Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

感謝からの好意(Favor agradecido, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1593年

種類:架空の宮廷劇

補足:イタリアのサルデーニャ島が舞台となる。ヒロインが、自分の恋人を殺した人物と最後に結婚するという珍しい内容である。男装の女性が登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 サルデーニャ島の王女ロサウラは、国王の遺言によって、自分の好む相手を選んで結婚しなければならない。ロサウラはセリオ侯爵と相思相愛の仲である。

 

 セリオは自分の身分がさほど高くないことを知りながらも、国王の遺言の効力を信じて彼女との結婚を考えている。しかしアストルフォ公爵もロサウラに恋している。

 

 ロサウラとセリオは夜に王宮でひそかに会い、愛の言葉を交わす。ロサウラは、翌日に彼との結婚を公表するとセリオに約束する。ロサウラの友人レスビアと、セリオの友人エスタシオ伯爵も互いに愛の言葉を交わす。

 

 アストルフォ公爵はロサウラに求婚しようとして、そこにセリオがいるのに気づく。彼は友情を示すふりをしてセリオに近づき、「思いあがると身の破滅を招くだろう」と警告する。セリオは腹を立てて去る。

 

 ロサウラはアストルフォをセリオと間違えて窓から声をかけるが、相手がセリオではないと気づくと急いでその場から立ち去る。アストルフォはプライドを傷つけられ、セリオへの復讐を誓う。

 

 シチリア島の国王から派遣されてきた使者たちがロサウラと会合を行い、「国王の息子と結婚してもらいたい」と彼女に伝える。シチリアの国王は、もし拒絶されればサルデーニャと戦争をしようと考えている。

 

 そこへサルデーニャの大貴族たちが現れる。彼らはロサウラが王国内の人物と結婚することを希望しており、シチリアの使者たちと激しく対立する。

 

 ロサウラは双方をなだめた後、「セリオ侯爵と結婚する」と告げる。サルデーニャの大貴族たちはその決定を歓迎するが、シチリアの使者たちは「それはあなたにとって危険な選択だ」とロサウラに警告して去っていく。

 

 セリオはロサウラの結婚相手として皆に認められ、祝福を受ける。

 

 アストルフォはセリオが独りになったとき、戦いを挑む。アストルフォはセリオに重傷を負わせ、従者のピネーロとともに船に乗って逃亡する。

 

 エスタシオ伯爵が、瀕死の状態にあるセリオを発見する。セリオはアストルフォにやられたと彼に告げながらも、「恋による嫉妬心でやったことだから」とアストルフォを許す意思を示す。ロサウラが駆けつけ、セリオは彼女の腕の中で息を引き取る。

 

 アストルフォとピネーロは、船でスペインを目指したものの、海上の嵐によってアルジェに漂着してしまう。船の所有者ルシオはモーロ人たちの攻撃を逃れるための計画を思いつき、アストルフォに提案する。「かつて、アルジェの国王ムレイは10歳の弟アルダリーバを誘拐された。アルダリーバはフランスの宮廷に迎えられ、キリスト教に改宗した。ムレイは、弟を連れ戻した者には褒賞を与えると約束している。きみはアルダリーバになりすましてくれ。私はきみをキリスト教徒から略奪したふりをしてムレイに引き渡す」

 

 ムレイは、アダーハというモーロ人の女性を愛していた。ムレイは、キリスト教徒になりたいというアダーハの意思を尊重し、王国内にいるキリスト教徒の捕虜たちを丁重に扱っている。彼の元に「アルダリーバが見つかった」という知らせが入る。アルダリーバになりすましたアストルフォは、ムレイに歓迎される。

 

 サルデーニャでは大貴族たちがロサウラに、王国の安泰のためにも早く結婚するよう要求していた。セリオを失った心の傷が癒されていないロサウラは、「アストルフォの首を持ってきた者と結婚する」と公表する。

 

 大貴族たちは、われ先にとアストルフォを捜索に出かける。一方、サルデーニャシチリアは一触即発の状態にあり、エスタシオは開戦に備えて軍備を整える。

 

 アルダリーバ(アストルフォ)はムレイにかわいがられ、6隻の船を贈られる。アダーハはアルダリーバ(アストルフォ)に惹かれていく。

 

 シチリアの王子ティベリオが艦隊を率いてサルデーニャに上陸する。シチリア軍はサルデーニャを包囲し、ロサウラにティベリオとの結婚を迫る。

 

 アルダリーバ(アストルフォ)は、クルシオやピネーロとともに、ムレイから贈られた船に乗ってひそかにサルデーニャへ向かう。アダーハは男性の兵士に変装して同じ船に乗り込む。

 

  シチリア軍の包囲により、サルデーニャの国民は飢餓や疫病に苦しむ。ロサウラはやむを得ずティベリオとの結婚を受け入れる意思を表明し、エスタシオを使者として送る。しかしティベリオは「もうあなたと結婚する気持ちはなくなったので、フランスの王女と婚約した。しかしこれまであなたから受けた仕打ちに復讐するため、このまま占領を続けてあなたを捕虜にする」と告げる。

 

 絶望したロサウラの元に、「アルジェの王ムレイの弟が到着した」という知らせが入る。モーロ人に変装したピネーロがアルダリーバ(アストルフォ)の使者としてやってくる。ピネーロは小麦と現金をロサウラに提供する。アルダリーバ(アストルフォ)の援助によって、サルデーニャは国家存亡の危機を脱する。

 

 アルダリーバ(アストルフォ)は、船にいる仲間たちに「ロサウラ王女を援助するのは、彼女に許しを乞うためだ」と打ち明ける。彼がロサウラに恋していることを知ったアダーハは、彼への恋をあきらめ、自分の正体を明かす。アダーハはキリスト教徒になりたいという意思を表明し、自分が所有する宝石を差し出して王女への贈物にしたいと告げる。

 

 ロサウラとエスタシオは、民衆を飢えから救ってくれたアルダリーバ(アストルフォ)を「聖なるモーロ人」と賞賛する。ロサウラは「宗教の違いさえなければ、感謝からの好意として彼との結婚を望んでいただろう」と話す。

 

 アダーハが使者として現れ、アルダリーバ(アストルフォ)と謁見してほしいとロサウラに告げる。さらに彼女はロサウラに宝石を贈って「キリスト教に改宗したい」と懇願する。ロサウラは感謝の意を述べ、彼女の願いを受け入れる。

 

 ロサウラと謁見したアルダリーバ(アストルフォ)は、セリオが死んだときの状況を彼女に尋ねる。ロサウラは「アストルフォの裏切りのせいです」と答える。アルダリーバ(アストルフォ)は、「恋心から戦った騎士を、裏切り者と呼ぶのはふさわしくない」と反論する。ロサウラが「アストルフォの首を持ってきた者と結婚するつもりです」と告げると、アルダリーバ(アストルフォ)は、「あなたと結婚するために、アストルフォの首を持ってきてキリスト教に改宗しましょう」と彼女に告げる。

 

 アストルフォを捜索に行っていた大貴族たちが、目的を遂げられないまま戻ってくる。アルダリーバ(アストルフォ)と大貴族たちは、ともにシチリア軍と戦いに行く。

 

 戦場でピネーロは、改宗してフアナという名になったアダーハに求婚する。アダーハはそれを受け入れる。

 

 アルダリーバ(アストルフォ)はシチリア軍に勝利し、ティベリオを捕える。ロサウラは彼の勝利をたたえる。ロサウラは、ティベリオに寛大な赦しを与えて自由の身にする。

 

 アルダリーバ(アストルフォ)はロサウラに「アストルフォの首を持ってきました」と告げて、自分の正体を明かす。ロサウラは驚くが、彼を許し、彼との結婚を受け入れる。アストルフォとロサウラ、エスタシオとレスビア、ピネーロとフアナ(アダーハ)が結ばれ、ティベリオが彼らの結婚式の立会人になることを約束して幕となる。