Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

恋人の奴隷(Esclava de su galán, la)

ロペへの帰属:ほぼ確実

執筆年代:1625-1630年

種類:都会的な同時代劇

補足:セビーリャが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 エレーナは恋人のドン・フアンと言い争い、彼との関係を終わらせたいと告げる。理由は彼が不誠実であることに加え、彼が聖職禄をもらう代わりに結婚を禁じられている神学生だからである。

 

 彼らは二人ともインディアーノ(植民地帰りの成金)の子どもである。フアンは、身分の高いスペイン人の父と、クリオーリョ(ヨーロッパ人を両親に持つ植民地生まれの人)の母との間に生まれた。フアンの父フェルナンドは、フアンを庶子とみなしながらも大切に育てている。

 

 エレーナはフアンと別れ、従兄の求婚を受け入れるつもりだと告げる。それを聞いたフアンは慌て、エレーナを愛していること、彼女と結婚するために聖職者の道を捨てることを誓う。

 

 隣人のレオナルドから「フアンが結婚したらしい」と伝え聞いたフェルナンドは、息子に真実を問いただす。フアンが聖職者の道を捨て、結婚するつもりだと言うとフェルナンドは怒り、フアンを家から追い出す。フアンはエレーナに別れを告げ、父の怒りがとけるまでセビーリャを離れると説明する。

 

 レオナルドの妹ラフィーナは、フアンの幼馴染である。彼女はフアンのことを愛しており、自分に言い寄ってきたリカルドにそのことを告げて拒否する。しかしレオナルドは彼女に、フアンが結婚したらしいこと、そのことにより彼が父親から家を追い出されたことを教える。

 

 フアンと従者のペドロは、頃合いを見てセビーリャに戻り、レオナルドに仲裁役を依頼する。レオナルドは快く引き受けるが、フェルナンドの怒りはまだおさまっていなかった。レオナルドは問題が解決するまでフアンとペドロを家に滞在させる。

 

 エレーナはフアンとフェルナンドを仲直りさせるため、「東インド出身の奴隷バルバラ」と名乗り、従者のアルベルトを通じてフェルナンドに自分を買わせる。フェルナンドは彼女を気に入り、レオナルドの家に手紙や物を届ける役を与える。

 

 フェルナンドは、息子を失って内心寂しい思いをしていたため、バルバラ(エレーナ)を娘のようにかわいがる。彼は彼女に、自分がほんとうは息子を溺愛していることを告白する。

 

 レオナルドの家では、フアンと相思相愛だと思いこんでいたセラフィーナが彼を非難する。ペドロの不適切な助言により、フアンはセラフィーナと結婚の約束をしてしまう。そのことを知ったバルバラ(エレーナ)は怒るが、フアンは彼女をなだめる。

 

 セラフィーナにふられたリカルドは、今度はバルバラ(エレーナ)を口説こうとする。

 

 フアンとフェルナンドは和解し、フアンは家へ戻る。バルバラ(エレーナ)はひきつづきフェルナンドとフアンに奴隷として仕えながら結婚の許しを得る機会をうかがう。しかしリカルドにしつこくつきまとわれたり、セラフィーナがフアンに宛てた手紙を見せられたりして、彼女は苛立ちをつのらせる。

 

 バルバラ(エレーナ)は嫉妬のあまりフアンと激しく言い争う。フアンはその場の勢いで「セラフィーナと結婚する」と口走ってしまう。バルバラ(エレーナ)は絶望し、フアンのことをあきらめようと決心する。

 

 リカルドは、フアンに「バルバラ(エレーナ)はもともとうちの奴隷だった。何者かが彼女を盗んで売りとばしたことがわかったから返してほしい」と言いがかりをつける。フアンが彼女を返すことを拒否すると、リカルドは裁判を起こすと言って彼を脅す。

 

 フアンの意に反して、フェルナンドはフアンとセラフィーナとの縁談を進めてしまう。さらに御者のファビオまでがバルバラ(エレーナ)を好きになり、彼女との結婚をフアンに願い出る。フアンは苦悩する。

 

 セラフィーナに会ったバルバラ(エレーナ)は、「あなたとフアン様が結婚なされば、私は自由の身になれることでしょう」と含みのある言い方をする。

 

 バルバラ(エレーナ)を見つけたフアンは、嫉妬に身を焦がし、「きみとリカルドが共謀して、ぼくを裁判にかけようとしている」と非難する。バルバラ(エレーナ)は激怒する。

 

 フアンとセラフィーナの結婚式が始まるが、フアンは何の行動も起こすことができない。苛立ったバルバラ(エレーナ)は、進み出て結婚契約書を破り捨て、リカルドとともに出ていこうとする。しかしそれを見たフアンは、彼女が自分の妻であると皆の前で宣言する。

 

 驚く人々の前で、バルバラ(エレーナ)は自分の正体を明かす。セラフィーナは彼女の度胸と勇気に感服し、フアンを彼女に譲ると宣言する。フアンとエレーナが結ばれて幕となる。