Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

マティコの機知(Donaires de Matico, los)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1596年

種類:架空の宮廷劇

補足:バルセロナが舞台となる。男装の女性が登場する。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 バルセロナ郊外の森。カタルーニャの君主であるバルセロナ伯が家臣のリケルモラミーロをつれて歩いていると、巨大な蛇が伯爵を襲う。リケルモとラミーロは怖気づいて逃げ出す。そこへ毛皮を着たサンチョという男が現れたので、伯爵は「助けてくれたら娘と結婚させて自分の後継者にする」と彼に告げる。サンチョは棍棒で蛇を退治する。

 

 伯爵はサンチョに感謝し、彼の身の上を尋ねる。サンチョは「私はカスティーリャの出身で、身分の低い家の者です。わけあって祖国を出てきました」と説明する。伯爵はサンチョとの約束を果たすため、半ば強引に彼を宮廷へ連れていく。

 

 伯爵は娘のロシムンダにサンチョを紹介する。ロシムンダは毛皮を着たサンチョを見て、笑いながら去る。伯爵はサンチョに宮廷の慣習を教え込み、一人前の宮廷人に変身させようと計画する。

 

 サンチョと同じように毛皮を着た少年マティコがやってきて、王宮で騒ぎ立てる。マティコはサンチョの弟だと名乗り、兄を返してほしいと伯爵に告げる。

 

 優美な服を着せられたサンチョが現れる。皆はその姿に見とれる。サンチョはマティコを見て抱擁しようとするが、マティコは苛立たし気にそれを拒否する。伯爵たちは、サンチョとマティコを二人だけにして部屋を出る。

 

 実は、サンチョの正体はナバーラ王国の王子ルヘーロであり、マティコの正体はレオン王国の王女ドニャ・フアナであった。二人の祖国が敵対していたため、二人は祖国を離れ、フアナは男装してルヘーロの弟のふりをしてきたのである。マティコ(フアナ)は「あなたのために私は故郷も身分も、そして女性であることさえも捨ててついてきたのに、蛇一匹のせいであなたはそのことをすべて忘れて、別の女性と結婚するつもりなのか」とサンチョ(ルヘーロ)を非難する。

 

 サンチョ(ルヘーロ)は、マティコ(フアナ)への自分の誠実さを示そうとして、優美な衣服を脱ぎ捨てて裸になる。そこへ伯爵たちが戻ってきたので、サンチョとマティコは、慌ててゲームに興じているふりをする。伯爵は裸のサンチョを見て大笑いする。

 

 サンチョ(ルヘーロ)はすぐに文武に優れた資質を表し、宮廷で賞賛される。ロシムンダもサンチョに恋心を抱く。リケルモとラミーロはサンチョを妬む。

 

 いっぽう、マティコ(フアナ)は機知に富んだ会話術によって宮廷の人気者になり、ロシムンダにも気に入られる。しかしマティコは王宮の人々に説得されても服装を変えようとせず、「いつか結婚する日が来たら服を着替える」と公言する。

 

 サンチョ(ルヘーロ)は家庭教師にラテン語を教わるふりをしながら、暗にそばにいるマティコ(フアナ)に変わらぬ愛情を伝えようとする。しかしマティコはサンチョとロシムンダに嫉妬し、サンチョに反抗的な態度を取る。

 

 レオン王国の貴族ベラルドが、巡礼者に変装してバルセロナへやって来る。彼はリケルモに「我が国と敵対していたナバーラ王国の王子(ルヘーロ)が、ひそかに我が国の王女(フアナ)と恋仲になった。その後、王女は行方不明になった。私は王女にかなわぬ恋をしており、祖国を捨てて王女を探す旅をしている」と話す。

 

 ベラルドとリケルモは、教会の中でサンチョ(ルヘーロ)が祈っているのを見つける。サンチョを見たベラルドは、それがナバーラ王国の王子ルヘーロであることに気づく。ベラルドは、彼のそばに王女フアナもいるに違いないと推測する。

 

 いっぽう、伯爵はサンチョ(ルヘーロ)の立派な宮廷人ぶりを見て、ロシムンダとの結婚話を進める。マティコ(フアナ)は絶望し、王宮から逃亡する。

 

 伯爵がサンチョ(ルヘーロ)を後継者にしようとしていることを知ったリケルモとラミーロは、民衆を扇動して伯爵に反乱を起こす。反乱軍は宮殿へ攻め込む。伯爵は山へ逃亡する。

 

 反乱軍の前に、再び毛皮を身にまとったサンチョ(ルヘーロ)が現れる。サンチョは棍棒を振るって反乱軍を追い払う。リケルモとラミーロも山へ逃げる。

 

 ベラルドはフアナを見つけることができず、落胆していた。彼はマティコ(フアナ)と出会うが、彼の正体がフアナであるとは気づかない。ベラルドはマティコの当意即妙な話術が気に入り、ディエゴと名付けて自分の従者にする。

 

 ロシムンダはサンチョ(ルヘーロ)が反乱軍を追い払ったのを見て、彼を伯爵の後継者とすることを宣言し、彼に愛を告白する。しかしサンチョは彼女を拒み、真実を全て書いた手紙を彼女に渡して宮廷から去り、マティコ(フアナ)を探しに行く。

 

 宮廷に戻ってきた伯爵は、反乱軍が逃げたことを知って喜ぶが、ロシムンダからすべてを聞き、サンチョ(ルヘーロ)に裏切られたと感じる。彼はサンチョを追う。

 

 ベラルドはマティコ(フアナ)をつれて宿屋に泊まる。宿屋の妻はマティコを気に入り、誘惑しようとする。いっぽう、マティコはベラルドの荷物の中からドニャ・フアナに宛てた恋文を見つける。マティコはベラルドがずっと自分に恋し、探し続けていたことを知り、ベラルドにあらたな恋心を抱く。

 

 マティコ(フアナ)はベラルドに正体を明かし、妻にしてほしいと頼む。ベラルドは歓喜し、彼女に求婚する。宿屋の妻はマティコが女性であることを知って嫌味を言いつつも、夫とともに彼らの結婚の証人を引き受ける。

 

 反乱軍は敗走し、食物を求めて宿屋へ向かう。サンチョ(ルヘーロ)は反乱軍の眼を逃れて逃走し、疲れて宿屋の前で眠っているところでマティコ(フアナ)や反乱軍に見つかる。

 

 マティコ(フアナ)はサンチョ(ルヘーロ)に「私はあなたが結婚したものと思って、ベラルドと結婚した」と告げる。そこへ伯爵とロシムンダがやってくる。反乱軍の指揮者であったラミーロは、伯爵にサンチョを引き渡すことで恩赦を願う。

 

 サンチョ(ルヘーロ)は伯爵とロシムンダに、マティコ(フアナ)がベラルドと結婚したことを話す。サンチョは伯爵に正体を偽っていたことを謝罪し、マティコをあきらめることを宣言してロシムンダに求婚する。

 

 伯爵は寛大にも、反乱軍とサンチョ(ルヘーロ)を許す。彼はかつて幼い息子をサラセン人にさらわれたことを告白し、サンチョをその息子と思って後継者にすると宣言する。するとベラルドが、「私は幼いころ、サラセン人にさらわれてアルジェで奴隷として売られました。その後、様々な冒険を経てレオンの貴族の位を手に入れたのです」と告白する。ベラルドが伯爵の息子であることがあきらかになる。皆が「ことをまるく収める」ことに同意して幕となる。