Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

酷(むご)き権力(Fuerza lastimosa, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1595-1603年

種類:架空の宮廷劇

補足:様々なヴァージョンが存在する中世の詩『アラルコス伯爵のロマンセ Romance del Conde Alarcos』の筋書きを基にしている。2001年に劇団ノビエンブレ(Noviembre)によって上演されている。アイルランドが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 アイルランドの貴族エンリケ伯爵オクタビオ公爵は、ともに王女ディオニシアに恋をしている。

 

 ディオニシアが狩りに出かけた機会をねらって、エンリケは彼女に愛を告白する。ディオニシアは彼の求愛を受け入れる。二人はその日の夜に王宮で密会する約束を交わす。

 

 彼らの会話を盗み聞きしていたオクタビオは嫉妬し、二人の前に姿を現す。エンリケとディオニシアは慌ててその場を去る。オクタビオは侮辱されたと感じ、二人への復讐心を募らせる。

 

 そこへ国王が現れたので、オクタビオは王に取り入って信頼を勝ち取り、「エンリケ伯爵を捕えて下さい。理由は明日になれば私からお話ししますが、陛下の名誉にかかわることです」と懇願する。王はそれを受け入れる。

 

 エンリケはディオニシアと密会の約束を交わしたことを従者のベラルドオルテンシオに打ち明ける。そこへ国王の秘書クレナルドが現れ、エンリケに王宮へ参上するようにと命令する。エンリケは、王女との密会に備えて王宮で待機するようベラルドとオルテンシオに命じて出発する。

 

 ディオニシアは侍女のセリンダに密会のことを打ち明け、エンリケのためにバルコニーの窓を開けておくよう命じる。

 

 国王は、王宮に参上したエンリケを捕えるよう近衛隊長のファビオ侯爵に命じる。ファビオ侯爵は不本意ながらもそれに従う。

 

 ディオニシアの部屋の前で待機していたベラルドとオルテンシオの前に、顔を隠したオクタビオが現れる。オクタビオは二人を殴って追い払うと、エンリケのふりをしてディオニシアの部屋に侵入し、彼女と夜を共にする。

 

 翌朝、オクタビオは「エンリケを捕えてほしいと申し上げたのは、彼を暗殺者の手から守るためでした。彼を釈放してやってください。私は重要な用事があるため故郷へ帰ります」という内容の手紙を国王に送り、王宮を去って領地へ戻ってしまう。国王は困惑しつつもエンリケを釈放する。

 

 エンリケもまた困惑しつつ家へ戻る。ベラルドとオルテンシオは彼に、前夜ディオニシアの部屋の前で何者かに殴られたことを伝える。

 

 そこへディオニシアが現れ、エンリケと抱擁しようとする。ディオニシアが前夜に自分と密会したと思いこんでいることを知ったエンリケは、とっさに彼女に話を合わせてその場をやり過ごす。しかし何者かが自分になりすまして王女の身体を奪ったのだと悟った彼は、絶望して王宮を離れ、スペインへ去る。

 

 4年が経過する。エンリケがスペインで結婚し、3人の子どもをもうけたという噂がアイルランドに届く。

 

 ディオニシアがショックから立ち直れないでいるところへ、当のエンリケが妻のイサベラと長男のフアンをつれて王宮へ参上する。ディオニシアは初めは感情を抑えて応対するものの、嫉妬に耐えきれずイサベラをその場から追い出してしまう。

 

 国王は、娘の怒りの理由を尋ねる。ディオニシアは「私はかつて、エンリケ伯爵と密かに結婚しました。しかし彼は私の身体を奪った後逃亡したのです」と告げる。王は怒り、エンリケを呼び出す。

 

 王はエンリケに意見をきくふりをして、「王女と結婚の約束を交わしておきながら身体を奪って逃亡した男はどうすべきだと思うか」と問う。王の意図に気づいていないエンリケは「責任を取って王女と結婚するべきです。もし他の女性とすでに結婚していたなら、自らの罪への罰として妻を殺さなくてはなりません」と答える。王はすぐさま、その男はエンリケ自身であると告げ、エンリケにその言葉を実行するよう命令する。

 

 エンリケは嘆きながら自宅に戻り、国王から妻を殺せと命じられたことをイサベラに伝える。イサベラは気丈にも、自らの命を犠牲にする運命を受け入れる。彼女は子どもたちを自分の父親であるバルセロナ伯に養育させるようエンリケに頼む。

 

 エンリケは妻を殺そうとするが、どうしても手を下すことができず、ファビオ侯爵の提案に従って妻を従者の手に委ねる。従者はイサベラを小舟に乗せて海へ流す。

 

 ディオニシアは罪のないイサベラを死に至らしめたことで自責の念にかられるものの、エンリケにはイサベラを忘れて自分と結婚するよう要求する。

 

 従者のポリビオテレオとともに領地の海岸にいたオクタビオは、偶然イサベラの小舟を見つけ、彼女を助ける。イサベラは自分の名を明かさず、オクタビオも身分を隠して彼女をかくまう。

 

 エンリケは妻を死なせた罪の意識から逃れることができず、ディオニシアとの結婚は延期される。エンリケは精神のバランスを失い、国王の自分に対する仕打ちを激しく非難する。王はやむを得ずエンリケを幽閉する。

 

 そこへ、イサベラの父であるバルセロナ伯爵の艦隊がアイルランドに攻めてきたという知らせが入る。国王はオクタビオを前線に送ろうと考える。

 

 オクタビオとイサベラはようやく互いの身分を明かす。オクタビオは、自分がひそかにディオニシアの身体を奪ったことを告白し、その時に彼女から贈られた指輪を見せる。イサベラはオクタビオに頼んでその指輪を手に入れる。オクタビオはポリビオを付き添わせてイサベラをスペインへ帰す。

 

 国王はエンリケを交渉役としてバルセロナ伯のもとに送ると告げる。オクタビオはそのような危険な任務をエンリケに課すことに反対するが、彼の意見は無視される。

 

 イサベラとポリビオは服を交換して、バルセロナ伯爵の邸宅へ向かう。しかしイサベラはスパイ、ポリビオは脱走兵に間違われ、兵士たちに捕らえられてしまう。

 

 青年に成長したフアンが、捕えられたイサベラの前に現れる。イサベラは自分の正体を隠してトマスと名乗り、「あなたの父であるエンリケ伯爵に仕えていた兵士です」と名乗る。

 

 フアンはトマス(イサベラ)の顔に母親の面影を見出して心を動かされ、彼を自分の部下にする。

 

 エンリケアイルランド側の交渉役としてバルセロナ伯爵の元に参上する。バルセロナ伯爵は娘を手にかけたエンリケへの憎しみをあらわにし、エンリケ自身も死なせてほしいと懇願するが、フアンは父を殺すことをためらう。フアンはエンリケの監視をトマス(イサベラ)に委ねる。

 

 アイルランド国王、オクタビオ、ディオニシア、ファビオがバルセロナ伯爵のもとを訪れる。国王から「エンリケがディオニシアの名誉を奪った」と知らされたバルセロナ伯爵は、エンリケを殺そうとする。しかしトマス(イサベラ)が、王女の名誉を奪ったのは本当はオクタビオだと皆の前で告げて証拠の指輪を見せる。オクタビオは皆の前で真実を告白する。

 

 ディオニシアは名誉を回復するため、オクタビオを夫とすることを宣言する。女装したポリビオがそこへ乱入し、トマスの正体がイサベラであることを皆に明かす。バルセロナ伯爵、エンリケ、フアンはイサベラとの再会を喜ぶ。

 

 ディオニシアとオクタビオ、セリンダとファビオの結婚が決まる。ディオニシアは、オクタビオとの間にできた娘を出産していたことを皆の前で告白する。国王が、その娘をフアンの婚約者とし、フアンを自分の未来の後継者とすることを宣言して幕となる。

 


Jornada I, fragmento I: Octavio espía la declaración de amor de los amantes