Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ドン・フアン・デ・カストロ第二部(Don Juan de Castro, La Segunda parte de las Comedias famosas de)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1607-1608年

種類:歴史劇や小説、架空の宮廷劇などの要素が融合した作品

補足:二部構成の劇の後半。中世のガリシア王国とイギリスが舞台となるが、史実と矛盾する点が見られる。男装の女性が登場する。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 (第一部より続く)

 ルヘーロフアンになりすましてクラリンダと結婚式を挙げてから一か月後。イギリスは、かねてから衝突していたアイルランドへの侵入を決定する。今やイギリスの王位継承者となったフアン(本当はルヘーロ)は、ロベルトをつれてアイルランドへ赴くことになる。ロベルトは恋人のフロリアーナに別れを告げる。フロリアーナはロベルトに、「フアン様は結婚してからクラリンダ様に指一本触れようとせず、寝室でも彼女に背を向けて寝ている」と話す。

 

 本物のフアンがアイルランド国王アルナルドに連れ去られたことを知っているロベルトは、クラリンダと結婚したフアンはティバルドの作り出した亡霊なのではないかと考えている。フロリアーナの話を聞いたロベルトは、ますますその思いを強くする。

 

 いっぽう、ルヘーロはロベルトが彼の不審な行動に気づいたことを察知し、彼を遠ざけようと考える。彼はわざとロベルトを港へ置き去りにしてアイルランドへ船出する。

 

 アルナルドは、妹のフランセリーサに「もう一度イギリスへ行って、クラリンダに求婚する」と告げる。フランセリーサは、「クラリンダはもうドン・フアン・デ・カストロと結婚しているから無理です」と答え、塔の中に幽閉されているのは誰なのかと兄に尋ねる。アルナルドはそれに答えず、出発する。

 

 フランセリーサは塔の看守であるフェニーソを問い詰め、囚人がドン・フアン・デ・カストロであることを知る。好奇心にかられたフランセリーサはフェニーソから塔の鍵をもらい、フアンと対面する。フアンに惹かれたフランセリーサは、彼を救い出そうとする。

 

 しかし、その時アルナルドが塔へやってくる。フランセリーサはフアンを隠す。アルナルドは「イギリスがアイルランドへ侵入してきた。戦争を避けるため、その囚人をイギリスへ引き渡す。彼はドン・フアン・デ・カストロだ」とフランセリーサに告げる。そこへ軍人のアレハンドロが現れ、フアン(ルヘーロ)に率いられたイギリス軍が圧倒的な戦力で各地を占領し、王宮へ向かっていると告げる。

 

 ロベルトは港へ置き去りにされたにもかかわらず、主人のフアンを救い出そうと単身アイルランドへ渡る。彼はルヘーロの軍隊と合流して王宮へ向かう。

 

 フランセリーサは男装してルヘーロの軍隊に近づき、ルヘーロの前で身分を明かす。ルヘーロはフランセリーサが女性であったのを知って驚き、彼女の美しさに惹かれる。フランセリーサは「囚人を引き渡すから侵略を中止してほしい」と申し出る。ルヘーロは、フアンと自分が兄弟であることを打ち明ける。

 

 フランセリーサはアルナルドに、ルヘーロがフアンの兄弟でフアンになりすましていたことを知らせる。戦力を失ったアルナルドは、ルヘーロとフアンを会わせることに同意する。

 

 ロベルトが、フアン宛てのルヘーロの手紙を持ってくる。フランセリーサはロベルトから、ルヘーロがクラリンダと結婚しながらも指一本触れていないということを聞かされる。

 

 フアンはルヘーロからの手紙を読み、フアンがアルナルドに捕らわれたときにティバルドの幻がルヘーロのもとに現れてフアンの危機を知らせたこと、彼の指示によってルヘーロがフアンになりかわってクラリンダと式を挙げたことを知る。ロベルトも真実を知って納得する。

 

 アルナルドは、「クラリンダとの結婚をあきらめるので、占領をやめてほしい」とフアンにもちかける。しかし理不尽な扱いを受けたフアンは承知せず、ルヘーロに攻撃の指示を出そうとする。二人が言い争っている間に軍の間で戦闘が再開される。アルナルドは国を守るため、戦場へ出ていく。フランセリーサはフアンに和平交渉をもちかけ、「あなたがた兄弟のうち、どちらかが私と結婚してほしい」と申し出る。

 

 イギリス軍はアイルランドの宮廷を占拠する。フランセリーサはフアンをつれて塔に避難する。ルヘーロは塔の外からフランセリーサに呼びかけ、彼女に求愛する。フランセリーサはそれに応じる。

 

 ルヘーロはアルナルドを捕え、フアンを解放する。フアンとルヘーロは軍に命じて戦闘を中止させる。二人はアルナルドとフランセリーサを船に乗せてイギリスへ戻る。

 

 ロベルトが真っ先に王宮へ到着し、クラリンダとフロリアーナの歓迎を受ける。ルヘーロは王宮へ向かう途中、フアンに彼が不在中の出来事を話して聞かせる。しかしクラリンダとのことをくどくどと語っている間に、フアンは彼がクラリンダと寝たのだと勘違いし、激高する。彼はルヘーロに剣で斬りつけ、重傷を負わせる。

 

 王宮へ着いたフアンは、クラリンダに会って自分の愛情を示そうとする。クラリンダは「あなたはこれまで私に触れようともしなかったのに」と告げる。それを聞いてフアンは、自分が誤解からルヘーロを斬ってしまったことを知る。

 

 フアンはロベルトをつれてルヘーロを探しに戻るが、ルヘーロの姿はない。絶望したフアンは自殺しようとする。ルヘーロは羊飼いのベラルドに介抱されていた。偶然ルヘーロを発見したフアンは、泣いて彼に許しを乞う。

 

 フアンとルヘーロがガリシアから去って3年が経過し、ルヘーロの実母である王太子は心配の余り床に臥していた。ルヘーロの友人エスが使者としてガリシアへやってきて、王太子にイギリスでの二人の様子を知らせる。ルヘーロはフランセリーサと結婚する直前に疫病にかかり、隔離されてフアンのみが彼を看病している。フアンとクラリンダとの間にはすでに二人の子どもがいる。

 

 パエスの話を聞いた王太子は、王太子妃には何も知らせないようにと告げ、イギリスへ向かう。

 

 フアンは、三晩続けて夢の中で「ルヘーロを助けたければ、おまえの二人の子どもの血を飲ませろ」という声を聞き、苦悩する。しかし彼はルヘーロを助けるために子どもたちを犠牲にする決心をする。彼は眠っている子どもたちを手にかけ、その血をルヘーロに飲ませる。

 

 王太子がイギリスに到着する。宮廷の人々は王太子を迎え、「ルヘーロ様が回復しました」と告げる。フアンは回復したルヘーロをつれて王太子の前に現れ、彼を助けるために子どもたちを犠牲にしたことを告白する。しかし、王太子が子どもたちを見せるよう従者たちに命じてカーテンを開けさせると、元気に遊んでいる子どもたちの姿が目に入る。

 

 皆は子どもたちの無事を喜ぶが、フアンが実際に子どもたちを手にかけたことを話したので、イギリス国王は怒り、フアンたちを追放しようとする。フアンはガリシアへ戻る決意をする。しかしアイルランドの脅威を思って考えを改めた国王は、結局フアンを許すことにする。ルヘーロとフランセリーサとの結婚式の準備が行なわれる。

 

 すべての問題が解決したかに思われたが、フアンはその夜、胸騒ぎを覚えて眠ることができない。そこへティバルドの幻が現れ、「手に入れたものの半分をティバルドに譲る」というかつての約束をフアンに思い出させる。ティバルドはクラリンダの身体の半分をよこせと要求する。

 

 フアンはクラリンダにティバルドとの約束のことを話し、ティバルドに彼女を引き渡そうとする。しかしティバルドは「これは、この奇跡の力を増すためにやっただけのことだ」と説明して、彼を制止する。ティバルドは、フアンが彼の借金を返済してくれた時点で十分に神の恩恵が与えられたのだと告げ、彼を祝福する。フアンが観客に挨拶をして幕となる。