Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

フランドルのスペイン人(Españoles en Flandes, los)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1597-1606年

種類:歴史劇

補足:スペイン国王フェリーペ2世の異母弟ドン・フアン・デ・アウストリアが総督を務めた時期(1577-1578年)のスペイン領ネーデルラント(フランドル)が舞台となる。ドン・フアン・デ・アウストリアは1578年に病死し、甥であるパルマ公アレッサンドロ・ファルネーゼが総督の座を継いだ。

 男装の女性が登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 母親とともにナポリに滞在していたパルマ公アレッサンドロ・ファルネーゼは、叔父のスペイン国王フェリーペ2世から「フランドルで反乱が起きたので、ミラノに駐留しているスペインの軍隊を率いて同地へ向かうように」という内容の手紙を受け取る。

 

 フランドルの貴族たちは、あらかじめ同地に駐留していたスペイン軍をだまして国外へ退去させ、総督のドン・フアン・デ・アウストリアを孤立させていた。フアンの命が危険にさらされていることを知ったパルマ公は、ただちにフランドルへ向かう。

 

 フアンはナミュールの城塞にいた。彼の側近たちは、フェリーペ2世の軍隊を去らせた後のフランドル側の態度に不満を述べ、ルクセンブルクへ移動してパルマ公を待機しようと提案する。フランドル人の兄弟アリスコテ公爵アブレ侯爵は、自分たちのスペインへの忠誠を表明し、反乱は小規模だと主張して彼らを引き止める。しかしフアンたちを信用させた後、アリスコテ公爵とアブレ侯爵はスペインを裏切って城塞から脱出し、フランドル軍に加わる。
 

 ビスカヤ(スペイン北部の地方)出身の兵士チャバリーアは、男装している彼の恋人マルセーラとともにアレッサンドリア(イタリアの都市)に逗留する。宿でマントを盗まれたチャバリーアは怒って犯人を探す。ちょうどそこへパルマ公が宿を借りに訪れ、部屋を間違えてチャバリーアの部屋に入り居眠りをする。チャバリーアはパルマ公を泥棒だと思いこみ、彼を起こして文句を言う。真実が分かった後、チャバリーアは恐縮してパルマ公に謝罪するが、パルマ公は彼を気に入り、ブリュッセルへ同行させることにする。チャバリーアはマルセーラを友人のドゥランに託して出発する。

 

 フアンと彼の部下たちは、反乱軍の攻撃から逃れてルクセンブルクへ行き、パルマ公の軍と合流する。フアンは甥のパルマ公との再会を喜ぶ。兵士たちの中には、毒舌家のサルバード・マルトラピーリョとその恋人ベアトリスがいる。

 

 マルセーラはドゥランとともにチャバリーアを追ってフランドルに行く。しかし二人は行動をともにするうちに惹かれ合い、チャバリーアを裏切っているという罪悪感を抱くようになる。アリスコテ公爵が彼らを捕える。公爵は、自身の恋する女性ロセーラがいるブリュッセルへ捕虜たちを送る。

 

 フランドル軍の指揮官ボスー伯爵は、バルラモン伯爵率いるスペイン軍にルールモントの街を奪われる。アブレ侯爵は寛大なフアンの支配下にいた方が良かったのではないかと自問するが、一旦反乱を起こしたからには後戻りはできない。アブレ、アリスコテ、ボスーの3人は、スペインを誹謗する内容の詩を朗唱する。

 

 ロセーラの家に、アリスコテ公爵から送られたスペイン人の捕虜たちが到着する。ロセーラの兄アドルフォは彼らを家から追い出そうとするが、ロセーラはそれに反対し、アドルフォと対立する。捕虜の中にいたマルセーラはロセーラと親しくなり、ロセーラがフアンに恋していることを聞かされる。マルセーラは脱出できる好機と思い、彼女に「一緒に農家の娘に変装してスペイン軍の野営地に行き、フアン総督と会いましょう」と提案する。

 

 フアンとパルマ公は、ルールモントで勝利したバルラモン伯爵をねぎらう。しかしその直後、反乱軍がジャンブルーの街を奪ったという知らせが入る。さらに20万の敵兵がこちらへ向かっていると聞いたフアンは、戦地へ出ようと意気込むパルマ公を制止し、別の指揮官たちを戦場へ送る。

 

 チャバリーアは仲間たちに、ルールモントでの戦いの模様を語って聞かせる。サルバードとベアトリスがそれを受けて滑稽なやりとりをする。そこへ、農家の娘に変装したロセーラとマルセーラがパンを売りに来る。

 

 マルセーラとチャバリーアは互いの姿を認め、再会を喜ぶ。マルセーラはアリスコテ公爵に捕らえられたこと、ドゥランがまだブリュッセルにとどまっていることをチャバリーアに伝える。チャバリーアはすぐにドゥランを助けるためにとび出して行き、マルセーラは彼に不満を覚える。

 

 サルバードはベアトリスの見ている前でロセーラを口説き、さらに彼女からパンを盗む。マルセーラとロセーラはサルバードの盗みをフアンに訴える。フアンは怒り、スペイン人の犯す罪がフランドル人の憎悪をかきたてるのだと告げる。サルバードは盗みを認め、フアンは彼を許す。ロセーラはフアンに「重大な情報をこの使者に託した」と書かれた手紙をひそかに渡す。手紙を読んだフアンはロセーラを自分の部屋へ呼び入れる。

 

  スペインを憎むアドルフォは、反乱軍の最前線にいた。彼は単独で総督のフアンを殺しに行くと宣言する。アブレ侯爵が彼に「エルナンド・デ・アコスタというスペイン人がわが軍の塹壕に侵入し、若い兵を一人誘拐して軍の計画を聞き出したらしい」と知らせる。

 

 チャバリーアは身代金を払ってドゥランを救出し、再び軍に戻る。

 

 フアンの部屋へ呼び出されたロセーラは、彼をだましたことを謝罪し、彼への恋心を告白する。フアンは「今は残念ながら、恋にかまけている暇はない」と彼女に告げる。

 

 そのとき、フランシスコ会士に変装したアドルフォがフアンの部屋を訪れる。女性と一緒にいるところを見られてはまずいと思ったフアンは、自分の服をロセーラに与えて男装させ、椅子に腰かけているようにと命じる。部屋に入ったアドルフォは、半裸の状態でいるフアンを見て従者だと思いこみ、椅子に座っているロセーラがフアンであろうと判断する。

 

 アドルフォはピストルを出してロセーラを撃つ。フアンは驚いて部下を呼ぶ。ロセーラは腕を負傷しただけですみ、アドルフォはフアンの部下たちによって殺される。ロセーラは暗殺者の正体が自分の兄であることをフアンに告げる。フアンはこの出来事を口外しないようにと部下に命じ、ロセーラの傷の手当てをする。

 

 チャバリーアは仲間の兵士たちから、ドゥランとマルセーラが彼の目を盗んでつき合っていると知らされる。真実を知ったチャバリーアは、「偽の友人と浮気な女を結婚させるのは最高の復讐だ」と告げ、二人の結婚を許す。

 

 パルマ公は、誘拐した兵から聞き出したフランドル軍の作戦をフアンに伝える。フアンは、スペイン国王の旗を持って戦場に出るようパルマ公に命じる。

 

 勝利を神に祈るフアンの前に、カトリックの信仰を全世界にもたらさんとするスペイン国王フェリーペ2世の姿が示される。フアンは異母兄である国王のために力を尽くすことを決心する。

 

 パルマ公が敵を敗走させているという知らせが入る。フアンは勝利を確実なものにするため戦場へ向かう。

 

 フランドル軍とスペイン軍の戦いのさなか、ロセーラはアリスコテ公爵とアブレ侯爵に「私はフアンを愛しており、それゆえにスペイン側の人間です」と告白する。アリスコテ公爵の部下たちは怒り、ロセーラを殺そうとする。その様子を見たチャバリーアは駆けつけてロセーラを救出する。

 

 フランドルの反乱は完全に鎮圧される。フアンは甥のパルマ公の手柄をやや嫉妬しながらも賞賛する。チャバリーアは戦場での活躍を認められ、報奨金を与えられる。フアンは彼とロセーラを結婚させる。ジャンブルーを包囲するまでの期間、軍隊は近郊の修道院に逗留することが決まり、フアンは修道女たちの安全を確保するよう軍人たちに命じる。スペイン国王を称える兵士たちの歓呼の声とともに幕となる。

 

 

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