Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

乙女テオドール(Doncella Teodor)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1610?-1615?年

種類:小説をもとにした劇

補足:『千夜一夜物語』に起源をもつ13世紀スペインの小説『乙女テオドールの物語』を戯曲に翻案したもの。スペイン、アフリカ、トルコ、ペルシャが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  トレドの青年ドン・フェリックスは、いとこのレオネーロとともに学問所へ通っている。彼はレオネーロに、とても頭がよくて優秀な女性テオドールに恋をしているのだと告白する。テオドールは哲学の教師レオナルド・デ・ビンスの娘である。

 

 レオネーロは彼に、「男が自分よりも頭のいい女と結婚すると、いろいろと面倒だ」と告げる。しかし彼もテオドールに興味を持ち、フェリックスとともに彼女を見に行く。

 

 レオナルドによる哲学の授業が行われている教室で、テオドールはファビオという学生と「愛」「性欲」「食欲」などのテーマについて議論をする。フェリックスは彼らの議論に口を出し、テオドールに恋していることを暗に彼女に伝えようとする。ファビオもまたテオドールに恋しているので、フェリックスに邪魔をされて機嫌を損ねる。

 

 テオドールは、「魂」に関するアリストテレスの意見を生徒たちに解説する。レオナルドは、テオドールの話の内容が理解できたかどうかを生徒たちに質問する。フェリックスの番が来ると、彼はソネットで「魂は、生きるよりも愛することを選ぶ」と詠う。ファビオは怒ってそれに反論する。レオナルドは彼らを叱責し、「血の気が多いままでは、機知に富んだ人間になることはできない」と諭す。

 

 そのとき、レオナルドに手紙が届けられる。手紙を読んだレオナルドは、「テオドールとバレンシアの貴族との結婚が決まった」と告げて授業を終わらせる。

 

 フェリックスは絶望し、イタリアへ出征する軍隊に入隊する。彼の従者パディーリャとレオネーロも彼に同行する。

 

 いっぽう、イスラム教徒が支配するアフリカの街オランでは、国王マンソールが弟のセリンドに王座を譲ろうとしていた。マンソールは、姪のリーファダラーハのどちらかを彼の妻にすると告げるが、セリンドはなかなか乗り気にならない。

 

 オランの城代サイデはマンソールに、「スペイン沿岸へ行って、女を20人か30人さらってきましょう。その中からセリンド様の好きな女を選んでもらいましょう」と提案する。マンソールは同意する。

 

 フェリックスの所属する軍隊は、カルタヘナ近くの村で休憩を取る。そこへ偶然、バレンシアへ婚礼に向かうテオドールの乗った馬車が通りかかる。フェリックスはレオネーロとパディーリャの力を借りて、テオドールを誘拐する。

 

 テオドールはフェリックスの行動に戸惑いながらも、彼からの求婚を受け入れる。しかし二人が海岸で休憩しているところへ、サイデが現れて彼らを誘拐する。

 

 フェリックス、テオドール、レオネーロ、パディーリャは、マンソールとセリンドの前へ引き出される。美しいテオドールは、モーロ人の男性たちに狙われる。テオドールは身を守るため、聾唖者を装い、知性も表に出さないようにする。

 

 マンソールはテオドールに質問するが、彼女が聾唖者のふりをしているので、フェリックス、レオネーロ、パディーリャがその質問に答える。テオドールを守るために彼らが「不妊の女性」「多くの子どもがいる母親」などとそれぞれ違う答え方をするので、マンソールは混乱する。テオドールがあくまでも聾唖者のふりをしているので、セリンドは彼女を妻にするのをあきらめ、捕虜の中にいる別の女性を探しに行く。

 

 ハリーファはフェリックスに恋をして、一計を案じる。彼女はマンソールに「セリンドを信用してはいけません。彼は最近まで、陛下から王位を奪おうと企んでいたのです。彼をひそかに国外へ追放しましょう。そして、私がフェリックスと結婚をしてオランの王位を継承します」と告げる。

 

 ハリーファの話を隠れて聞いていたテオドールは、フェリックスにそのことを教える。彼女はフェリックスに、ハリーファとの結婚に応じるよう指示する。「あなたが王位についたら、私を解放してスペインへ送り返すことができる。その後であなたも逃げて、スペインで再会しましょう」

 

 マンソールはハリーファの計画に同意し、トルコの王セリーンに会いに行くようセリンドに命じる。セリンドが出発すると、マンソールはフェリックスを呼び出して彼の計画を話し、ハリーファと結婚してオランの王位を継ぐようもちかける。フェリックスは、テオドールをスペインに帰すことを条件にそれを承諾する。

 

 用心深いマンソールは、フェリックスが彼を裏切るのを防ぐため、テオドールをひそかにトルコの街コンスタンティノープルにつれて行き、奴隷として売るよう従者に命じる。

 

 バレンシアでは、テオドールの婚約者であったフロレストがレオナルドに、「あなたの娘は私との婚礼に向かう途中でフェリックスにさらわれ、その後二人ともモーロ人に拉致されました」と知らせる。レオナルドはフロレストとともに娘を取り戻しに出発する。

 

 フェリックスは、テオドールが無事にスペインへ戻ったと思い安心する。彼はスペインへ戻る機会をうかがい、ハリーファと寝ることを避ける。

 

 コンスタンティノープルへ連れていかれたテオドールは、奴隷市場に出される。彼女はマンソールのたくらみに気づかず、フェリックスに裏切られたのだと思って嘆く。いっぽう、トルコに到着したセリンドはテオドールが売られているのを見て驚く。テオドールはセリンドに、マンソールとハリーファの陰謀について知らせる。セリンドはマンソールから渡されたセリーン宛ての手紙を読み、自分が兄に陥れられたことを知る。怒りに燃えたセリンドは、トルコと手を結んでオランを攻撃する決心をする。彼は真実を知らせてくれたテオドールに感謝し、彼女を買い取ったのち解放する。

 

 セリンドはセリーンの臣下となりオランを攻めるが、フェリックスがマンソールの側について戦い、勝利を収める。マンソールは喜び、フェリックスとハリーファを正式に結婚させようとする。しかしフェリックスはテオドールからの便りが全く来ないことを不審に思い、マンソールが裏切ったのではないかと怪しむ。

 

 レオナルドとフロレストは、商人に変装してオランの王宮に潜入する。レオナルドは、かつての生徒フェリックスが王のそばにいるのを見て驚く。彼は王の従者から、テオドールがフェリックスとともに王宮につれてこられた後、奴隷として売られたことを聞き出す。

 

 テオドールは、ギリシャの商人フィナルドの船に同乗させてもらいスペインへ向かうが、船は難破し、二人はペルシャへ流れついてしまう。テオドールは持ち前の才覚をあらわし、自分を豪華に着飾らせてスルタンに奴隷として売りつけ、その金で船と商品の損失を補うようフィナルドに指示する。

 

 ペルシャのスルタンはトルコを攻撃していた。困ったセリーンは、セリンドからフェリックスの強さを聞き、彼を味方につけようと考える。彼はセリンドをオランへ行かせる。

 

 フィナルドは、テオドールをスルタンのもとへ連れていき、学問と教養のある奴隷として売り込む。しかしスルタンは「しょせん女であれば、学問があるといってもたかが知れている」と侮り、高額の代金と引き換えにするほどではないと答える。テオドールは「自由七学芸についての議論で、この国のすべての男性を論破してみせます」と宣言する。スルタンは、自分が選んだ賢人たちと勝負をして勝てば、彼女に5万ドゥカードを払うと約束する。

 

 フェリックスはハリーファとの結婚から逃れようと思っていたため、セリンドの求めに応じてオランを離れ、トルコの王に仕える。彼はそこで、テオドールがコンスタンティノープルで奴隷として売られていたこと、セリンドが彼女を自由の身にしたことを知らされる。セリーンはセリンドにオランを攻撃させ、フェリックスをペルシャへ和平の使者として送る。セリンドはハリーファと結婚する。

 

 フロレストとレオナルドは、テオドールの行方を探し続けてペルシャへたどり着く。彼らは「一人の乙女が、スルタンの集めた賢人たちと議論をする」という告知を耳にする。

 

 フロレストとレオナルドは、スルタンのもとへいき、「我々もその議論に参加させてください」と懇願する。スルタンはそれを了承する。議論の場に出た二人は、テオドールがそこにいるのに気づく。

 

 議論が始まろうとしているとき、フェリックス、レオネーロ、パディーリャがトルコの使者として登場し、スルタンとの和平を申し出る。スルタンは和平に同意する。フェリックスも見ている前で、乙女と賢人たちの議論が行われる。

 

 天文学四大元素倫理学、自然科学、謎かけなどの問題にテオドールは見事に答えていく。フェリックスは、乙女がテオドールであることに気づく。

 

 パディーリャは、「負けた方が服を脱ぐ」という条件でテオドールに勝負を挑み、あえなく負ける。レオナルドはテオドールに「あなたの父と夫について何を知っているか」と尋ねる。テオドールは「夫は裏切り者で、父は遠くにいます」と答える。テオドールの関係者はみな、スルタンの前で彼女に正体を明かす。

 

 スルタンは約束通りテオドールに5万ドゥカードを払い、フェリックスとの結婚を許可する。レオネーロとパディーリャもそれぞれ賢者の娘たちと結婚し、彼らのスペインへの帰還が決まって幕となる。