Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

美しきエステル(Hermosa Ester, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1610年

種類:宗教劇

補足:旧約聖書の『エステル記』に基づく。アンドレア・マリア・デ・カスティーリョという女性に献呈されている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ペルシャの街スサで、国王アハシュエロス(*クセルクセスのラテン語名)は、半年に及ぶ豪華な饗宴を催す。アハシュエロスは、美しい妻ワシュティを皆に見せようと考えるが、ワシュティは二度にわたって王の前に出ることを拒否する。

 

 王は家臣たちの進言に従い、夫に従わなかった妻のワシュティを追放する。ワシュティは王に「この仕打ちには、愛による罰が与えられるでしょう」と告げて去る。

 

 ユダヤ人の美しい娘エステルは両親を亡くし、悲しみに沈む。彼女の伯父モルデカイは彼女を慰め、自分の娘として引き取る。

 

 王はワシュティを追放したことを後悔し、国を統治することにむなしさを覚える。王は家臣たちの前で嘆く。家臣たちは王に新たな恋心を目覚めさせることが慰めになるであろうと考え、美しい娘たちを集めて王に新しい妻を選ばせることにする。

 

 モルデカイはエステルに、「もしおまえが王妃になれば、捕囚されているユダヤ人たちを救うことができるだろう」と告げる。エステルはユダヤ人の解放を神に祈る。モルデカイはエステルに「自分の属する民族や家系は誰にも告げてはならない」と命じる。

 

 王妃候補者として美しい娘たちを都に集めるという知らせは、小さな村にも届く。王妃に憧れる村娘のシレーナは候補者になろうと考えるが、彼女に恋しているセルバヒオはそれを止めようとする。セルバヒオは「きみの挑戦が失敗に終わっても、ぼくの所へ戻ってこようとは思うな」と彼女に警告する。

 

 王妃候補者に選ばれたエステルは美しく着飾り、供の女性たちをつれてアハシュエロス王の前に出る。王はすぐさまエステルに魅せられ、新しい王妃にする。

 

 モルデカイはある日、罪なき人々が龍に襲われるが、泉の出現によって救われるという夢を見る。

 

 王の家臣ハマンが現れ、人々はみなひざまずく。モルデカイだけがひざまずかなかったのでハマンは怒る。モルデカイは自らの信じる神の前でしかひざまずかないと誓っていた。

 

 モルデカイは、王宮の番人ビグタンテレシュが王の暗殺を企んでいることを知る。彼はエステルを呼び、そのことを教える。エステルが暗殺計画を王に告げ、王は番人たちを処刑する。モルデカイによって命を救われたことを知った王は、その出来事を王宮の日誌に記録するよう命じる。

 

 モルデカイの自分に対する態度に怒ったハマンは、王に「ユダヤ人たちは王の法律に従わず、他の家臣たちを堕落させています」と告げる。王はハマンに、ユダヤ人たちを一日のうちに皆殺しにする許可を与える。

 

 王妃に選ばれることに失敗したシレーナはセルバヒオとよりを戻そうとするが、セルバヒオは彼女を拒否する。

 

 ハマンの計略を知ったモルデカイは粗布をまとって灰をかぶり、ユダヤ人たちの運命を嘆く。そのことを知ったエステルは彼のもとへ衣服を届けるが、モルデカイはそれを着ることを拒否する。エステルは自分がユダヤ人たちのために王に嘆願することを彼に約束する。

 

 エステルは王に「ハマンを連れて、私と食事をともにして下さい」と嘆願する。王はそれを承知する。ハマンは名誉を与えられたと感じて喜ぶが、モルデカイが相変わらず彼への態度を改めようとしないのを見て再び怒る。ハマンの仲間は「王宮の前に絞首台を立てておき、王に『モルデカイをあの絞首台に吊るしてください。食事をしながら彼の死体を眺めたいのです』と願い出てはどうか」と提案する。ハマンは同意し、王宮の前に絞首台を立てさせる。

 

 王宮の日誌を家臣に読み上げさせていた王は、モルデカイが王の暗殺計画を阻止したことに対し何の報酬も与えられていなかったことに気づく。王はハマンを呼び、「高潔な人物に名誉を与えるにはどうしたらよいか」と尋ねる。ハマンは自分こそが王から名誉を与えられようとしているのだと勘違いをし、「その者を着飾らせ、馬に乗せて広場へ行かせ、『王がこのように名誉を与えることを望まれたのだ』と宣言させるのがよいでしょう」と進言する。王はハマンに「モルデカイに対して、今おまえが言った通りのことをせよ」と命令する。

 

 モルデカイは着飾り、馬に乗って広場へ行進する。馬の手綱を持って従うのはハマンである。ハマンは、モルデカイを陥れようとして逆に自分が不名誉な立場に置かれたことを嘆く。モルデカイは神に感謝する。

 

 ハマンは帰宅し、妻のゼレシュに事の次第を話す。そこへ使者がやってきて、エステルの催す饗宴に出席するようにとの王の命令を彼に伝える。

 

 エステルの家で饗宴が始まる。王はエステルの美しさに魅了され、彼女の望むことは何でも叶えると宣言する。エステルは、「ハマンが、私の民を皆殺しにしようと企んでいます。どうかお救い下さい」と王に嘆願する。王は「ハマンが王妃を殺そうとしているとは何事か」と怒る。

 

 モルデカイはエステルに「私の夢の中に現れた泉は、おまえのことだったのだ」と告げる。

 

 自身の失脚を悟ったハマンはエステルのもとへ行き、許しを乞おうとする。しかし彼がエステルの身体にすがろうとしているところへ王が現れ、彼を捕える。王はハマンを死刑にするよう命令し、ハマンはモルデカイを吊るすために自分が作らせた絞首台に吊るされる。

 

 エステルは王に、自分がユダヤ人でありモルデカイの親類であることを告白する。王はハマンの出したユダヤ人殺しの勅令を無効にし、ユダヤ人たちを解放する。王はハマンの家をエステルとモルデカイに与える。ユダヤ人たちがエステルを賞賛して幕となる。