Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ロザリオの信心(Devoción del rosario, la)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1604-15年

種類:宗教劇

補足:一時はイスラム教に改宗し妻を持ちながらも、再びキリスト教徒に戻って殉教したイタリアのドミニコ会修道士アントニオ・ネイロト(Antonio Neyrot)の生涯を描いている。アントニオは15世紀に殉教し、福者に認定されている。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  15世紀、地中海ではキリスト教徒とイスラム教徒の戦いが繰り広げられていた。キリスト教徒の軍勢は、北アフリカチュニスの王が率いるイスラム教徒の軍勢を相手に苦戦していた。

 

 イタリアのアンコーナで、ドミニコ会修道士ペドロ・ヘルマン福者ピエトロ・ジェレミアPietro Geremia)は、教皇ピウス2世が天に召されていく幻影を見る。その直後、ペドロの前に軍の司令官と兵士たちが現れ、教皇の死去を告げる。教皇の遺体はローマへ運ばれる。

 

 兵士のひとりアントニオは、軍人をやめて修道士になろうと考える。彼は仲間と別れ、敬愛する聖アントニーノに会うためフィレンツェに行く決心をする。彼の同僚のコスメも同行するが、コスメは修道院で禁欲的な生活をする自信があまりない。

 

 アントニオとコスメは、聖アントニーノの祝福を受けてドミニコ会修道士となる。アントニーノは「ロザリオ(数珠状の祈りの道具)の祈り」をするよう二人に勧める。しかしコスメはその祈りをとなえると眠気に襲われてしまう。

 

 チュニスでは、モーロ人のベセバが自分の軍事的貢献への報酬として、王の姪ローサとの結婚を要求する。しかし王は、自身がローサを妻にしたいと考えており、ベセバをローサから遠ざけようとする。ローサはイスラム教徒の一夫多妻の慣習を嫌い、王の求婚を拒む。

 

 アントニオとコスメは聖アントニーノに別れを告げ、シチリア島へと船出する。

 

 悪魔のルシフェルは、敬虔な人間の魂を地獄に落としてやろうとたくらむ。ルシフェルはアントニオにねらいをつける。

 

 アントニオとコスメの乗った船は、ベセバが率いるイスラム教徒たちに襲撃される。ベセバは乗客のマルセーラを捕虜にする。コスメは船のオールを使って反撃する。

 

 ベセバはアントニオが修道士であるのを見て殺そうとするが、そのときルシフェルが彼に「いま殺せば、彼は殉教者として天国に行ってしまう。それよりも彼を捕虜にしろ」とささやく。ベセバはアントニオとコスメを捕虜にする。

 

 モーロ人アルチマがアントニオとコスメの主人となる。ルシフェルはアルチマの心に、「アントニオがキリスト教の信仰を捨てるようにしむけろ」とささやく。アルチマはアントニオに厳しい体罰を与えるが、彼の信仰心は揺るがない。

 

 ルシフェルは次に、モーロ人の女性アハがアントニオを誘惑するようにしむける。しかしアントニオがロザリオの祈りを唱えると、ロザリオの玉が薔薇の花に代わる奇跡が起き、アントニオを抱こうとしたアハは手に火傷を負って逃げ出す。

 

 ベセバは王にマルセーラを捕虜として差し出し、見返りにローサとの結婚を要求する。しかし王は結婚を許さず、マルセーラをベセバに返すことも拒否する。怒ったベセバは王を非難する。王はベセバを捕えようとするが、彼は逃亡する。

 

 ローサはマルセーラに、イスラム教に改宗することを勧める。しかしアントニオに感化されたマルセーラはそれを断る。ルシフェルは、ローサの心にアントニオへの興味を植えつける。

 

 ローサはアントニオと対面する。ローサはたちまちアントニオに恋心を抱く。アントニオの心にも激しい葛藤が生じる。アントニオは自分自身の恋心と懸命に戦うが、ついに屈し、ロザリオを投げ捨ててローサと抱き合う。

 

 天使が現れ、アントニオが捨てたロザリオを拾い上げる。天使はそれをペドロ・ヘルマンのもとへ届ける。

 

 アントニオはイスラム教に改宗し、モーロ人たちの会合に参加する。そこへ、アントニオの改宗を知ったコスメが怒って乗り込んでくる。モーロ風の豪華な服を着たアントニオを見たコスメは、彼を裏切り者とののしる。王はコスメを捕えようとするが、コスメは逃げる。

 

 4か月が経過し、アラビア語を習得したアントニオは、王の求めに応じてコーランをイタリア語に翻訳しようとする。

 

 アントニオの前に、聖アントニーノとドミニクスドミニコ会創立者)の幻影が現れる。アントニオは我に返り、コーランを投げ捨てて後悔の涙を流す。

 

 「神の救済」の寓意人物が現れ、ルシフェルと争う。「神の救済」は、「アトーチャの聖母像」を出現させ、アントニオに再びキリスト教への信心を取り戻させる。

 

 コスメは、明敏な洞察力のおかげでルシフェルの誘惑を逃れる。彼はアントニオと対面し、彼が再び信仰を取り戻したのを見て喜ぶ。

 

 狩りに出かけた王は、ライオンに襲われたところをベセバに救われる。王はベセバに感謝し、彼と和解する。

 

 モーロ人たちの祝祭が行われ、人々は仮面をつけてダンスに興じる。そこへ修道服を着たアントニオが現れる。王はアントニオが仮装のつもりでその服を着たのだと考えて面白がる。しかしアントニオが自分が再びキリスト教徒になったことを告白すると、王は激怒し、アントニオの処刑を命じる。ベセバとローサとの結婚が決まる。

 

 場面が変わり、チュニスの港でマルセーラとコスメがアントニオの殉教の様子を語る。「アントニオは石で打たれて殺され、遺体に火が投げ入れられたが、奇跡が起きて遺体は燃えずに残った。アントニオの血に染まった石をキリスト教徒たちが拾い集めると、石は手の中で薔薇の花に変わった」。

 

 青いマントを着てロザリオを身につけた聖母マリアが出現する。マリアの足元にドミニコ会の聖人たちとともにアントニオがひざまずいている場面で幕となる。