Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

主(あるじ)なければ災い生ず(Donde no está su dueño, está su duelo)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:不明

種類:歴史劇

補足:1585年のパルマ公アレッサンドロ・ファルネーゼによるアントウェルペン占領を物語の背景としている。イタリアのミラノが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ミラノに住むドン・ディエゴは最近アウレリアと結婚したばかりである。彼は自分の幸福をフェデリーコ伯爵に語る。兵士のバンケーテは結婚生活の危うさを語ってディエゴをからかう。

 

 フェデリーコ伯爵は、ひそかにアウレリアに恋をしている。いっぽう、アウレリアの侍女レオノールの正体はドニャ・フアナという女性である。ディエゴはかつてマドリードでフアナと結婚の約束をしており、フアナはディエゴを追ってミラノへやってきたのである。

 

 アウレリアが伯爵と出かけた後、レオノール(フアナ)はディエゴの裏切りを非難する。ディエゴは「あの時は、兵をつれてマドリードを去らなくてはならなくなったので、きみに別れを言うことができなかった。きみの名誉を傷つけるようなことはしていないのだから、今はそっとしておいてほしい」と弁解する。

 

 テラノバ公爵は、スペイン国王からフランドルへ援軍を送ることを求められる。ディエゴは新妻を残していくことにためらいを感じながらも、自身の名誉のためにフランドル行きを決意する。ディエゴの父親ドン・フアン・デ・イクンサは、ディエゴが留守にしている間にアウレリアに不名誉な噂が立つことを心配する。ディエゴは父に、留守の間の妻の監視を依頼する。

 

 バンケーテは、アウレリアのもう一人の侍女サビーナを口説く。

 

  ディエゴがフランドルへ行くことを知ったフェデリーコ伯爵は、彼の不在中にアウレリアとの仲を深めようと企む。レオノール(フアナ)はディエゴとともにフランドルへ行くことを望むが、ディエゴは「きみは家にいて、アウレリアが不義密通をしないか見張っていてほしい。万一アウレリアが私を裏切るようなことがあれば、きみを新しい妻にする」と言って彼女を説得し、フランドルへ出発する。アウレリアは愛する夫との別れを悲しむ。

 

 フェデリーコ伯爵はアウレリアのもとに熱心に通い続けるが、一年が経過しても思いを伝えることができない。バンケーテとサビーナは伯爵をけしかけ、手助けをしようと申し出る。フアンは、伯爵が頻繁にアウレリアを訪問していることを不審に思う。

 

 レオノール(フアナ)もまた、アウレリアにわざと不義密通を犯させようと考え、彼女と伯爵との仲を取り持とうとする。しかしアウレリアは夫に対する忠誠を誓う。

 

 伯爵はアウレリアに直接自分の気もちを伝えるが、アウレリアは彼を拒む。そこへフアンが現れ、彼らが二人きりでいることを非難する。うんざりしたアウレリアは怒って去る。

 

 フアンはアウレリアに関する疑惑を手紙でディエゴに伝える。ディエゴは不安を覚える。アントウェルペン占領に成功したパルマ公爵は、ディエゴにミラノへの帰還を許可する。

 

 レオノール(フアナ)は、伯爵と話をしているときに、ディエゴのことを思い出して不意に涙ぐんでしまう。彼女の事情を知らない伯爵は、彼女が自分に恋をしているのではないかと誤解する。

 

 バンケーテ、サビーナ、レオノール(フアナ)が何度も伯爵を手引きしてアウレリアの部屋へ入れるため、フアンはアウレリアの不義密通を確信し、ディエゴに伝える。

 

 ミラノへ帰還したディエゴは、妻と伯爵を殺そうと決心し、短剣を持って自宅に潜入する。そのことを知ったレオノール(フアナ)は自分の行いを後悔し、伯爵に身の危険を知らせる。レオノール(フアナ)は自分の正体を伯爵に明かす。伯爵は、彼女がかつて自分がマドリードにいたとき結婚を望んでいた女性であったことを知る。バンケーテは伯爵とともに家から逃げようとするが、ディエゴの手下によって家は包囲されてしまう。

 

 ディエゴはベッドで眠っているアウレリアを殺そうと近づくが、彼女の寝顔を眺めているうちに愛しさがこみ上げ、彼女にキスしてしまう。驚いたアウレリアは叫び声をあげて失神する。ディエゴは、妻が意識を取り戻してから真実を問いただそうと考え、その場を去る。

 

 意識を取り戻したアウレリアは、伯爵が自分を犯したのだと思いこむ。ディエゴを家に迎えた彼女は、「私はずっとあなたへの貞節を守ってきました。けれども夜中に誰かが私の寝室に忍び込んで私を汚したのです」と告げ、短剣(ディエゴが彼女の寝室の床に落としていったもの)を彼に渡し、自分を殺してほしいと望む。心を動かされたディエゴは妻の潔白を確信する。

 

 サビーナとレオノール(フアナ)は、自分たちの悪だくみを白状し、アウレリアの潔白を証言する。ディエゴはバンケーテと伯爵が家の中にいるのを発見する。ディエゴに殺されることを怖れた伯爵は「レオノール(フアナ)に会いに来た」と嘘をつく。ディエゴは「今すぐレオノール(フアナ)と結婚するのなら命は助ける」と約束する。伯爵とレオノール(フアナ)、バンケーテとサビーナが結ばれて幕となる。