Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

父なき息子(Hijo sin padre, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1613-1618年

種類:架空の宮廷劇

補足:歴史劇のようでもあるが、時代設定は曖昧である。男装の女性が登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 カスティーリャカルロスは、兄弟のエンリケベルムードに自分への忠誠を求める。しかし彼らは、カルロスが伯爵の息子ではなく、母テオドシンダがブルターニュの大使との間にもうけた子どもであると主張してそれを拒む。カルロスは動揺する。

 

 カルロスは母テオドシンダの貞節を信じたいと望みながらも、実の父親に対する疑念を払いきれず、またエンリケとベルムードが自分を亡き者にしようと企むのではないかと恐れて、従者のヌーニョとともにブルターニュの大使フェデリーコ侯爵を探す旅に出る。

 

 ヌーニョはカスティーリャを去る前に、カルロスの恋人レオノールに事情を説明しに行く。レオノールは別れを悲しみ、カルロスに渡してほしいと言ってダイヤモンドの指輪をヌーニョに託す。

 

 カルロスがカスティーリャを去ったことを知って、エンリケとベルムードは喜ぶ。エンリケは伯爵の地位と統治権をベルムードに譲り、ベルムードはその代わりにレオノールとの結婚をエンリケに譲ると約束する。エンリケはレオノールの父親ドン・アリアスを使者としてレオン国王のもとへ送り、その隙にレオノールに接近することを企む。

 

 エンリケはアリアスの従者ベルナルドに、「近いうちにベルムードを武力でカスティーリャから追放するつもりだ」と打ち明ける。ベルナルドは、ベルムードが民衆の支持を得ていることを話し、エンリケの計画は危険であると警告する。

 

 ブルターニュに着いたカルロスとヌーニョはフェデリーコ侯爵と会うが、侯爵はテオドシンダといかなる関係ももった覚えはないと断言し「レオン国王がサモラで彼女を口説いていたという話を聞いた」という情報を彼らに与える。

 

 カルロスはレオンへ行く決意をする。しかし旅費を稼ぐために彼が手持ちの宝石を質に入れようとした時、彼は泥棒に間違われて投獄されてしまう。

 

 カルロスは牢獄の中で、他の囚人たちに財産や衣服をすべて奪われる。困窮したカルロスはフェデリーコ侯爵に手紙を書いてようやく牢から出してもらうが、侯爵はカルロスの正体を疑い、カスティーリャから派遣された暗殺者ではないかと考えて彼を塔に幽閉し、処刑しようとする。

 

 フェデリーコ侯爵の娘ドニャ・ブランカはカルロスにひとめぼれする。ブランカは処刑人をだましてカルロスを救出し、自身も男装してカルロスとともに逃亡する。

 

 アリアスはエンリケが自分の留守をねらってレオノールに接近しようとしたこと、エンリケが政治においても暴君となってしまったことを非難する。エンリケは怒ってアリアスを投獄する。

 

 レオノールは、カルロスを探すために男装してカスティーリャから逃亡する。

 

 カルロスはヌーニョとブランカを連れてレオンへ行き、レオン国王に「私はテオドシンダの息子です。あなたが母を口説いていたと聞きました。あなたは私の父なのではありませんか」と問う。しかしレオン国王もそれを否定し、カルロスに「ナバーラ国王が、かつて妹の結婚式の際にカスティーリャでテオドシンダを口説いていた。彼があなたの父親かもしれない」と助言する。カルロスはナバーラへ向かう。

 

 ナバーラでは国王が亡くなり、後継者を誰にするかが決まっていなかった。内乱を避けるため、貴族たちはかつてゴート人が農民のバンバを国王にした際の古い法に従い、「野外へ出て、最初に遭遇した人物を王にする」ことを決める。彼らが野外に出て最初に出会ったのはカルロスであった。カルロスは「私はブルターニュ人で、フェデリーコ侯爵の息子だ」と名乗り、ナバーラの国王となる。カルロスはブランカを王妃にすることを約束する。ヌーニョは皮肉を込めてカルロスに「あなたは『父なき息子』と名乗るべきですね」と言う。

 

 カルロスは、軍を率いてカスティーリャへ向かう。 

 

 エンリケは、ナバーラの国王がカスティーリャを攻めようとしていると聞き、アリアスに協力を依頼する。しかし、エンリケがレオノールを拉致して監禁していると思いこんでいるアリアスはそれを拒み、エンリケに反逆するためナバーラ側につくことを決意する。

 

 カルロスとその軍隊を発見したレオノールは、様子を探るためにブランカに接近する(二人とも男装している)。レオノールはブランカに「私はカルロスの古い友人です。カルロスはすでに結婚しており、彼の妻は彼を非難しています」と告げる。ブランカはその場ではしらを切るが、カルロスと二人きりになると嫉妬にかられて彼を非難する。

 

 娘を捜索していたフェデリーコ侯爵は、カルロスがナバーラ国王になっていたことを知る。侯爵は急に態度を変え、自分こそがカルロスの父親だと名乗る。カルロスは腹を立て、「私は父なき息子だ」と主張して侯爵を投獄する。

 

 カルロスはレオノールと再会する。しかし嫉妬したブランカがそこに割り込もうとする。

 

 カスティーリャとナバーラの軍が戦闘を開始する。アリアスが現れ、カルロスに加勢する。カルロスが「カスティーリャ伯」として名乗りを上げると、カスティーリャの兵たちはナバーラ王がカルロスその人であることに気づく。エンリケとベルムードは敗走する。

 

 カルロスはエンリケとベルムードを捕え、フェデリーコ侯爵を証人として呼び出す。カルロスは母テオドシンダが不倫をしていた証拠がないことを公表し、エンリケとベルムードの非難は不当なものだったと告げる。レオノールとエンリケブランカとカルロスの結婚が決められる。カルロスがエンリケとベルムードを許し、ヌーニョやナバーラの騎士たちに褒美を与えて幕となる。