Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

フェリサルダ(Filisarda, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1620-25年

種類:架空の宮廷劇

補足:題名は「フィリサルダFilisarda」となっているが、おそらく誤表記であり主人公の名前はフェリサルダである。筋書きにやや矛盾が見られる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ギリシャの女王フェリサルダは、亡き父王が取り決めた婚約に従い、ペルシャの王と結婚することになっていた。しかし彼女の元に、ペルシャ王がダルマティアで捕虜になったという知らせが入る。

 

 フェリサルダを愛しているリサマンテは、彼女と結婚する機会がめぐってきたと喜ぶ。しかしフェリサルダはペルシャ王を助けに行くことを決意する。

 

 フェリサルダの兄は、すでに世を去っている。フェリサルダは兄が死んだとき、兄の幼い娘イスベーリャも死んだという偽の情報を世間に流し、自分が女王の座を手に入れたのであった。しかし彼女はイスベーリャを殺さず、羊飼いの老人フリオに養育させていた。

 

 フェリサルダは、万一ペルシャ王が死んだときに自分の王位が脅かされることを恐れ、後継者を手元に置く方が安全だと考える。彼女はフリオを呼び出し、イスベーリャが生きていたことにして、フリオ自身の娘を身代わりとして王宮へつれてくるように命じる。

 

  フェリサルダの妹フローラは、兵士のレリオと愛し合っている。二人は身分違いの恋に悩み、駆け落ちすることを決意する。

 

 フリオはフェリサルダをあざむき、自分の娘でなくイスベーリャ本人を王宮へ連れて行こうと決心する。自分が羊飼いの娘だと信じているイスベーリャには、エルガストという恋人がいる。フリオは二人に、イスベーリャが王家の人間であることを告げる。イスベーリャは涙ながらに王宮へ行くことを受け入れ、エルガストは身分違いであることを承知しつつも彼女に付き添う。

 

 レリオとフローラが駆け落ちを計画していることを偶然知ったボヘミア王は、先手を打ってフローラを拉致し、ボヘミアへ連れていく。拉致を知ったフェリサルダは、ボヘミア王とフローラを追跡する。レリオは絶望する。

 

 フローラは、ボヘミア王の妹アルミンダから、「兄はもともと、美しいと評判のフェリサルダに興味をもってギリシャへ行ったのです」と聞く。アルミンダに求愛していたアリオダンテ王子は、フローラを見たとたん心変わりをして、彼女に求愛する。フローラは自分の運命を嘆き、レリオへの変わらぬ愛を誓う。ボヘミア王はそれを見て、いずれ時がたてば彼女の気も変わるだろうと笑うが、フローラが短剣で自殺しようとするのを見て、あわてて彼女を制止する。アルミンダはアリオダンテの心変わりを嘆く。

 

 フェリサルダの元に、フリオの実の娘アルバニアがやってくる。彼女はフリオが死んだことを告げ、かつてフリオがフェリサルダをあざむき、実の娘の自分でなくイスベーリャを王宮へ送ったことを告白する。

 

 フェリサルダは実の姪を手元に置いていたことを知り、イスベーリャをエルガストと引き離す。彼女はエルガストに、イスベーリャの夫となる人物を探してくるようにと命じる。

 

 エルガストは絶望し、自殺しようとするが、彼に片思いをしているアルバニアに止められる。アルバニアはイスベーリャを取り戻すよう彼を励まし、彼への恋心に終止符を打つ決意をして山へ戻る。

 

 レリオもまた、フローラを見つけることができず、海に身を投げて死のうとする。アポロ神が彼を助ける。アポロはフローラが生きていることを彼に告げ、彼を雲に乗せてボヘミアへ連れていく。

 

 レリオは、王宮のバルコニーにいるフローラの前に姿を現す。二人は再会を喜び合う。フローラは、変装して王宮に忍び込むよう彼に忠告する。

 

 イスベーリャもまた、海に身を投げて自殺を図る。しかし船乗りたちが彼女を助け、生きる希望を持つよう彼女を説得する。彼らはイスベーリャをボヘミアの王宮へ連れていく。

 

 リサマンテが再び登場する。彼の正体は魔術師である。彼はフェリサルダを幽閉して、自分との結婚に同意させようと企む。

 

 レリオは変装してボヘミア王宮に入り込み、王の従者の地位を手に入れる。彼はフローラと密会し、愛の言葉を交わす。

 

 エルガストはボヘミアへ行き、イスベーリャと再会する。エルガストは音楽家に変装して王宮に入り込む。

 

 ボヘミア王はアルミンダに、アルバの王に関する話をする。「王と妻との間には二人の息子がいたが、インドの王との戦で敗れた時、王はやむを得ず彼らを羊飼いたちの手に委ねた。占いによると、王子たちは今ボヘミアにいるらしい」

 

 そこへイスベーリャが、音楽家としてエルガストを紹介する。エルガストは歌いながら、自分とイスベーリャの恋の顛末を語る。イスベーリャは、自分がフェリサルダの娘であることを公表する(*なぜ姪でなく娘であるのかは不明)。

 

 リサマンテはフェリサルダを塔に閉じ込め、結婚を迫る。しかしフェルサルダは彼の要求を退ける。

 

 フェリサルダは塔の中にある魔法の鏡をのぞく。そこには二人の兄弟が映っていた。リサマンテは彼らを恐れ、誰も塔に近づかせまいとする。

 

 アルバからの使者がボヘミアへやってくる。使者はエルガストとレリオの胸に、アルバの王族であることを示す黄金の星印があるのを確認する。彼らがアルバの王子たちであることが明らかになる。使者は彼らに、祖国であるアルバへ戻ることを要請する。

 

 ボヘミア王はエルガストとレリオの帰国を許すが、そのときアリオダンテから、フェリサルダがリサマンテによって塔に幽閉され、フローラとイスベーリャも拉致されたという知らせが入る。

 

 ボヘミア王、アルミンダ、アリオダンテ、エルガスト、レリオは、リサマンテ率いる黒い騎士たちを相手に激しく戦う。エルガストとレリオが魔法の鏡の中に映っていた兄弟であることに気づいたリサマンテは、敗北を確信してギリシャへ逃げ帰る。

 

 塔の中から、フェリサルダ、フローラ、イスベーリャが現れる。エルガストとイスベーリャ、レリオとフローラ、アルミンダとアリオダンテが結ばれる。ペルシャ王の死が知らされ、フェリサルダとボヘミア王が結ばれて幕となる。