48章において、登場人物の一人にこの戯曲を「でたらめではなかった(Sí, que no fue disparate)」と批評させている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 兵士のオクタビオは裕福な女性ルシアーナと付き合い、彼女の財産を都合よく利用したあげく、新たな楽しみを求めて彼女の元を離れイタリアへ行こうとする。納得できないルシアーナは彼と口論するが、オクタビオは彼女を振り切って去る。

 

 ルシアーナが泣いているところへ、セサリーノ王子と彼に仕える郷士タンクレードが現れる。彼らは二人ともルシアーナに恋をしている。

 

 オクタビオのことをあきらめきれないルシアーナは、「あなたが私の従兄のオクタビオ(*彼が自分の恋人であることを隠すための嘘)に十分な報酬を与えて下さらなかったので、彼は新たな財産を得るためにイタリアへ去ってしまいました」とセサリーノ王子を非難する。

 

 セサリーノは軍隊へ入ろうとしているオクタビオのために推薦状を書くことを彼女に約束する。しかし王子はルシアーナとオクタビオの本当の関係をタンクレードから聞いてすでに知っており、ルシアーナとの約束を反故にするだけでなく、オクタビオを殺そうと決意する。

 

 タンクレードは、オクタビオリサルダという女性の家を訪問するであろうと推測し、ならず者に彼の暗殺を依頼する。

 

 しかし、リサルダは貧しいオクタビオよりも裕福なフィネオ侯爵の方を選び、オクタビオは彼女に門前払いされる。リサルダの母親コルシーナも、娘が侯爵と結婚することを望んでいる。

 

 オクタビオはリサルダに「今夜300ドゥカードを持ってくるから、そのかわりに侯爵と別れてほしい」と頼む。リサルダは承知し、9時に彼と会う約束をする。二人の会話を隠れて聞いていたフィネオ侯爵は嫉妬する。

 

 フィネオは何食わぬ顔でリサルダと言葉を交わす。彼女と別れた後、フィネオは従者のマウリシオにオクタビオの暗殺を依頼し、マウリシオは刺客を雇う。

 

 オクタビオはルシアーナに会いに行き、これからは彼女に永遠の感謝と愛情をささげると約束して、彼女から300ドゥカードを巻き上げる。

 

 オクタビオはその夜、リサルダの家へ行く。セサリーノ王子の雇った刺客とフィネオ侯爵の雇った刺客が家の両脇で彼を待ち受けるが、双方は互いをオクタビオの友人ではないかと疑い、暗殺を実行できずに終わる。

 

  オクタビオはルシアーナから巻き上げた金でリサルダとよりを戻しただけでなく、自分のために上等の馬を買い、新たな従者も雇う。オクタビオはルシアーナに口先だけの愛の言葉を告げて去っていく。

 

 コルシーナはオクタビオが急に金持ちになったことを怪しみ、リサルダが侯爵をないがしろにして彼とよりを戻したことを非難する。リサルダは母に従い、300ドゥカードをオクタビオに返すと告げる。

 

 マウリシオがリサルダに「侯爵がイタリアへ帰ることになり、あなたをつれて行きたいとおっしゃっています。そして侯爵はあなたの父上に仕事を与えるおつもりです」と告げる。リサルダとコルシーナは喜ぶ。

 

 オクタビオはリサルダの家に行くが、コルシーナから300ドゥカードを返され、門前払いされる。

 

 マウリシオは、オクタビオに金を与えたのはルシアーナであることをつきとめ、侯爵に報告する。

 

 タンクレードはルシアーナに、オクタビオが他の女性とつきあっていることを知らせ、彼と別れて自分と結婚してほしいと告げる。しかしそこへオクタビオが突然現れ、ルシアーナを誠実に愛していると言って彼女の信頼を勝ち取る。

 

 セサリーノ王子が現れ、オクタビオは身を隠す。セサリーノはオクタビオを追い払うための計略として、ルシアーナに「あなたの従兄のオクタビオは、高貴な騎士の婚約者に言い寄ったせいで命を狙われている。私が手紙と金を渡すから、彼にイタリアへ行ってもらってほしい」と告げる。

 

 しかしオクタビオは再度ルシアーナに偽りの愛の言葉を告げ、ルシアーナは彼に宝石や現金を与えてしまう。

 

 今度はフィネオ侯爵がマウリシオをつれてルシアーナを訪問し、「オクタビオは私の婚約者の女性に言い寄って、あなたをだましているのだ」と告げる。侯爵が去った後、マウリシオはルシアーナを非難し、オクタビオの悪口を言う。そこへ、隠れていたオクタビオが姿を現し、マウリシオを殺す。

 

 オクタビオはすぐに警吏に捕縛され、投獄される。彼を自由の身にするには3000ドゥカードが必要だと知り、リサルダとコルシーナは彼を救うことをあきらめる。二人がその話をしているところへオクタビオが現れ、「親戚が金を払ってくれた」と説明し、リサルダを薄情だと責める。リサルダはフィネオ侯爵とナポリに行く決心をしたと彼に話し、別れを告げる。

 

 オクタビオを自由にするために3000ドゥカードを支払ったのはセサリーノ王子であった。王子はルシアーナの名誉を傷つけたオクタビオに償いをさせ、責任を取らせるために彼女と結婚させようと考える。王子がルシアーナにそのことを話して去った直後、ルシアーナの前にオクタビオが現れる。オクタビオはリサルダを追ってナポリへ行くことにしたと話し、彼女に別れを告げる。

 

 ルシアーナは彼を引き止め、自分と結婚してほしいと頼む。しかしオクタビオは彼女を振り切って去る。ルシアーナはナイフで自殺しようとするが、タンクレードが現れ、彼女を助ける。

 

 オクタビオがルシアーナを捨てたことを聞いたタンクレードは、あらためて彼女に求婚する。ルシアーナはそれを喜んで受け入れる。

 

 オクタビオはリサルダに追いつき、彼とともに引き返してほしいと頼むが、侯爵とその従者たちに杖で打ちすえられる。彼は裸同然の姿で引き返すよう命じられ、コルシーナとリサルダにも嘲笑される。

 

 リサルダに振られてようやくルシアーナの誠実さに気づいたオクタビオは、彼女のもとへ戻る決心をする。彼はルシアーナが彼に宿と衣服を提供してくれることを疑わない。

 

 タンクレードは、ルシアーナとの結婚の意志をセサリーノ王子に伝え、王子は彼らを祝福する。寛大な王子は二人のために豪華な結婚式を準備する。

 

 オクタビオが到着した時、すでにルシアーナとタンクレードの結婚式は終わっており、ルシアーナは大いに満足していた。ルシアーナは半裸の状態で現れたオクタビオを嘲笑し、「私の靴を脱がせるにも値しない」と告げる。オクタビオがそれまでの自分の不誠実な行いと忘恩の罪を認めて幕となる。