Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ラ・メンブリーリャの伊達男(Galán de la Membrilla, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1615年

種類:農村を舞台とした同時代劇

補足:13世紀のカスティーリャ王フェルナンド3世(聖王)治世下のスペインが舞台となっているが、内容はほぼ同時代劇といってよい。ラ・マンチャ地方の特色を強く意識した記述が見られる。2011年にテアトロ・カチバチェス(Teatro Cachivaches)によって上演されている。男装の女性が登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ラ・マンチャ地方のマンサナーレス村に住むラミーロは、裕福な農夫テーリョの娘レオノールに求愛している。

 

 マンサナーレスの隣にあるラ・メンブリーリャ村には、ラミーロの友人ファビオが住んでいる。ファビオは、最近コルドバの戦いから帰って来たばかりの兵士で、貧しい貴族の青年ドン・フェリックスがレオノールに求愛していることをラミーロに伝える。ラミーロは立腹する。

 

 フェリックスはレオノールに求愛するため、手紙を二つ用意する。ひとつは彼女への恋文であり、もうひとつはワインの注文書である。ワインの注文書は、万一テーリョに見つかった場合にごまかすためのものであった。フェリックスの従者トメは、その二通の手紙をもってテーリョの家を訪れる。

 

 トメはレオノールの侍女イネスを口説いた後、レオノールにフェリックスの恋文を渡す。その後テーリョに見つかったトメは、酒の仲買人のふりをして彼にワインの注文書を渡す。しかし彼の思い違いによって、恋文はテーリョの手に、ワインの注文書はレオノールの手に渡ってしまう。

 

 恋文を読んだテーリョは、それを書いたのがラミーロだと思いこみ、彼を家に呼びつけようとする。

 

 さらにテーリョはトメを呼び、手紙について質問する。トメは「本当はワインの注文書をお渡しするはずだったのですが、間違えてそれをお渡ししてしまいました。その恋文はある女性に宛てたものですが、その女性はこの家の方ではありません」と説明する。

 

 レオノールとイネスはトメの嘘に気づきながらも彼の機転に感心し、彼の言葉に調子を合わせてテーリョにトメを信用させる。しかしその後、テーリョの家にやってきたラミーロが「手紙の主はフェリックスに違いありません」と彼に告げ、フェリックスがレオノールに求愛していることを教える。テーリョは怒ってフェリックスを呼びつける。

 

 テーリョの前に出たフェリックスは、正直にレオノールに求愛していることを認め、彼女と結婚したいとテーリョに告げる。テーリョはフェリックスの人柄については好ましく思うものの、彼が貧しい貴族であるがゆえに、周囲の人々が自分のことを「農夫が金で貴族の称号を買った」と噂するのではないかと恐れる。

 

 テーリョはフェリックスに「娘との結婚が周囲の誤解を招かないように、きみはこれからトレドへ行って、国王からなんらかの領地または騎士団員の称号をもらってきなさい」と告げる。フェリックスは同意する。テーリョはフェリックスに旅費を渡し、期限を二か月と決める。

 

 ラミーロはフェリックスがトレドへ去ったのを知って喜ぶ。ラミーロに恋しているラウレンシアは、自分が彼に全く相手にされていないことを嘆く。

 

 トレドでは、皇太子アロンソ(*アルフォンソ10世〔賢王〕のこと)が父である国王フェルナンドに、ムルシアのモーロ人たちを征伐に行きたいと懇願していた。王はアロンソの優れた知性を認める。

 

 フェリックスが王の前に参上する。彼は自分がコルドバの戦いで軍功を挙げたことを示す書状を提出する。しかし王は彼を無視し、9週間が経過する。その間に皇太子はムルシアで勝利を収める。

 

 王はようやく、グラナダの再征服に参加するようフェリックスに命じる。フェリックスは、テーリョから言い渡された期限が過ぎようとしていることを懸念しつつも、それに従う。

 

 ラ・メンブリーリャでは、レオノールとラウレンシアが互いに自分の恋する相手について話をする。二人は互いが恋敵なのではないかとひそかに疑う。

 

 ファビオはラミーロに「レオノールを振り向かせたいのなら、ラウレンシアを口説いているところを見せたらどうか」と助言する。ラミーロはそれに従う。

 

 フェリックスは、グラナダへ出発する前にレオノールに別れを告げようと、トメをつれてラ・メンブリーリャを訪れる。レオノールは別れに納得せず、すでに期限の二か月が過ぎてしまったことを非難する。フェリックスとレオノールは話し合った末、ともにグラナダへ行くことにする。レオノールは男装して、ひそかにフェリックスとともに家を抜け出す。酔っぱらったトメは置き去りにされ、テーリョに見つかって責められる。

 

 レオノールがフェリックスと駆け落ちしたことを知ったラミーロは怒り、二人に逃げられたテーリョをばかにする内容の歌を作って村中に広める。村にいられなくなったテーリョは、自分の領地にある別荘へ引っ越す。

 

 グラナダへ向かう王は、途中でテーリョの領地を通る。王はテーリョの別荘に泊まり、テーリョは王を手厚くもてなす。王に報酬は何がいいかと問われたテーリョは「私の娘をかどわかしたドン・フェリックスが陛下の軍隊に所属しています。彼に罰を与えて下さい」と告げる。王は承諾する。

 

 フェリックスとレオノールは王の軍隊に加わり、レオノールはフェリックスの弟のふりをしてレオナルドと名乗る。二人はトメに再会する。トメは、ラミーロの作った歌のせいでテーリョがラ・メンブリーリャにいられなくなったことを二人に話す。腹を立てたフェリックスはラミーロをこらしめるためにラ・メンブリーリャへ引き返す。

 

 ラ・メンブリーリャの村でテーリョを侮辱する歌を聴いたフェリックスは、ラミーロを襲って怪我を負わせる。ラウレンシアがラミーロを介抱する。

 

 フェリックスがいない間に、グラナダではレオナルド(レオノール)が戦場で手柄を立てて皇太子から隊長に任命される。しかしレオナルド(レオノール)は「隊長にふさわしいのは兄のフェリックスです」と皇太子に告げる。皇太子はその言葉を受け入れる。

 

 王妃が病気だという知らせを受けて、国王と皇太子は急遽グラナダから王宮に引き上げる。軍の総指揮を任されたカディス侯爵は、レオナルド(レオノール)に、「テーリョの娘をかどわかしたドン・フェリックスを見つけ出して罰するように」という王の命令を伝え、フェリックスを捕える任務を与える。

 

 フェリックスが軍隊に戻ってくる。彼はレオナルド(レオノール)と情報を交換する。レオナルド(レオノール)と皇太子との約束によって、フェリックスは隊長に任命される。カディス侯爵は、王から捕らえるよう命じられている男が隊長と同一人物であるとは知らず、ラ・メンブリーリャに行って兵士を集めてくるようフェリックスに命令する。

 

 フェリックスとレオナルド(レオノール)はテーリョの家に向かう。テーリョは軍の隊長となったフェリックスを見て驚く。彼は、兵士を集めるようにというフェリックスの要求にしぶしぶ従う。テーリョはレオナルド(レオノール)の正体が自分の娘であることには気づかない。

 

 王妃が病から回復し、国王と皇太子はグラナダへ戻る途中でテーリョの家に寄る。

 

 ラミーロは怪我から回復し、ラウレンシアと結婚する。彼は国王がテーリョの家にいることを知り、自分に怪我を負わせたフェリックスを裁いてほしいと王に懇願する。

 

 王は、フェリックスがテーリョの娘をかどわかした人物であることを知るが、彼がテーリョと約束した期限の二か月を守れなかったのは自分自身が彼にグラナダの戦いへの参加を命じたせいだと気づく。王は「レオノールを父親の元に返せば、フェリックスにレオノールとの結婚を許す」と告げる。するとレオナルド(レオノール)が皆の前で自分の正体を明かす。フェリックスとレオノール、トメとイネスが結ばれ、皇太子が結婚の立会人となることを宣言して幕となる。

 


Teatro - El Galán de la Membrilla