Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

嫌われた美女(Hermosura aborrecida, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1604-1610年

種類:歴史劇

補足:カトリック両王時代のスペインが舞台となる。アラゴン国王フェルナンドが負傷する場面があるが、これは1492年にバルセロナで国王が精神疾患と思われる男に襲われ、重傷を負ったという史実に基づいている。男装の女性と、その女性に恋する女性が登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 カトリック両王カスティーリャ女王イサベルアラゴン王フェルナンド)は、イベリア半島におけるイスラム勢力の最後の拠点グラナダを攻略しようとしていた。

 

 ナバーラ地方に住む女性ドニャ・フアナは、夫のドン・サンチョに捨てられる。サンチョは貧しい暮らしから逃れるため、戦場で手柄をあげて財産を築こうとグラナダへ行く。フアナも夫の後を追う。

 

 グラナダでフアナに再会したサンチョは、フアナの実家が名家でないために裕福な暮らしができないと不満を言う。フアナは、生活が貧しくなったのはサンチョの放蕩が原因だと言って反論する。夫を愛しているフアナは、一緒にナバーラへ戻ってほしいと懇願するが、サンチョは「おまえの元を去ったのは、おまえを嫌っているからだ」と告げて再びフアナを捨てる。

 

 フアナが泣いているところへ、女王イサベルが現れる。フアナの困窮を見たイサベルは彼女を自分の侍女にする。

 

 フアナは女王に付き添って兵士たちの野営地を訪れる。イサベルの夫フェルナンド王のもとで敵の塔を占領した兵士たちが戦勝祝いをしており、フェルナンドは、最も勇敢な働きをしたサンチョを褒めたたえる。

 

 女王の随員の中にフアナがいることに気づいたサンチョは、ひそかに彼女に近づき「我々が夫婦であることは誰にも言うな。言ったらおまえを殺す。おまえの夫は戦場で死んだと言っておけ」と脅す。フアナは夫に抱擁を求めるが、サンチョは拒否する。

 

 王はフアナを見て、彼女に魅力を感じる。独りで泣いているフアナに王が声をかけると、フアナはサンチョに命じられた通り「夫が戦場で死んでしまったのです」と説明する。

 

 女王は、夫がフアナと話しているのを見て嫉妬する。夫がフアナを欲望の眼差しで見ていることに気づいた女王は、これまで彼女が夫の浮気防止のために行ってきたように、フアナを別の男性と結婚させて遠くへ追いやろうと考える。

 

 女王は、サンチョにフアナとの結婚をすすめる(彼女はサンチョがフアナの夫であるとは知らない)。しかしサンチョは、自分は既婚者だと言ってそれを断る。

 

 王は、わざとフアナを「ディナダマルの泉」と呼ばれる場所に行かせたのち、部下をモーロ人に変装させてフアナを拉致させるという計画を立てる。王はその計画をサンチョに打ち明けて協力を求めるが、フアナの身体が王に奪われようとしていることを知ったサンチョは内心嫉妬を覚える。

 

 女王は、フアナのあらたな夫候補としてドン・ルイス・デ・ナルバエスを選ぶ。ルイスはフアナを迎えに行くが、すでに彼女は王の命令によって「ディナダマルの泉」へと出かけた後であった。ルイスからそのことを知らされた女王は、王の行動を不審に思う。

 

 サンチョはモーロ人に変装し、フアナを拉致しようとする。しかし女王が差し向けた兵たちが彼を包囲する。そこへ王が現れるが、女王がそこにいるのを見て困惑し、「あなたの身が心配になったのでここへ来たのだ」と弁解をする。サンチョはやむを得ず、自分がフアナの夫であることを告白し「そのことを隠していたのは、陛下と共に戦いを続けたかったからです」と告げる。

 

 女王は、サンチョとフアナの夫婦を副王としてナバーラへ送る。

 

 サンチョは副王の座についたことで傲慢になり、フアナの一家を卑しい家柄とののしり、フアナの死さえ望んでいると彼女の前で言い放つ。フアナは自分が死んだことにして世間から身を隠すことを提案し、サンチョはそれに同意する。

 

 フアナは男装し、「アラゴン出身のロドリーゴ」と名乗る。ナバーラの小村に着いたフアナは、村の理髪師の元に弟子入りする。いっぽうサンチョはフアナが事故死したと発表し、彼女の葬式を行う。

 

 ロドリーゴ(フアナ)は理髪師兼外科医として名を上げるようになる。村の司法官ベラルドの娘コンスタンサロドリーゴ(フアナ)に恋し、仮病を使ってロドリーゴ(フアナ)に接近しようとする。

 

 6年後、親方の死によってナバーラを去ったロドリーゴ(フアナ)はバルセロナへ行く。偶然にも同地で王フェルナンドが精神疾患の男に襲われ、瀕死の重傷を負う。ロドリーゴ(フアナ)は優れた外科技術によって王の命を救う。

 

 ナバーラに住むフアナの親戚アルナルドは、サンチョがフアナを殺したのではないかと疑い、バルセロナにいる国王のもとを訪れて裁きを願い出る。偶然ロドリーゴ(フアナ)の姿を見たアルナルドは、フアナとそっくりのその青年に興味を抱く。

 

 国王は、自分を救ってくれたロドリーゴ(フアナ)に深く感謝する。ロドリーゴ(フアナ)はアルナルドのために便宜を図ってやり、王はアルナルドに、フアナとサンチョの件に関する全ての権限を与える。

 

 コンスタンサは、山中でサンチョによって名誉を汚されたことを友人のフローラに打ち明ける。フローラは彼女に、「自分の名誉を汚したのはロドリーゴ(フアナ)だと訴えて、彼との結婚を要求すればいい」と忠告する。

 

 サンチョの元に、「副王の堕落ぶりを調査するために国王から送られた判事が到着した」という知らせが届く。サンチョは恐れおののく。到着したのはロドリーゴ(フアナ)であった。しかしロドリーゴ(フアナ)はサンチョを非難する人々の訴えを巧みな弁論で退け、サンチョを擁護する。

 

 サンチョはロドリーゴ(フアナ)の顔が妻と似ていると感じ、彼に深く感謝する。

 

 イサベル女王とフェルナンド王がナバーラに到着する。ロドリーゴ(フアナ)は、サンチョに副王として咎めるべき点はないことを報告する。

 

 コンスタンサが現れ、ロドリーゴ(フアナ)に名誉を汚されたと訴える。アルナルドも現れ、サンチョをフアナ殺しの犯人として訴える。

 

 ロドリーゴ(フアナ)は、自分が女性であることを告白し、コンスタンサを辱められるはずはないと主張する。さらにロドリーゴ(フアナ)は、サンチョが唯一責められるべき罪を許されるのであれば、自分の正体を明かすと宣言する。女王はそれを承認する。

 

 国王がサンチョの副王の座を保証した後、ロドリーゴ(フアナ)は自分の正体を明かす。サンチョが妻のフアナと抱擁して幕となる。