Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

フランス娘(Francesilla, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1595-1598年

種類:都会的な同時代劇

補足:劇作家フアン・ペレス・デ・モンタルバンに献呈されている。ロペの献辞によれば、本作は「機知に富んだ登場人物(la figura del donaire)」を導入した最初の作品である。マドリードとリヨンが舞台となる。男装の女性と、その女性に恋する女性が描かれる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  マドリードに住む老人アルベルトは、息子のフェリシアーノが賭博や女遊びにうつつを抜かしていることに腹を立て、彼を軍隊に入れようと決心する。

 

 恋人から来た手紙を読んで浮かれているフェリシアーノと彼の従者トリスタンに向かって、アルベルトは翌日にも軍隊に入るようにと命令する。フェリシアーノとトリスタンは、しぶしぶイタリアへ向けて出発する。

 

 フランスのリヨンに住むクラベーラは多くの男性から求愛されている。しかし、父親代わりの兄テオドーロを頼りにしている彼女は、恋には無関心である。取り持ち女のドリスタは「若いうちに楽しみを味わう」よう彼女に勧め、フィリベルトレオナルドという男性たちにクラベーラを口説かせる。

 

 男性たちがクラベーラに求愛していると、テオドーロが現れる。テオドーロはクラベーラに、彼女の未来の夫としてオクタビオを紹介する。クラベーラは喜んでオクタビオとの結婚に応じる。フィリベルトとレオナルドは、彼らの婚約の立会人をする羽目になる。テオドーロとオクタビオは、オクタビオの両親に結婚の許可をもらうためパリへ旅立つ。

 

 ローマへ向かっていたフェリシアーノとトリスタンは、途中でリヨンに立ち寄る。クラベーラとドリスタを見た二人は、彼女たちを口説く。

 

 ドリスタはクラベーラに恋をする機会を与えてやろうと思い、フェリシアーノと会話を続けるようクラベーラに勧める。抜け目のないドリスタはトリスタンと会話しながら彼らの所持金の額を聞き出し、フェリシアーノに「クラベーラと今夜会いたいのなら現金を払え」とその額を請求する。フェリシアーノとクラベーラは互いに恋に落ち、フェリシアーノはドリスタに要求されるまま金を払う。

 

 クラベーラと夜を過ごしたフェリシアーノは、トリスタンとともに再びイタリアへ向かう途中で、一軒の宿屋に泊まる。書類を忘れたためにリヨンへ戻る途中のテオドーロとオクタビオも、同じ宿屋に泊まる。フェリシアーノはテオドーロとオクタビオを食事に誘う。

 

 フェリシアーノは、テオドーロとオクタビオに「クラベーラというフランス娘とドリスタという取り持ち女に所持金を巻き上げられた」話をする。テオドーロは仰天するが、素知らぬふりをして「これからリヨンへ帰るので、ぼくの家まで一緒に来てくれたら金を貸してあげよう」とフェリシアーノに提案する。

 

 クラベーラは、恋するフェリシアーノが去ってしまったことを悲しむ。ドリスタは、フェリシアーノとの関係を秘密にしてオクタビオと結婚するよう彼女に忠告するが、クラベーラはそれを拒む。

 

 そこへ、テオドーロに連れられたフェリシアーノが現れる。思わぬ再会にフェリシアーノとクラベーラは驚き、その様子を観察していたテオドーロとオクタビオは彼らの関係を怪しむ。

 

 二人の男性に疑われていることに気づいたフェリシアーノは、とっさに一芝居をうつ。彼は初対面のふりをしてクラベーラに挨拶し、「偶然にも最近、あなたと同じ名前の女性にだまされました」と話す。テオドーロはフェリシアーノの演技にだまされ、彼から金を巻き上げたのは妹とは別人だったのだろうと考える。クラベーラとドリスタは、フェリシアーノの機転に感謝する。

 

 4人の男性が去った後、フィリベルトとレオナルドが現れて再びクラベーラを口説く。クラベーラはうまく彼らをだまして、フェリシアーノ宛ての手紙を届けさせる。

 

 フェリシアーノはテオドーロをさらに安心させるために「ぼくをだました女性のところへ案内する」と言い、彼をエリサという女性の家へ連れていく。しかし、エリサがテオドーロの愛人だったことから事態は混乱する。

 

 激怒しているテオドーロの様子を見て、フェリシアーノは自分の失敗に気づく。そのときレオナルドがクラベーラの手紙をフェリシアーノに届ける。「兄とオクタビオに殺されたくなかったら、城門のところに準備しておいた馬に乗って逃げてください」という文面を呼んだフェリシアーノは、トリスタンを連れてすぐにその場から逃げ出す。残されたテオドーロはエリサを責め立てる。事情の分からないエリサは途方に暮れる。

  

 テオドーロは、フェリシアーノが彼から金を借りたまま逃げたことに気づき、オクタビオとともにフェリシアーノへの復讐を誓う。

 

 城門に到着したフェリシアーノとトリスタンを待っていたのは、男装したクラベーラであった。クラベーラは彼に一緒に逃げてほしいと頼み、三人はともにリヨンから逃亡する。トリスタンはクラベーラを見て「なんて機知のあるフランス娘だ」と驚く。

 

 マドリードでは、フェリシアーノの父アルベルトが、息子の友人リセーノと話をしている。アルベルトは、フェリシアーノが一年たっても帰って来ないのは彼が戦死したからではないかと案じる。そこへ、テオドーロとオクタビオが現れる。

 

 アルベルトは、二人に宿を提供する。彼らと話をしたアルベルトは、息子がリヨンでテオドーロから借金をしたことを知らされる。テオドーロはアルベルトの娘レオニーダにひとめぼれし、彼女に求婚する。レオニーダにもともと恋していたリセーノは嫉妬する。

 

 

 フェリシアーノ、トリスタン、従者に変装したクラベーラが、アルベルトの家に到着する。侍女のフアナが彼らを迎える。フアナは、ペローテ(男装したクラベーラの偽名)に魅力を感じ、目配せをしたりキスをしたりする。トリスタンはショックを受ける。

 

 フェリシアーノは、アルベルトがテオドーロ、オクタビオとともにいるのに気づき、狼狽する。しかしそのとき警吏がやってきて、よそ者のテオドーロとオクタビオを捕え、引き立てていく。

 

 フェリシアーノは父と再会を果たす。ペローテ(クラベーラ)を見たレオニーダは、機知に富んだ振る舞いを好ましく思う。フアナもペローテ(クラベーラ)を抱きしめたり、キスをしたりして弄ぶ。

 

 リセーノはアルベルトに「レオニーダの夫には、外国人よりも同国人の方がふさわしい」と言ってレオニーダに求婚しようとするが、アルベルトは「賞賛に値するものはみな外国のものだ」と言って彼を拒否し、テオドーロとレオニーダを結婚させようとする。

 

 フアナは、レオニーダがペローテ(クラベーラ)になれなれしく接しているのに嫉妬し、アルベルトにそれを告げ口する。アルベルトはペローテ(クラベーラ)が娘に手を出したのだと思って激怒し、ペローテ(クラベーラ)を殺そうとする。

 

 ペローテ(クラベーラ)が危険な状態にあると気づいたトリスタンは、アルベルトに「ペローテ(クラベーラ)は女性で、私の恋人です」と説明する。それを聞いたとたん、アルベルトはクラベーラに興味を持ち、「今夜、彼女の寝室に入らせてくれたらおまえに財産をやる」とトリスタンに告げる。トリスタンはクラベーラに事情を説明し、アルベルトをだますよう忠告する。

 

 釈放されたテオドーロはフェリシアーノに会い、妹を拉致したことを非難する。彼はフェリシアーノに、責任を取って妹と結婚するよう要求する。

 

 フェリシアーノはトリスタンに、クラベーラを愛していること、彼女と結婚したいと思っていることを告白する。トリスタンはフェリシアーノが苦労するであろうと予言するが、フェリシアーノは意思を変えない。

 

 すべての事情を知ったアルベルトは、テオドーロとフェリシアーノを和解させる。フェリシアーノとクラベーラ、テオドーロとレオニーダ、トリスタンとフアナ、アルベルトの姪とオクタビオが結ばれて幕となる。