Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

幸運な息子(Hijo venturoso, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1588-1595年

種類:小説にもとづく劇

補足:イタリアの作家チンツィオの『百物語』から物語の題材を得ている。イタリアのミラノが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ミラノに住むクララは、身分は高いが貧しい家の生まれである。彼女の恋人マウリシオは、裕福だが低い身分の生まれである。マウリシオはクララに求婚しているが、クララの両親はマウリシオの身分が低いことを理由に彼を拒否している。

 

 マウリシオは、「きみが処女でなくなれば、きみの両親もぼくたちの結婚を承知せざるを得なくなるだろう」とクララを説得して彼女と肉体関係を持つ。しかし、クララが妊娠するとマウリシオは彼女への関心を失ってしまう。

 

 マウリシオの友人オラシオは、悲しんでいるクララを見て同情し、マウリシオを彼女の所へ連れてくる。しかしマウリシオはクララに「きみの両親はぼくの身分が低いことを理由にぼくを拒否した。だからぼくはきみと結婚する気はない」と告げる。マウリシオはすでに裕福な家の女性ラウラと婚約していた。ラウラとの結婚には何の障害もなく、マウリシオは持参金を得ることもできるからである。

 

 クララは激怒し「あなたの血をひく赤ん坊など、この手で殺す」と彼に告げて去る。オラシオはマウリシオを非難するが、マウリシオは決意を変えない。

 

 マウリシオはオラシオをつれてラウラの家を訪れる。ラウラの父クロタルドや伯父フランシーノもマウリシオを歓迎する。

 

 オラシオはラウラをひとめ見て恋に落ちてしまい、マウリシオとラウラの結婚を妨害しようと考える。マウリシオがクロタルド、フランシーノとともに席を外した隙に、オラシオはマウリシオがクララを妊娠させて捨てたことをラウラに話す。

 

 ラウラはマウリシオに幻滅し、「父と伯父に話して婚約を破棄してもらう」とオラシオに告げる。しかしオラシオは「このことが公になるとクララの名誉に傷がつくので、黙っていてほしい。それよりも、あなたが別の男性とすでに婚約しているといってこの結婚話を断りなさい」と彼女に頼む。するとラウラは、以前からひそかに片思いしていたロサルドという男性を相手に選び、オラシオに彼を呼びに行かせる。

 

 クララは赤ん坊を産むが、思い悩みつつその子を川辺に捨てる。彼女は赤ん坊が幸運を授かるようお守りをつけて高価な布にくるみ、神に祈る。クララが去った後、羊飼いのセリオベラルドが赤ん坊を発見する。

 

 ロサルドは以前からひそかにラウラに恋していたため、オラシオから事情を聞いて彼女との婚約を喜んで受け入れる。彼はラウラと婚約したと宣言してマウリシオと言い争う。どちらかを選べとクロタルドに問われたラウラは、迷わずロサルドを選ぶ。クロタルドは二人が相思相愛であるのを見て、彼らの結婚を許可する。マウリシオはしかたなくラウラとの結婚をあきらめ、あてが外れてロサルドにラウラを奪われてしまったオラシオも落胆する。

 

 ベラルドは、子どもを死産したばかりの妻ベリーサに川辺で見つけた赤ん坊を見せ、我が子として育てることを提案する。ベリーサは承知し、赤ん坊はベントゥローソ(「幸運な者」という意味)と名付けられる。

 

 十数年が経過する。ミラノに住む貴族フィルミアーノは、フランスとの戦争が起きたため、娘のフロリンダを連れて農村に逃れる。

 

 若い羊飼いに成長したベントゥローソは、美しいフロリンダを見て恋に落ち、彼女に求愛する。ベラルドは「身分違いの恋などするな」と彼を叱るが、ベントゥローソは「低い身分に生まれても、高みに昇りつめた人間はいる」と反論する。

 

 ベントゥローソが野原を歩いていると、フロリンダが通りかかる。ベントゥローソは彼女に気を遣わせまいとして、木陰で眠っているふりをする。

 

 フロリンダは、身分の低いベントゥローソと恋をすることはできないと思いながらも、彼の求愛を好ましく思っていた。彼女は自分の気もちを示すために、眠っている彼のそばに花を置く。ベントゥローソは目を開き、彼女の独白を聞いていたことを打ち明ける。フロリンダは羊飼いとは思えぬ彼の優雅な言葉遣いに惹かれ、彼に恋してしまう。二人は逢瀬を重ねることを約束する。

 

 ミラノから、フロリンダに恋する貴族レオナルドがやってくる。レオナルドは村人に変装してフィルミアーノの従者ラビニオに近づき、農夫としてフィルミアーノに紹介してもらうことに成功する。

 

 レオナルドは農夫のふりをしたままフロリンダを口説く。彼の理知的な言葉遣いにフロリンダは驚き、「この村にはなぜ、見た目と違って教養ある人間が多いのだろう」と不思議に思う。レオナルドはラビニオに報酬を与えてその場を去る。

 

 ラビニオは主人をだましていることに耐え切れず、フィルミアーノに「レオナルドは本当は貴族で、フロリンダ様への恋心からあなたに近づいたのです」告白する。フィルミアーノはレオナルドにからかわれたと感じて怒るが、娘の名誉が傷つく前に二人を結婚させてしまおうと考える。彼はレオナルドを捕えてくるようラビニオに命じる。

 

 ラビニオは農夫たちを集め、「レオナルドという名の泥棒を捕まえてほしい」と頼む。ベントゥローソがレオナルドを捕えるが、レオナルドは「自分は貴族で、フロリンダに恋している。彼女と結婚するために豪華な服に着替えたいから逃がしてほしい」と彼に懇願する。ベントゥローソはそれを逃がしてもらうための嘘だと思いこみ、彼を逃がしてやる。

 

 しかしレオナルドは豪華な服に着替えて戻ってくる。フィルミアーノは彼を花婿として迎え、その場でフロリンダと結婚させる。

 

 ベントゥローソは絶望し、フランスの軍隊に入ってミラノと敵対する。

 

  さらに6年が経過する。フランス軍の隊長に昇進したベントゥローソは、ミラノへの最後の攻撃を目前に控えていた。農村は壊滅状態となり、フィルミアーノ、フロリンダ、レオナルド、ベラルド、ベリーサ、クララ、マウリシオらはみなミラノ都市部に集まってきていた。

 

 レオナルドとマウリシオは協力してフランス軍に対抗する。マウリシオはレオナルドに「自分はかつてクララという女性を妊娠させたあげく捨てたので、そのことが周囲に知られて誰とも結婚できず、今も独り身だ」と話す。

 

 フロリンダは夫レオナルドの身を案じて彼を引き留めようとするが、レオナルドは彼女を振り切って戦場へ出ていく。

 

 ミラノ軍とフランス軍の戦闘が始まる。レオナルドは瀕死の重傷を負う。ベントゥローソの姿を見たレオナルドは「妻に別れを告げてから死にたいので、家へ連れて行ってほしい」と頼む。ベントゥローソは、彼をフロリンダの元へ運ぶ。

 

 クララはフランス軍に捕らえられ、人質として扱われる。彼女はかつて捨てた息子のことを思い、悲しみに暮れる。

 

 フロリンダはレオナルドの死を悼み、ベントゥローソに「今はかつての恋の話をしている時ではない」と告げて自分の運命を彼にゆだねる。

 

  フランス兵たちはクララを凌辱しようとする。ベントゥローソは彼女を救い出す。クララは彼に、かつて息子を川辺に捨てたことを話す。彼女がお守りをつけて赤ん坊を捨てたことを聞いたベントゥローソは、自分が昔から身につけていたお守りを彼女に見せる。二人は、自分たちが母子であることを知る。

 

 ベントゥローソは、自分が庶子として扱われることがないように、そして母の名誉を回復するために、クララをマウリシオと結婚させなければならないと考える。クララはそれに同意し、マウリシオがフランス軍に捕らえられていることを教える。ベントゥローソは、もしマウリシオがクララの前にひざまずくことを拒むのなら自分が彼を殺すと告げる。

 

 マウリシオはフィルミアーノの家に捕らわれていた。ベントゥローソは人々の前でマウリシオのかつての過ちを明らかにし、彼にクララと結婚するよう要求する。マウリシオはそれを受け入れる。

 

 両親の結婚が決まった後、ベントゥローソはフィルミアーノの前でフロリンダに求婚する。フロリンダは彼を受け入れ、フィルミアーノもそれに同意する。フランス軍に捕らわれていたベラルドとベリーサを発見したベントゥローソは再会を喜び、自分の実の両親を彼らに紹介する。ベントゥローソが彼らの解放を宣言して幕となる。

 

 

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