Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

善良なる男(Hombre de bien, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1604-1606年

種類:架空の宮廷劇

補足:ダルマチア(現在のクロアチア)が舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ボヘミアの王ルヘーロは、騎士のハシントをつれてダルマチア地方の田園地帯へ狩りに出かける。王はその地の領主であるフェリシオの娘ルシンダに出会い、彼女に恋をする。

 

 王は自分の身分を隠してルシンダを口説く。しかしルシンダは以前からハシントと付き合っていた。ルシンダは王に「私には好きな人がいます」と答える。

 

 王はルシンダに執着し、自分の権力を利用して彼女を手に入れようと企む。ハシントとルシンダは相談し、王の怒りを買わないよう用心しながら互いの恋を成就させようと計画を練る。ルシンダはひそかに王宮へ逃れ、その間ハシントは王をその地に引き留めておくことにする。

 

 ルシンダは兄のクロリダーノとともに自宅を離れ、王宮へ行く。クラリダーノの従者ガビーノと、ルシンダの侍女ベラルダも彼らについていく。王宮には王の愛人のクラベーラがいる。王の廷臣のタンシーロはクラベーラに片思いをしている。

 

 王はルシンダの家を訪ねるが、父親のフェリシオが出てきてルシンダとクロリダーノが王宮へ行ったことを告げる。王はフェリシオにも王宮へ来るよう勧めるが、フェリシオは田園の生活に満足していると言ってそれを断る。

 

 ハシントは先回りをして王宮のルシンダの家に行き、彼女との再会を喜ぶ。しかしその最中に王がやってくる。ハシントは顔を隠してルシンダの家から抜け出すが、王とその従者たちに捕らえられる。名前を名乗るよう王から求められたハシントは「善良なる男」と答えてその場から逃げる。

 

  王は、謎の男がルシンダの恋人ではないかと悩み、ハシントに相談する。いっぽうクラベーラは王がルシンダに執心していることを知る。クラベーラはタンシーロと共謀して、ルシンダの本心を聞き出そうと企む。

 

 クロリダーノは、父フェリシオからだと告げて王に馬を献上する。王はクロリダーノを気に入り、廷臣の一人にする。

 

 クラベーラはルシンダに近づき、自分が彼女の恋敵であるように思わせて王への恋心を白状させようと試みる。クラベーラは当て馬としてハシントの名を出し、自分が彼と婚約していると話す。ルシンダは絶望し、ハシントを愛したことなどないとクラベーラに告げる。

 

 王宮で球技の試合が行われる。ハシント、クロリダーノ、タンシーロらが試合をしていると、王がそれに加わる。皆は試合をしながら、「善良なる男」と名乗った謎の人物について語り合う。そこへ変装したルシンダが現れ、ガビーノの協力によってハシントと二人だけで話をすることに成功する。ルシンダはハシントを非難し、彼への仕返しに王からの求愛に応じるつもりだと宣言する。言い争いをするうちに二人はクラベーラにだまされたことに気づき、仲直りをする。

 

 王は「善良なる男」の正体をつきとめようと考え、腕力のある従者を二人つれて再びルシンダの家を訪れる。

 

 クラベーラは3人の男を雇って、王がルシンダへ求愛するのを妨害し、ルシンダに悪い評判を立てるよう依頼する。

 

 ルシンダとクロリダーノの父フェリシオと、ベラルダの父グリセニオが王宮へやってくる。クロリダーノは喜んで彼らを迎える。

 

 ルシンダが帰宅し、王と従者たちは再び顔を隠したハシントを捕える。しかしハシントは巧みに彼らと戦って逃げる。王が彼を追おうとすると、クラベーラの雇った男たちが王を襲う。ハシントは王を助けてから、その場を去る。

 

 「善良なる男」の正体がハシントなのではないかと疑った王は、それを確かめるためにわざと彼に遠方に行く任務を与えようと考える。王はハシントとクロリダーノに「私の婚約者であるハンガリー王女が到着するので、港へ彼らを迎えに行くように」と命じる。

 

 ハシントは、王が自分を遠くへ行かせている間にルシンダの身体を奪おうとしているのではないかと恐れる。ハシントは「どうしても会わなければならない恋人がいる」とクロリダーノに告げて彼だけを港へ行かせ、ルシンダの家へ向かう。

 

 クラベーラはルシンダの家を訪れ、彼女を欺こうとしたことを告白して謝罪する。クラベーラは自分の恋の相手が王であることを彼女に教え、「あなたのふりをして王と会いたい」とルシンダに懇願する。ルシンダは承知し、クラベーラを家に滞在させる。

 

 王は「善良なる男」が現れるかどうかを確かめるため、ルシンダの家を見張る。王を発見したクラベーラが、ルシンダのふりをして王に求愛する。ハシントはその光景を見て、クラベーラをルシンダだと思いこみ、嫉妬して彼らを非難する。ハシントは王の従者たちに捕らえられそうになるが、マントだけを残して逃げる。王と従者たちは「善良なる男」の正体がわからないまま、マントを持ってルシンダの家を去る。その後、ハシントは引き返してきてルシンダを非難するが、彼が見たのはクラベーラであったことを知り、再びルシンダと仲直りをする。

 

 王はマントの持ち主を探すが、失敗に終わる。次に王は、ハシントとルシンダをわざと婚約させるという計画を思いつく。「善良なる男」がハシントでないのならば、彼は嫉妬して二人の結婚を妨害しようとするはずである。

 

 ハシントはその後クロリダーノを追って港へ行くが、ハンガリー王女はまだ到着しておらず、二人は王宮へ戻ってくる。王はハシントに「ルシンダとの結婚と、侯爵の地位を与える」と告げる。

 

 ハシントは王が自分を罠にかけようとしているのではないかと疑い、結婚を固辞しようとする。しかし王は半ば彼を脅迫して結婚を承諾させる。

 

 ハシントはクロリダーノに、自分の恋人がルシンダであることを告白する。クロリダーノは喜ぶ。

 

 タンシーロはクラベーラに「王はハンガリー王女との結婚が決まったので、あなたが廷臣の一人と結婚して国外へ去ることを求めている。そのために選ばれた廷臣が私だ」と告げる。タンシーロはルシンダに、王が彼女とハシントとの結婚を命じたことを告げる。ルシンダはそれを快諾する。

 

 王が皆を集め、これまでのもつれあった恋愛模様を説明する。ハシントは自分が「善良なる男」であったことを告白する。フェリシオとグリセニオの了解のもと、クラベーラとタンシーロ、ベラルダとガビーノ、ルシンダとハシントが結ばれる。最後にハンガリー王女の到着が告げられて王の結婚が暗示され、幕となる。