Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

レドゥアンの息子(Hijo de Reduán, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1596年以前

種類:歴史劇

補足:15世紀頃のグラナダが舞台となっているが、内容は史実に基づいてはいない。舞台にライオンが登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 グラナダに住むモーロ人の王バウデレスには、キリスト教徒の捕虜ナルダとの間にできた庶子ゴメルがいる。しかし王妃アルシーラが嫉妬してナルダに危害を及ぼすかもしれないという懸念から、ゴメルは表向きは家臣レドゥアンの息子ということになっている。ゴメルは王宮から離れた山中でナルダによって育てられている。

 

 レドゥアンは、青年に成長したゴメルが王に似てきたことを王に報告する。王は喜び、ゴメルをすぐに王宮へ呼ぶように命じる。

 

 王とレドゥアンが話しているところへ、アルシーラが侍女のリサーラセローラをつれて現れる。アルシーラは王の浮気を疑い、王はアルシーラの嫉妬にうんざりする。

 

 従者のアルダーノが、レドゥアンの息子ゴメルの到着を告げる。レドゥアンはゴメルを着替えさせてから王に会わせようとするが、アルシーラはゴメルに興味を持ち、すぐに連れてくるように命じる。

 

 粗野な服と革のサンダルという姿で現れたゴメルを見て、セローラは怪物のようだとからかう。しかしゴメルは尊大な態度でセローラをたしなめる。

 

 アルダーノはゴメルに、宮廷人になるには忍耐力をもつべきだと諭す。王宮の青年たちが粗野なゴメルを嘲笑するが、ゴメルはそれに耐える。しかしその後、リサーラとセローラの前で彼らにからかわれたゴメルはかっとなり、思わず剣に手をかける。青年たちは怯えて逃げ出す。それを見たリサーラとセローラはゴメルに魅力を感じる。

 

 ゴメルは青年たちから受けた侮辱に報復し、リサーラとセローラはゴメルに求愛する。ゴメルは「私が出す条件を満たした上で愛してくださるなら、私も愛しましょう」と二人に答える。

 

 王はゴメルに、自分の所有している剣を与える。王宮の青年たちはゴメルに嫉妬する。

 

  ゴメルはわざとリサーラとセローラに「私にいっさいの信用を求めず、私が他の女性の肉体を楽しむことを許し、私が望むことは見返りを求めることなくすべて与えること」という条件を示す。リサーラとセローラは怒る。

 

 ゴメルはまだ自分をレドゥアンの息子だと思っていたが、彼の武力を試そうとした男性たちに反撃して怪我を負わせたことをレドゥアンに非難され、わずらわしく感じる。

 

 国王はセローラに恋をしており、彼女のために饗宴を催す。レドゥアンも彼女に片思いをしている。

 

 セローラはゴメルに「王宮の女性たちを代表して、あなたの求愛を拒否します。あなたにふさわしいのは下賤な女性たちだけです」という手紙を出す。手紙を読んだゴメルはセローラの自尊心の高さに感心する。

 

 国王は饗宴の後でセローラを口説きに行くとレドゥアンに告げる。レドゥアンはセローラへの思いを隠しながらそれに従う。

 

 王宮の青年たちは、ゴメルを待ち伏せして仕返しをしようとするが、ゴメルの「獅子のごとき」剛腕の前に再び敗れ去る。

 

 まだゴメルに恋しているセローラは、王宮の青年の一人であるハフェルに、ゴメルが武具につけている紐飾りをもらってきてほしいと頼む。ハフェルはいやいやながらそれに従う。しかしハフェルから紐飾りを求められたゴメルはそれを拒否し、二人は再び争う。レドゥアンが仲裁に入り、ゴメルはレドゥアンとも対立する。

 

 王妃がゴメルとレドゥアンとの争いを国王に知らせる。セローラと逢引しようとしていた国王はそれを中止して二人の仲裁に入り、レドゥアンの言い分を無視してゴメルを許す。

 

 セローラは国王から強引な求愛を受けたことを涙ながらに王妃に告白する。王妃は不機嫌になり、饗宴の席を去る。

 

  ゴメルはレドゥアンに不満を抱き、自分が本当にレドゥアンの息子であるのかと疑い始める。

 

 国王はセローラを口説くが、セローラは「誠実な結婚をしたい」とそれを拒む。王は「王妃とは離縁するつもりだ」と告げる。セローラは「たとえそれであなたと結婚しても、私もいずれ同じ運命をたどるのでしょう。それに王妃様からの報復を受けるのではないかと心配です」と答える。王は「王妃の侍医を利用して、彼女が病死したように見せかけて毒殺しよう」と言う。王妃はその会話を盗み聞きする。

 

 王はセローラの寝室に忍び込む。しかし暗がりの中でベッドに寝ていたのは王妃であった。王は王妃をセローラだと思いこむ。

 

 王宮の青年たちは、ゴメルを失脚させるために「ゴメルが王妃を凌辱した」という偽りの讒言をしようと計画する。

 

 ベッドの中で、王の口から「王妃を殺す」という言葉を聞いた王妃は、王を殺す決意をする。王妃はその計画をセローラに話し、二人はゴメルを利用することに決める。

 

 王妃はゴメルを呼び、彼を愛していたと偽りの告白をする。尊大なゴメルは、王妃のように高貴な身分の女性からの求愛に気を良くする。王妃は彼に、壮大な企てを実行する勇気はあるかと尋ねる。虚栄心に突き動かされたゴメルはそれを引き受けると言ってしまう。

 

 王妃は「私があなたに恋心を抱いていると知った王は、あなたと私を二人とも亡き者にしようとしています。あなたが王を倒し、グラナダの支配者となるしかありません」とゴメルをそそのかす。

 

 王妃にだまされたゴメルは、王がレドゥアンに「王妃を殺すつもりだ」と話しているところへ現れ、王を斬り殺す。死ぬ間際の王は、自分がゴメルの実の父親であることを彼に告白し、王宮の人々の前でゴメルを後継者に任命する。レドゥアンはゴメルに、「おまえは王妃にだまされたのだ」と教える。

 

 ゴメルは実の父親を手にかけてしまったことを嘆き、王妃への復讐を決意する。

 

 レドゥアンはセローラに、「王を裏切ったのではないか」と問う。セローラは「王がベッドを共にしたのは、私ではなく王妃様だったのです」と答える。レドゥアンは王妃に怒りの目を向ける。

 

 ゴメルは王妃と王子たちを殺そうとするが、レドゥアンは「まず彼らを投獄し、あなたが正式に王位についてから裁くべきだ」と忠告する。

 

 グラナダの市民たちはゴメルを国王の暗殺者とみなし、彼を王位につけることに反対して暴動を起こす。騒乱の中で、王宮の地下室に閉じ込められていたライオンが逃げ出し、王宮内を徘徊して多くの犠牲者を出す。

 

 ゴメルはライオンを見て、それが自分の少年時代の遊び相手だったライオンであることに気づく。ライオンはゴメルに服従の態度を示す。その光景を見た反乱者たちは、ゴメルを王位につけることに同意する。

 

 ゴメルは王妃とその子どもたちを投獄し、グラナダの新たな王となる。ゴメルがレドゥアンと和解し、彼を行政官に任命する場面で幕となる。