Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

金の鵞鳥(Ganso de oro, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1588-1595年

種類:牧人小説の要素を備えた劇

補足:初期の作品。魔術を使う場面がふんだんに用いられており、当時としてはきわめて新しい趣向の演劇である。グリム童話における『金の鵞鳥』の物語との共通点はほとんど認められない。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ギリシャアルカディアに住む羊飼いのエルガストプラデーロは、山から降りてきた野人のバルディネーロに子山羊をさらわれてしまう。

 

 バルディネーロを追ったエルガストとプラデーロは、羊飼いの娘リセーナに出くわす。彼らは怯えているリセーナをなだめ、バルディネーロはすでに去ったと告げる。プラデーロはリセーナに求愛するが、リセーナはそれに応じない。

 

 羊飼いたちの恋愛模様が繰り広げられる。プラデーロはリセーナに恋し、リセーナはベラルドに恋している。シルベーロベリーサに恋している。そしてベラルドとベリーサは相思相愛である。

 

 リセーナとシルベーロは共謀し、ベラルドとベリーサの前で恋人同士であるふりをして、二人に嫉妬心を起こさせようとする。しかしベラルドとベリーサは自分たちの恋に夢中で、彼らの演技にはまったく関心を払わない。ベラルドは小さな板に、愛するベリーサの名前を書き込む。

 

 作戦が失敗し、リセーナとシルベーロは落胆する。シルベーロは、彼の父親で魔術師のフェリシオがいる洞窟へ行く。

 

 シルベーロがフェリシオに助けを求めると、爆発音とともにフェリシオが姿を現す。フェリシオはシルベーロがベリーサを手に入れるための手助けをすると約束する。

 

 その後、バルディネーロが再び山から降りてきてベリーサとリセーナを拉致し、洞窟の中へ逃げる。ベラルドは彼らを追って洞窟の中へ入る。他の羊飼いたちはベラルドが道に迷わないよう彼に糸玉を渡し、クレタの迷宮におけるテセウスのように洞窟の入口に糸の先を結びつけて中へ進むよう忠告する。

 

 洞窟の中で、ベラルドは奇妙な幻を目にする。悪魔の集団と楽隊が行進し、ナポリの王子」とベリーサの婚礼が行われる。彼らは婚礼の後の初夜の楽しみを赤裸々に語る。ベラルドは錯乱状態に陥り、糸玉をなくしてしまう。

 

 道に迷ったベラルドがようやく洞窟から外に出ると、そこはイタリアのナポリであった。ナポリでは疫病の蔓延により、国王が相次いで病死していた。

 

 ベラルドは、洞窟の中で見た幻が真実だったのだろうかと考える。彼が岩山の上で休息していると、突然魔術師ダルダニオの幻影が現れる。ダルダニオの幻影はベラルドに、「ナポリで疫病が蔓延している理由は、ここにあった私の墓を家畜の群れが荒らしたせいだ」と話し、ナポリを救いたければ洞窟の中にいる蛇の首を切り落とさなければならないと告げる。

 

 ロドゥルフォ伯爵をはじめとするナポリの貴族たちは、神々の怒りを鎮めようと、セイレーンの神殿に生贄をささげる。ロドゥルフォはまた、ならず者や売春婦、ぽん引きなどを国外へ追放する。

 

 ロドゥルフォたちの前に、紙片をくわえた鷲が飛んでくる。紙片には、「疫病の原因であった蛇は、ひとりの羊飼いの手で殺された」と書かれていた。

 

 アルカディアでは、バルディネーロにさらわれたベリーサとリセーナは別の場所で無事に発見されたものの、ベラルドだけは行方不明のままであった。リセーナはベラルドのことをあきらめるが、ベリーサはベラルドのことを思い続ける。

 

 フェリシオがシルベーロの前に姿を現す。彼は、ベリーサの心を手に入れるために洞窟を通ってナポリへ行き、ベラルドを殺せとシルベーロに告げる。シルベーロはフェリシオ、プラデーロとともに洞窟を通ってナポリへ行く。

 

 ベリーサは、ベラルドの思い出がしみこんでいるアルカディアを離れようと決意し、イタリアへ向けて船出する。リセーナも友情から彼女に同行する。

 

 蛇を退治したベラルドは、ナポリの人々に歓喜の声とともに迎えられる。ナポリから追放された人々も、国へ戻ることを許される。

 

 ベラルドはナポリの国王となり、パルテノペオという名を与えられ、ローマの王女との結婚が決まる。

 

 ベリーサとリセーナはナポリの郊外に到着し、それぞれファビアとピナルダと名乗ってフロミニオという名の老人の家に身を寄せる。

 

 ある日、ファビア(ベリーサ)とピナルダ(リセーナ)が鵞鳥の群れを見張っていると、狩りを楽しんでいたパルテノペオ王(ベラルド)が突然現れる。王の出現に驚いた鵞鳥たちは、散り散りになって逃げてしまう。

 

 王(ベラルド)はファビア(ベリーサ)がかつての恋人だとは気づかず、彼女に謝罪し、いなくなった鵞鳥の重さと同じだけの金塊を払うと申し出る。

 

 ファビア(ベリーサ)は、王がベラルドなのではないかと疑い、王の随員の貴族をつかまえて王のことを質問する。王がかつて羊飼いだったと聞いたファビア(ベリーサ)は、王がベラルドに違いないと確信を抱く。

 

 シルベーロとプラデーロはナポリに到着し、王宮に潜入する。フェリシオの魔法の力によって、二人の姿は誰にも見ることはできない。

 

 フロミニオは、王の結婚式の祝典にあわせて鵞鳥とパンを街へ売りに行こうと考える。彼はファビア(ベリーサ)とピナルダ(リセーナ)を一緒に連れていく。

 

 王(ベラルド)は、セイレーンが夢の中に現れ、自分に危機が迫っていると告げながら指輪を渡して加護を約束したとロドゥルフォに告げる。そこへファビア(ベリーサ)とピナルダ(リセーナ)が現れ、逃げた鵞鳥の弁償を王(ベラルド)に願い出る。ファビア(ベリーサ)は、かつてベラルドから贈られた名前入りの小さな板を王(ベラルド)に差し出す。

 

 王(ベラルド)はベリーサのことを思い出し、恋人との再会を喜ぶ。しかしそのとき、シルベーロが王(ベラルド)を殺そうとする。王(ベラルド)はセイレーンの指輪の力でシルベーロの姿を見ることができるようになり、彼を捕らえるよう家臣に命令する。

 

 爆発音とともにフェリシオが姿を現す。彼は、シルベーロとベラルドが兄弟であり、ともにナポリの国王とアルカディアのニンフとの間に生まれた子どもであること、フェリシオ自身はアテネの国王であり、ベリーサは彼の娘であることを明かす。ベラルドとベリーサ、シルベーロとローマの王女、プラデーロとリセーナが結ばれて幕となる。