Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

バレンシアの港(グラオ)(Grao de Valencia, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1589-1595年

種類:都会的な同時代劇

補足:カール5世時代のバレンシアとアルジェが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 

 バレンシアに住むクリセーラのもとへ、トレド出身の従妹レオノーラがやってくる。二人はバレンシアの港(グラオ)を散歩する。

 

 ドン・フェリックスリカルドが彼女たちに話しかける。フェリックスはクリセーラの恋人で、リカルドはフェリックスの友人である。リカルドはレオノーラに惹かれ、彼女を口説く。レオノーラもリカルドを憎からず思う。

 

 フェリックスは、クリセーラの父親であるレオナルドが、フェリックスを娘から遠ざけようとしていることを嘆く。レオナルドは、クリセーラをバレンシアの沿岸にあるマンソファ(モンコファ)の監視塔(*現在は遺構が残るのみ)へ行かせるつもりである。リカルドはフェリックスをなぐさめる。

 

 アルジェに住むモーロ人の海賊ハリーフェは、美しいクリセーラの評判を聞き、彼女に興味を持つ。かつてキリスト教徒であったスレーマは、自分がレオナルドの従者だったことをハリーフェに話す。ハリーフェはスレーマとともに船に乗り、クリセーラを略奪するためマンソファへ向かうことを決意する。

 

 スレーマはハリーフェに協力するふりをして、ひそかにクリセーラを手に入れようと企む。ハリーフェと同様にクリセーラを狙っていたもうひとりの海賊グアダモは、スレーマが自分に協力しなかったことを非難し、バレンシア沿岸を荒らしてハリーフェとスレーマの計画を妨害すると宣言する。スレーマはグアダモに嘘をつき、実際の出航時刻とは違う時刻を告げて、グアダモがバレンシアキリスト教徒たちに捕らえられるように仕向ける。

 

 リカルドは、レオノールを口説くために彼女の家へ行く。しかし別の青年ドン・フアンも友人のドン・ペドロとともにレオノールを口説きに来ていた。そのときモーロ人来襲の知らせが届き、クリセーラの身を心配したフェリックスが3人に助けを求める。4人はつれだってマンソファへ向かう。

 

 ハリーフェはクリセーラの略奪に成功し、彼女をアルジェへ連れていく。しかしアルジェの王がクリセーラを気に入り、邪魔なハリーフェを牢に入れてしまう。

 

 スレーマはうまく王に取り入って、クリセーラの見張り役を任される。スレーマはクリセーラと二人きりになると、「私はかつてタンクレードという名前のキリスト教徒で、あなたの父親の従者だった。その頃から私はあなたに恋していた」と打ち明ける。しかしクリセーラは彼の求愛を拒否する。

 

 グアダモはスレーマにだまされ、バレンシアでレオナルドに捕らえられてしまう。グアダモはレオナルドに「自分を逃がしてくれたら、あなたの娘をハリーフェから取り戻してくる」と提案する。レオナルドはその条件をのむが、グアダモを人質として捕らえたまま、彼の部下たちを解放する。

 

 クリセーラを失ったフェリックスは絶望する。リカルドは彼を慰めるために、別の女性に恋をすることを勧める。

 

 ようやく牢から解放されたハリーフェは、クリセーラに熱心に求愛する。クリセーラは、自分の頼むことはなんでも引き受けるという約束をさせた後で、彼に「バレンシアに行って、私の夫であるフェリックスをつれて来てほしい」と頼む。ハリーフェはしぶしぶそれに従う。

 

 グアダモはアルジェの王に使者を送り、「私を自由の身にするために、クリセーラを解放してほしい」と依頼する。しかしクリセーラに執心している王は難色を示す。

 

 バレンシアでは、レオノールに求愛するフアンがリカルドに決闘を申し込む。決闘の場所は港(グラオ)に決まる。

 

 漁師に変装したハリーフェがバレンシアの港に到着する。ちょうどそこへフアンとリカルドが決闘をするために現れる。彼らにはそれぞれ立会人としてペドロとフェリックスがついていた。

 

 フアンとリカルドが戦っているのを見たハリーフェは驚き、二人を止めに入る。フアンとリカルドはやむなく決闘を中止する。ハリーフェを気に入ったフェリックスは彼に話しかけ、自分の従者にする。

 

 ハリーフェは、自分に話しかけてきた人物がクリセーラの求めているフェリックスであると知り、彼を拉致しようと企む。

 

 アルジェの王は、グアダモの兄弟に懇願されてようやくクリセーラを解放する決心をする。

 

 レオノールはリカルドの求愛を受け入れる。フェリックスはクリセーラのことをあきらめ、ドニャ・アナという女性に言い寄ろうとする。

 

 レオノールとリカルドは、フェリックスとハリーフェを自分たちの結婚式の宴会に招待すると宣言する。

 

 フェリックスはアナ宛ての手紙をハリーフェにことづけ、ハリーフェはフェリックスを後で拉致するために偽の手紙を書いてアナに渡す。

 

 レオナルドは、グアダモの使者サルテに「自分には息子がいたが、幼い頃にモーロ人にさらわれてしまった」と話す。

 

 クリセーラはスレーマに護衛されてバレンシアへ向けて船出する。しかしスレーマは船上でクリセーラを凌辱しようとする。クリセーラはスレーマを殺す。クリセーラは他のキリスト教徒の捕虜たちとともにバレンシアへ帰還する。

 

 フェリックスは宴会を脱け出し、アナに会うつもりで港へ向かう。彼をだましたハリーフェは、フェリックスを拉致するつもりで港へ向かう。彼らは港でクリセーラと再会する。

 

 レオナルドもそこへ現れ、クリセーラとの再会を喜ぶ。クリセーラとサルテの証言により、ハリーフェがレオナルドの息子であることが判明する。ハリーフェはキリスト教に改宗する。

 

 フェリックスはクリセーラに求婚し、クリセーラはそれを受け入れる。グアダモが解放され、アルジェに戻されて幕となる。