Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

偽の奴隷(Esclavo fingido, el)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1599-1603年

種類:都会的な同時代劇

補足:スペインの支配下にあった時期のミラノが舞台となる。男装の女性が登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 イタリアのジェノヴァに住むマルセーロフェニスは恋人どうしである。ある日、マルセーロはミラノへ行くつもりであることをフェニスに告げ、フェニスは彼の浮気を疑う。

 

 二人の友人のリサルドは、マルセーロがミラノへ行く理由がルシンダという女性に会うためだということをつきとめる。リサルド自身も美しいルシンダに恋をしているため、彼はフェニスに「ぼくもマルセーロと一緒にミラノへ行くことになっている。きみを男装させ、ぼくの奴隷ということにしてつれていくから、きみはマルセーロとルシンダの関係が深まらないよう妨害すればいい」と提案する。フェニスはそれに同意する。

 

 彼らがミラノへ出発する前に、ルシンドという青年が従者のルフィーノをつれてフェニスを訪ねてくる。彼はミラノに住むルシアーノという人物の息子であり、ミラノ総督であるフェニスの父親が、友人のルシアーノとの間でとりきめたフェニスの婚約者であった。男装したフェニスは奴隷のふりをして「フェニス様は死にました」とルシンドに告げる。ルシンドはがっかりして帰ろうとするが、叔父のアルベルトがそれに気づき、あわててルシンドを引き止める。フェニスは仕方なくルシンドに会う。

 

 ルシンドはフェニスを気に入り、ミラノへ戻る。父親のルシアーノは、娘のルシンダ(マルセーロの浮気相手である)のほうも早く結婚させたいと望む。しかしマルセーロに恋しているルシンダは結婚に乗り気ではない。

 

 マルセーロはリサルドとフェニスをつれてミラノに到着する。男装したフェニスをリサルドの奴隷フストだと信じているマルセーロは、フスト(フェニス)をつれてひそかにルシンダに会いに行くが、窓から彼女の家をのぞいていたところをルシアーノに見つかってしまう。マルセーロは通りすがりの人間だと嘘をつくが、彼を信用しないルシアーノは彼からフスト(フェニス)を買い取って真実を聞こうとする。

 

 ルシアーノから拷問されることを怖れたフスト(フェニス)は、自分が総督の娘であることを彼に打ち明ける。彼女に魅せられたルシアーノは、彼女の正体を隠したまま、奴隷として家に置くことを決める。フスト(フェニス)はルシンダに、自分が彼女とマルセーロの恋の取り持ち役になることを申し出る。ルシンダは喜んでそれを受け入れる。

 

 ルシンドとルフィーノは、ジェノヴァでフェニスを訪問したときに見た奴隷がフスト(フェニス)にそっくりであることに気づく。

 

 リサルドは、ルシンダとマルセーロを会わせる約束をしたフェニスを非難する。しかしフェニスは、自分がマルセーロを愛し続けていることを誓う。

 

 総督は、娘のフェニスがいなくなったことを心配し、ルシアーノを訪ねてくる。しかしルシアーノは、彼女が自分の家にいることを隠す。

 

 ルシンドは、フスト(フェニス)の正体がフェニスであることに気づき、だまされたことに屈辱を覚えながらも彼女に求愛する。ルシアーノもまたフェニスに求愛する。従者のルフィーノとフベルトは、ルシアーノがフスト(フェニス)をえこひいきすることを妬み、フスト(フェニス)に嫌がらせをする。

 

 自分をとりまく状況にうんざりしたフェニスは、周囲の人間すべてをだまし、苦境を乗り切る計画を立てる。彼女はルシアーノに「この家の従者から強引な求愛を受けています」と告げる。ルシアーノは腹を立て、従者を罰すると彼女に約束する。

 

 次にフェニスはルシンドに「あなたのお父さんに、私が今夜ひそかに彼に会うつもりだと告げて下さい。そして実際はあなたがお父さんに会いに行ってください。そしてあなたと私がすでに夫婦であると宣言してください」と告げる。ルシンドは承知するが、内心ではフェニスを最後にふってやろうともくろむ。

 

 さらにフェニスは、マルセーロとルシンダの密会をお膳立てした上で、リサルドをマルセーロの代わりにルシンダの部屋へ行かせ、自分はルシンダの代わりにマルセーロを迎え入れる。

 

 ルフィーノとフベルトは、フスト(フェニス)の行動の一部始終を目撃し、そのことを総督に訴える。総督がルシアーノの家に行く。

 

 マルセーロと対面したフェニスは、正体を明かして彼の不実を非難し、自殺をほのめかせる。マルセーロは彼女に謝罪し、許しを乞う。彼らは和解する。フェニスはルシンダの前で正体を明かして事情を説明する。

 

 総督がやってきて、ルシアーノに奴隷の件で話を聞こうとする。ルシアーノはフスト(フェニス)が総督の娘のフェニスであることを告白し、自分は知らずに彼女を奴隷として買ったのだと主張する。

 

 マルセーロは、総督の前でフェニスに求婚する。ルシンドは、フェニスをだましてふってやるつもりが、逆に彼女にだまされたことを知る。マルセーロとフェニス、リサルドとルシンダが結ばれて幕となる。