Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

カタルーニャの粋人(Gallardo catalán, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1599-1603年

種類:架空の宮廷劇

補足:1605年の皇太子フェリーペ(後の国王フェリーペ4世)の誕生を記念する祝祭で上演された。男装の女性が登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 バルセロナ伯爵ドン・レモン・デ・モンカーダは、イギリス、イタリア、フランスに滞在した後、スペインへ帰国する。

 

 伯爵のかつての恋人クラベーラは、「私を忘れて他の女性に心変わりをしたのでしょう」と彼を責める。伯爵は、ごまかすのは彼女に対して不誠実であると考え、「イングランドの王女イサベラと愛し合う仲になったが、彼女はボヘミアの国王と結婚してしまった。今でも彼女を愛している。きみがぼくに彼女のことを忘れさせてくれるというのなら、それを拒むつもりはない」と告白する。傷ついたクラベーラは、伯爵の帰国を祝う式典を欠席する。

 

 式典の途中で、イングランド出身のボヘミア貴族アルテニオが到着する。アルテニオは伯爵にボヘミア国王の死と、イサベラのイングランドへの帰国を伝える。イサベラからの手紙をアルテニオから受け取った伯爵は、イサベラがまだ彼を愛していることを知る。アルテニオに励まされた伯爵は、イサベラに求婚するためイングランドへ出発する。

 

 神聖ローマ帝国(現在のドイツ)の貴族ロドゥルフォもまた、イサベラに求婚したいと考える。彼は親戚にあたる神聖ローマ皇帝エンリケに協力を依頼する。皇帝はロドゥルフォの頼みを引き受けるが、ひそかに自分自身がイサベラと結婚しようと企み、イングランド国王に手紙を書く。

 

 クラベーラは男装して伯爵の後を追う。しかし嵐によって彼女の乗った船は流され、フランスの港に到着する。

 

 伯爵とその従者ロカブルーナ、アルテニオは海上でトルコの私掠船に襲われ、所持金をすべて奪われたあげく捕虜になってしまう。彼らはフランスで、偶然出会ったクラベーラによって救出される。伯爵とクラベーラは思わぬ再会を果たすが、伯爵のイサベラへの恋心は変わらない。4人はともにイングランドに向けて船出する。

 

 イングランドに到着したロドゥルフォは、国王の口から皇帝がイサベラに求婚していることを聞かされ、驚愕する。国王は皇帝の求婚を受け入れるつもりだと話し、ロドゥルフォは皇帝の裏切りに立腹する。

 

 皇帝の手紙をイングランド国王へ届けた秘書のロタリオもまた、イサベラを見て恋に落ちてしまう。

 

 イングランドに到着した後、クラベーラは「必要な資金と馬を用意する」と約束して伯爵をプリマスに残し、ロンドンへ向かう。クラベーラはイサベラと伯爵との結婚を阻止しようと企む。

 

 クラベーラは巡礼者に変装してイサベラに会う。クラベーラはイサベラの口から、彼女が皇帝と婚約したことを知る。クラベーラは「バルセロナ伯爵はトルコ人の捕虜になりました。あなたは彼をあきらめて皇帝と結婚するべきです」と忠告する。イサベラは彼女に説得され、皇帝との結婚を決意する。

 

 クラベーラはドン・フアンと名乗る。イサベラはフアン(クラベーラ)を気に入り、自分の相談相手として傍に置く。

 

 プリマスで足止めされている伯爵は、クラベーラが自分とイサベラを会わせまいとしているのではないかと疑いを抱き、ロカブルーナをロンドンに送る。ロカブルーナは、イサベラと皇帝が婚約したという知らせを持ち帰る。伯爵は焦り、皇帝が現れる前にイサベラに会おうと決意する。

 

 ロドゥルフォとロタリオは、イサベラがフアン(クラベーラ)を寵愛している様子を見て、二人に関する偽りの情報を皇帝に流そうと企む。

 

 伯爵は金銀細工師に変装し、プリマスに来港したイングランドの提督に「未来の皇妃であるイサベラ様に最高のダイヤモンドを献上したい」と告げ、かつてイサベラから贈られた指輪を渡す。提督は王宮に行ってイサベラにその指輪を渡す。イサベラは驚き、その金銀細工師を呼び出すよう命令する。伯爵は王宮に参上する。

 

 伯爵はイサベラの前で正体を明かし、彼女に求婚するために来たことを告白する。しかしイサベラは、フアン(クラベーラ)から伯爵が捕虜になったことを知らされ、皇帝との結婚を決めたことを彼に告げる。伯爵は嘆き悲しむが、イサベラの心は動かない。

 

 イサベラはフアン(クラベーラ)をつれて神聖ローマ帝国に向けて船出する。フアン(クラベーラ)は、伯爵がおそらくバルセロナへ戻ったであろうと推測する。

 

 皇帝はイサベラを歓迎する。しかしロドゥルフォとロタリオが流した偽りの情報によって、皇帝は自身の名誉が傷つくことを恐れ、結婚後もイサベラを遠ざけるようになる。

 

 フアン(クラベーラ)は、伯爵の行方を探したいという望みにかられ、イサベラの結婚式が無事に終わった頃を見計らってスペインへ帰国したいと申し出る。イサベラは彼(彼女)との別れを惜しみ、抱き合って親密な挨拶を交わす。それを見たロドゥルフォとロタリオは二人の様子を皇帝に伝え、不名誉な関係にある二人を抹殺するべきであると進言する。皇帝は同意し、フアン(クラベーラ)は、ロドゥルフォとロタリオに拉致される。

 

 皇帝はイサベラが手紙を書いているのを見て、その手紙を取り上げる。手紙はイサベラの父にあてたもので、「皇帝から離縁されそうなので、その前にイングランドに呼び戻してください」と訴えるものであった。皇帝はイサベラに、自分が彼女を拒否した理由を説明する。イサベラは初めて、自分とフアン(クラベーラ)の関係が邪推されていたことを知る。アルテニオはイサベラの父に事の次第を知らせるため、急いでイングランドへ向かう。

 

 イサベラの前に皇帝の家臣が現れ、毒の杯を飲み干すよう彼女に迫る。イサベラは自殺することはできないと拒否する。そこへ提督が現れ、イサベラの毒殺を阻止する。

 

 提督は帝国の法にのっとって、イサベラの誹謗者とイサベラの支持者たちを集め、両者を勝負させるべきだと主張する。イサベラの誹謗者たちが勝利すれば、イサベラは火あぶりとなる。皇帝はそれに同意する。しかしイサベラの支持者を集めるために許された期間はわずかであった。

 

 伯爵は、あと一目だけでもイサベラに会いたいという望みから、ロカブルーナとともに神聖ローマ帝国に来ていた。そこへ悲鳴が聞こえ、顔に布をかぶせられたフアン(クラベーラ)が殺されそうになっているのが二人の眼に入る。二人はロドゥルフォとロタリオを追い払い、フアン(クラベーラ)を助ける。

 

 伯爵に再会したクラベーラは、彼を探しにスペインへ戻るつもりだったことを告白する。クラベーラは、イサベラが皇帝から不当に冷遇されていることを伯爵に伝える。伯爵は、神聖ローマ帝国イングランドの関係が悪化していることを憂慮する。三人は炭焼き職人に変装し、王宮へ向かう。

 

 イサベラは塔に幽閉されていた。伯爵はひそかに塔に侵入し、イサベラに再会する。かつてイサベラから拒絶された手前、伯爵は彼女を助けるのに気乗りがしないふりをする。

 

 期限が過ぎてもイサベラの支持者は現れず、イサベラは処刑場へ引き出される。武装したロドゥルフォとロタリオが現れてイサベラを誹謗すると、鎧を着た伯爵ともう一人の戦士が現れ、彼らに勝負を挑む。ロドゥルフォとロタリオは戦いに敗れて死ぬ。

 

 皇帝はロドゥルフォとロタリオの死体を、イサベラを焼くために用意された火の中に投じるよう命じる。伯爵は人々の前で自分の正体を明かし、イサベラの名誉を守った騎士として皆に賞賛される。

 

 もう一人の戦士も正体を明かす。伯爵がロカブルーナだと思っていたその戦士は、実はクラベーラであった。伯爵は彼女の武勇に驚嘆する。

 

 皇帝は、フアンの正体が女性のクラベーラであったことを知り、妻がフアンとただならぬ関係であったという噂は偽りであったと悟る。皇帝はイサベラと和解する。

 

 伯爵はクラベーラの芯の強さを見て、彼女の夫となることを宣言する。皇帝は伯爵にプロヴァンス爵位を、クラベーラに多くの持参金を与える。彼らの結婚式を挙げることが告げられて幕となる。