Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

欺かれた敵(Enemigo engañado, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1590-1598年

種類:都会的な同時代劇

補足:バルセロナが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 裕福な老人バシリオには、ヘラルドラビニオラウレンシアという3人の子どもたちがいる。

 

 ヘラルドは高慢な性格で、妹のラウレンシアの評判に傷がつくのを恐れている。ある夜、帰宅したヘラルドは妹の恋人が忘れていったマントを発見して激怒し、ラウレンシアを問い詰める。ラウレンシアは兄の横暴さに反発する。

 

 ヘラルドはマントの持ち主がピナベーロという貧しい詩人であることをつきとめる。彼はそのことを弟のラビニオに話す。ラビニオはひそかにピナベーロを助けようと考える。ラビニオはヘラルドと違って温厚な性格であり、そもそもピナベーロをラウレンシアに紹介したのはラビニオであった。

 

 ピナベーロはラビニオに「恋人の兄の怒りを買い、つけねらわれている」と相談するが、恋人がラウレンシアであることは言わずにおく。ラビニオは「街を脱出したふりをして、ぼくの家に隠れているといい」と彼に告げる。

 

 ラビニオはヘラルドやバシリオに見つからないようにピナベーロを自宅に連れて行き、自室にかくまう。ラビニオはラウレンシアに「事情があって友人を部屋にかくまっている」と告げる。ラウレンシアの部屋はラビニオの部屋のすぐ下にあるので、ラウレンシアとピナベーロは互いに合図をしてひそかに逢瀬を楽しむ。

 

 一年が経過する。バシリオが死んで長男のヘラルドが家を継ぐ。ラビニオは、ピナベーロの不自由な生活を終わらせてやるために一計を案じる。彼はピナベーロを変装させ、「サラマンカの大学生の友人フェリシアーノ」としてヘラルドに紹介する。

 

 ヘラルドはフェリシアーノ(ピナベーロ)から数々の贈物をもらって上機嫌になり、彼を自宅に逗留させる。また、「これがカスティーリャの風習」だとラビニオに言いくるめられて、妹のラウレンシアとフェリシアーノ(ピナベーロ)が親しくつきあうことを許す。

 

 ラウレンシアにはシンティアという友人がおり、ヘラルドとつきあっている。シンティアの父親のドリストはヘラルドを快く思っておらず、シンティアに恋するもうひとりの青年フィネオの方を気に入っているが、シンティアはフィネオの求婚を拒否する。

 

 ドリストは「必ず娘を説得する」とフィネオに約束して、勝手に結婚式の準備を進める。シンティアが他の男性と結婚するつもりなのだと思いこんだヘラルドはショックを受け、悲嘆に暮れる。

 

 フェリシアーノ(ピナベーロ)はヘラルドに「きみの恋人が結婚する前にさらってしまおう。我々も加勢する」と告げる。ヘラルド、ラビニオ、フェリシアーノ(ピナベーロ)はドリストの家へ押しかけ、シンティアを連れ去る。

 

 一週間後、ヘラルドはシンティアを誘拐した疑いで警吏に呼び出される。投獄されることを覚悟したヘラルドはフェリシアーノ(ピナベーロ)に、「シンティアにこれを渡してほしい」と言って手紙と髪の束を渡す。

 

 フェリシアーノ(ピナベーロ)はシンティアにそれらを渡す。シンティアが乳房の間にそれを隠すのを彼が手伝ったり、シンティアの髪を切り取ったりしているのを見たラウレンシアは二人の仲を疑い、激しく嫉妬する。

 

 投獄を免れて無事に帰宅したヘラルドは、フェリシアーノ(ピナベーロ)とラウレンシアを結婚させるつもりだと宣言する。しかしラウレンシアは兄に、自分の見たことを報告する。怒ったヘラルドはフェリシアーノ(ピナベーロ)を裏切り者とののしる。ラビニオが仲裁し、フェリシアーノ(ピナベーロ)とシンティアが事情を説明してラウレンシアとヘラルドの誤解は解ける。

 

 そこへ、行政官とともにドリストとフィネオが入ってきて、ヘラルドがシンティアを誘拐した犯人だと告げる。しかしシンティアの言い分を聞いたフィネオは彼女との結婚を潔くあきらめ、ドリストも娘とヘラルドとの結婚を認める。

 

 行政官は、ピナベーロが自分の甥であることをヘラルドに告げる。ラウレンシアは「自分とピナベーロとの結婚を許してほしい」とヘラルドに懇願するが、ヘラルドは「自分の親友であるフェリシアーノが望まない限り、自分は許すつもりはない」と答える。フェリシアーノ(ピナベーロ)はすぐにそれを望むと告げ、「自分こそがピナベーロだ」と彼に告白する。ピナベーロとラウレンシア、ヘラルドとシンティアが結ばれて幕となる。