Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ビセオ公爵(Duque de Viseo, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1604-1610年

種類:歴史劇

補足:ロペの悲劇の代表作の一つ。15世紀ポルトガルの国王ジョアン2世が妻の兄にあたるヴィゼウ公爵ディオゴを殺した史実にもとづく。リスボンが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ポルトガルの新しい国王ドン・フアン(ジョアン)は猜疑心が強く、周囲の者に対して冷淡にふるまっている。国王はビセオ(ヴィゼウ)公爵の妹であるドニャ・カタリーナと結婚する。

 

 ポルトガル総帥(コンデスタブレ)は、彼の兄弟であるギマランス公爵ファーロ伯爵ドン・アルバーロらとともに国王の冷淡さを嘆くが、君主への忠誠は尽くそうと決意する。

 

 王妃の侍女ドニャ・イネスは、王の寵臣ドン・エガスとの結婚を控えている。彼女はエガスに関する悪い噂が流れているのを知り、かつての恋人である総帥からエガスの素性を聞き出そうとする。総帥は初めは言い渋るが、エガスの父方の祖母にモーロ人の血が流れていることを彼女に教える。

 

 イネスは怒り、エガスに「モーロ人の子孫を産む気はない」と言い放って結婚を拒否する。エガスは、真実をイネスに教えたのが総帥であることをイネスの口から聞き出す。総帥に恨みを抱いたエガスは、総帥とその兄弟への復讐を決意する。

 

 エガスは国王に「総帥と彼の兄弟たちは、陛下を暗殺し、ビセオ公爵を王位につけようと企んでいます」と讒言する。

 

 エガスが自分たちを恨んでいることを知ったギマランス公爵は、総帥の行為の埋め合わせをするためにエガスとイネスの仲を取り持とうと考える。ギマランス公爵はイネスを説き伏せようとするが、イネスは高慢な態度で、エガスに対する軽蔑の言葉を口にする。かっとなったギマランスはイネスを平手打ちする。イネスはギマランスと彼の兄弟たちが自分を侮辱し、国王への陰謀を企んでいると国王に訴える。エガスやイネスの讒言を真に受けた国王は、ギマランスを塔に幽閉し、総帥、ファーロ伯爵、ドン・アルバーロを自宅に拘禁する。

 

 国王がかつて自分の従妹ドニャ・エルビラに執心していたことを知っているビセオ公爵は、自分もエルビラに恋しているにもかかわらず、ギマランス公爵を助けるためにエルビラなら国王を説得できると考え、彼女に仲介役を依頼する。彼らの話を立ち聞きした国王は、ビセオ公爵にさらなる不信感を持つ。

 

 エルビラから、ギマランスの幽閉を解いてほしいと頼まれた国王は、「彼がドニャ・イネスと結婚するのなら解放する」と告げる。しかしギマランスは結婚を拒否する。怒った国王はギマランスの兄弟たちを追放し、ビセオ公爵にもリスボンから出ていくよう命令する。

 

 自分たちが追放されることを知った総帥、ファーロ伯爵、アルバーロは、国王に失望し、ビセオ公爵を王位につけようと相談する。それを聞きつけた国王はビセオ公爵が陰謀を企んでいると確信する。

 

 国王はギマランス公爵を処刑し、その首をビセオ公爵に見せて自分への服従を迫る。ビセオ公爵は、誹謗者を信用するべきではないと国王を諭すが、王は聞く耳を持たない。ビセオ公爵はしかたなく、田舎に隠遁することを決意する。

 

 エルビラを愛しているビセオ公爵は、田舎へ隠遁した後も変装して毎晩エルビラのもとをひそかに訪れる。エルビラは彼との結婚を望み、ビセオ公爵の妹である王妃カタリーナに許可を願い出る。

 

 王妃の手紙を持った使者カルロスは、ビセオ公爵のいる田舎へ行く。エルビラとの恋に悩む公爵は占星術に占いをしてもらい、村人たちとともに「王様ごっこ」というゲームに興じていた。カルロスは公爵に王妃からの手紙を渡す。手紙には「国王に、あなたとエルビラとの結婚の許可を願い出てみるつもりだが、混乱が生じるといけないのであなたは宮廷に来ないように」と書かれていた。公爵は、自分の代わりに村人のブリートリスボンに行かせる。

 

 カルロスは王妃にビセオ公爵のことを知らせようとするが、その前に国王が彼を捕えて田舎での公爵の行動を報告させる。王は、公爵が「王様ごっこ」をしていたのは王位を得たいと望んでいるからだと考える。王はエガスにアルバーロの領地をすべて与え、さらにビセオ公爵への腹いせのためにエルビラをエガスに妻として与えると告げる。

 

 ビセオ公爵はエルビラのもとを訪れ、彼女に手紙を渡す。しかし彼は誤って占星術師の書いた占いの紙を彼女に渡してしまったことに後で気づく。

 

 国王からエガスとの縁談を聞かされたエルビラは、エガスを裏切り者と呼んで結婚を拒否する。国王は怒り、彼女もまた陰謀に加担しているのだと考える。

 

 ビセオ公爵の前にギマランス公爵の亡霊が現れる。亡霊は「国王に気をつけろ」と警告して消える。ビセオ公爵は恐怖のあまり失神する。

 

 占星術師が書いた紙には、ビセオ公爵が国王になるであろうという予言が記されていた。エルビラからそれを奪った国王は、これこそ公爵が王位を狙っている証拠だと断言する。エガスは公爵を暗殺するよう国王をそそのかす。

 

 国王は宮廷にビセオ公爵を呼び出し、尋問する。公爵は潔白を主張するが、国王は列席している貴族たちに彼を殺すよう命じる。しかし皆がビセオ公爵の美徳を知っているため、誰もその命令に従わない。国王は自ら短剣を持って公爵を刺し殺す。

 

 ビセオ公爵の死を知らされたエルビラは、遺体を見せてほしいと国王に願い出る。ビセオ公爵の弟ドン・マヌエル爵位を継承する。ビセオ公爵の血にまみれた遺体が人々の前に運ばれてくる。その傍らには「愛のために」死んだエルビラの遺体が横たわっている。ブリートはエガスを殺して公爵の仇を討つが、彼もまた王の衛兵たちによって殺される。

 

 国王は、エガスの死が神によって自分に下された罰ではないかと恐れ、自らの過ちを認める。王はビセオ公爵、エルビラ、ブリートの名誉を回復させ、手厚く葬ることを決意する。「多くの善をなしたがゆえに、他者の妬みが死をもたらした」ビセオ公爵の悲劇が告げられて幕となる。

 

 

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