Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

オトンの帝位(Imperial de Otón, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1595-1601年

種類:歴史劇

補足:13世紀のボヘミア王オタカル2世の生涯にもとづいた歴史劇であるが、野心家の王妃を深く愛する優柔不断な王という性格設定はロペの独創によるものである。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

*人名はスペイン語表記の読みに従う。

 

 舞台はドイツのアーヘンにある宮廷。選帝侯(神聖ローマ帝国の君主に対する選挙権を有する諸侯)であるラティーノ伯爵は、イングランドボヘミアの大使に会う。イングランドの大使フェデリーコロドゥルフォ(ルドルフ)伯爵を皇帝として推薦し、ボヘミアの大使アルベルトは自国の王オトンオタカル)を推薦する。

 

 スペインの大使ドン・フアン・デ・トレドは、自国の王アルフォンソ10世(賢王)を推薦する。フアンはフェデリーコやアルベルトと対立する。

 

 フアンにはドイツ人のマルガリータという恋人がいる。マルガリータはフアンのためにスペイン王が皇帝に選出されることを願う。しかし選挙の結果、皇帝に選ばれたのはロドゥルフォであった。

 

 ボヘミア王オトンとその妻エテルフリーダのもとに、ロドゥルフォが皇帝に選ばれたという知らせが届く。エテルフリーダはその結果が夫にとって不名誉なものであると考え、オトンに「選挙結果に異議を唱えて兵をあげなさい。でなければ私は、二度とベッドもテーブルもあなたと共にすることはしないでしょう」と告げる。妻を深く愛するオトンは、彼女を満足させるために挙兵する決意をする。

 

 エテルフリーダは、戦いに赴くオトンをバルコニーから見送り、「私があなたに求めるのは、甘い言葉などではなく強さと猛々しさなのです」と告げて激励する。

 

 アーヘンの宮廷ではロドゥルフォの即位を祝って華やかな催しが行われる。その途中で、オトンが挙兵したという報告が入る。ロドゥルフォは驚き、防戦の準備をする。

 

 フアンは、彼の従者に扮したマルガリータをつれてスペインへ戻ろうとするが、その途中でオトンの軍隊に遭遇し、アルベルトと再び対立する。激怒したフアンは彼との決闘を望み、オトンの許可を求める。フアンの怒りに困惑したオトンは彼の機嫌をとる道を選び、彼を自分の軍隊に迎え入れる。フアンは承知する。

 

 魔術師のメルリン(マーリン)がロドゥルフォを訪問する。メルリンはロドゥルフォの一族(ハプスブルク家)がこの後繁栄し、カール5世、フェリーペ2世、フェリーペ3世を輩出するであろうと予言する。

 

 オトンの元には不吉な幻が出現する。自分の死が迫っているのではないかと恐れたオトンは、ロドゥルフォと和平を結ぶことを決意する。その様子を見たフアンはオトンの気の弱さに呆れ、スペインへ帰ることを決心する。

 

 オトンは極秘にロドゥルフォのもとを訪れ、彼の手に接吻して服従の意志を示す。ロドゥルフォは彼の降伏を受け入れ、戦闘は回避される。

 

 エテルフリーダは家臣アタウルフォからの報告を受け、夫の臆病さに立腹する。オトンがボヘミアへ戻ってきてもエテルフリーダは扉を閉ざし、彼が王宮に入ることを拒否する。彼女は自ら武具をまとって夫の前に姿を現し、彼を激しく罵倒する。

 

 妻の猛々しさを見たオトンは自らの行動を恥じ、戦場で血を流してロドゥルフォと戦うことを決意する。

 

 スペイン国王アルフォンソ10世がアーヘンを訪れ、ロドゥルフォと対面する。アルフォンソはロドゥルフォが皇帝にふさわしい人物であることを認めたのち、イスラム教徒が侵攻しつつあるという知らせを受けてスペインへ戻る。

 

 オトンの軍はロドゥルフォの軍と戦闘を開始する。しかしボヘミアまでの道のりを往復したオトンの兵たちは疲弊し、ロドゥルフォの軍の前になすすべもなく敗れる。

 

 オトンは「一人の女のために」わが身の破滅を招いたことを嘆きながらも、エテルフリーダへの愛情を告白する。オトンは不吉な影に捕えられ、敵軍の兵士たちによって殺される。

 

 エテルフリーダは援軍を率いてオトンのもとに駆け付けるが、すでに夫は殺された後であった。彼女はオトンが少なくとも名誉ある死を遂げてくれたことを喜び、「悪名を残すくらいなら、千度でも死んでくれた方が良い」と告げる。

 

 エテルフリーダが去っていくのを見て、ロドゥルフォは彼女が自害することを恐れ、兵たちに彼女を保護させる。ロドゥルフォがオトンに敬意を表し、丁重に彼を弔う場面で幕となる。