Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

支払われた身代金(Fianza satisfecha, la)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1612?-15?年

種類:宗教劇

補足:悪魔的な所業を繰り返す罪人の改心を扱ったもの。ティルソ・デ・モリーナの『セビーリャの色事師と石の招客』や『不信心ゆえ地獄堕ち』との共通点が認められる。罪人を救おうとする羊飼い姿のキリストは、ロペの『守護天使(Buena guarda, la)』にも登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

*過去記事で、"La fianza satisfecha"の訳を「かなえられた信頼」としていましたが、訳として正しくなかったため「支払われた身代金」と修正いたします。誤訳があったことをお詫びいたします。fianzaには「保証金」「保釈金」などの意味があり、「身代金」と訳すのが最適かどうかはわかりませんが、宗教劇というこの劇の性格と照らし合わせてこの語を選択しました。

 

 シチリア島のアリカタ(リカータ?)に住むレオニードは、暴力的で非道な若者である。彼は「まだ犯していない唯一の罪」を成し遂げるために妹のマルセーラの家へ行き、「自分の血に恥辱を与える」目的で妹を強姦しようとする。しかしマルセーラと彼女の夫ディオニシオが抵抗したため、彼は二人に傷を負わせて去る。「神は不平のある者のために肩代わりをしてくれる。それを清算するのは後でいい」というのが彼の持論である。

 

 ディオニシオは、舅のヘラルドにレオニードのしたことを話す。ヘラルドはレオニードを激しく非難するが、レオニードは父親の顔を平手打ちする。ヘラルドは息子に呪詛の言葉を吐く。

 

 その後、レオニードは海岸で眠っていたところをモーロ人の王ベルレルベーヨの兵士たちに襲撃される。レオニードは棍棒で兵士たちを追い払う。ベルレルベーヨは彼に興味を持つ。レオニードは自分の生い立ちを王に語る。「赤ん坊のころは母親の乳を嫌い、その胸を血まみれにした。成長してからは30人以上の女性をもてあそび、母や妹を犯そうとさえした。聖職者や父親にも恥辱を与えた」

 

 ベルレルベーヨは、自分の愛する女性リドーラキリスト教徒の奴隷を欲しがっているため、レオニードを捕虜にするつもりだったと話す。レオニードはそれを聞いて、自分の家族にさらなる恥辱を与えようともくろむ。彼は従者のティソンに、「家も信仰も法も捨てて、ムハンマドに従う」決意をしたことをヘラルドに伝えるよう命令する。ティソンは「いつか、神にこのつけを払う時が来ますよ」と警告して去る。

 

  レオニードはイスラム教徒となり、アルゴラーンと名前を変え、チュニスの王宮に仕える。彼の傍若無人な態度は変わらない。リドーラは彼に好意を持つが、レオニードは彼女を見て動揺し、激しく彼女を嫌悪する。

 

 ベルレルベーヨは初めはアルゴラーン(レオニード)に嫉妬する。アルゴラーン(レオニード)がリドーラを嫌っていることがわかると彼は安心し、彼の忠誠心を賞賛する。しかし傲慢なアルゴラーン(レオニード)はベルレルベーヨを脅し、王座を奪おうとする。両者はついに対立する。

 

 リドーラが王とアルゴラーン(レオニード)をなだめようとしたとき、家臣のスレーマがやってきて、新たに捕らえたキリスト教徒の捕虜たちを見せる。それはマルセーラ、ヘラルド、ティソンであった。

 

 リドーラは彼らを見て、なぜか懐かしさを覚える。彼女はヘラルドとマルセーラを本当の家族のように温かく迎える。彼女とは逆に、アルゴラーン(レオニード)は彼らを見てさらに暴力的になる。彼はヘラルドを足蹴にし、短刀でその両目を潰す。彼は再びマルセーラを強姦しようとし、「言うことをきかなければ父親を殺す」と脅迫する。

 

 リドーラがアルゴラーン(レオニード)を制止する。アルゴラーン(レオニード)は彼女に「軍を作って、いずれチュニスを焼き尽くしてやる」と言い放って去る。

 

 アルゴラーン(レオニード)の乗った船は難破し、彼はチュニスの海岸へ戻ってしまう。彼は天を仰いで呪いの言葉を吐く。

 

 羊飼いの姿をしたキリストが現れる。キリストは「道に迷った羊を探している」と彼に告げ、自分が担いでいた革袋を彼に与える。その中身は茨の冠、チュニカ(衣)、鞭、縄、そして十字架であった。キリストは「私はこれらによって、おまえの肩代わりをした」と説明する。アルゴラーン(レオニード)が「こんなふざけた真似をした代償を払え」と天に向かって訴えると、十字架に磔にされたキリストの幻が出現する。アルゴラーンはその場に卒倒する。

 

 キリストはアルゴラーン(レオニード)が犯した罪の数々を述べ、「(肩代わりした)身代金を支払う時が来た」と彼に告げる。

 

 アルゴラーン(レオニード)は苦悶し、「この命と血をもって支払います。これで罪の償いに足りるとは思いませんが」と答える。キリストの姿が消えると、彼は三日月刀やモーロ人の衣服を捨て、キリストから受け取ったチュニカを着て縄を首にかけ、茨の冠をかぶって十字架を担ぎ、王宮へ向かう。

 

 リドーラはティソンから教えを受け、キリスト教に改宗する。

 

 マルセーラの夫ディオニシオがチュニスにやってくる。彼はモーロ人に殺されたと思われていたが、奇跡的に一命をとりとめていた。彼は財産をすべて差し出して家族を請け戻す。

 

 喜び合うマルセーラ、ヘラルド、ディオニシオの前に、死刑を宣告されたレオニードが現れる。彼は家族に心からの謝罪をし、自分の恥ずべき罪を告白する。「私は自分の母親さえも殺したのです。母の突然の出産によって双子の妹が産まれたとき、そのうちの一人は熊にさらわれてしまいました。私は怒りのあまり、正気を失ってしまったのです。母を殺した後、私は母がマルセーラの出産がもとで死んだのだと周囲に思わせておきました」

 

 マルセーラ、ヘラルド、ディオニシオと和解したレオニードは、リドーラに家族の世話を頼み、処刑場へ行く。

 

 ベルレルベーヨはリドーラに求婚する。しかしそのとき、先王の手紙が読み上げられる。「リドーラはかつてシチリア島で、我々の手によって熊から救い出されたキリスト教徒の赤ん坊であり、王妃にはふさわしくない」

 

 手紙によって、リドーラがマルセーラの双子の妹であるということが判明する。リドーラ、マルセーラ、ヘラルドは肉親との再会を喜ぶ。ベルレルベーヨは寛大にもレオニードを助命しようと考える。しかし時すでに遅く、彼はすでに処刑されてしまっていた。

 

 ヘラルドは十字架に磔にされたレオニードの血を顔に受け、視力を取り戻す。リドーラは彼の遺体を引き取ることを王に願い出る。王の許しによってヘラルド、マルセーラ、リドーラ、ディオニシオがレオニードの遺体とともにシチリアへ戻る場面で幕となる。

 

 

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