Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

疑り深い男(Desconfiado, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1614-16年

種類:都会的な同時代劇

補足:マドリードとヘレス(アンダルシアの都市)が舞台となる。同じ女性に恋する父と息子が描かれる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 

  ヘレスに住む老人ドン・フェルナンドは、友人のフルヘンシオに自分の計画を話す。

 

「息子のドン・フアンは頭が良くないので、マドリードの宮廷へ送って教育を受けさせようと思う。フアンは彼の叔父にあたるリサルドの家で生活することになる。そこにリサルドの娘のアナもいるから、うまくいけばフアンとアナを結婚させたい」

 

 フルヘンシオは、フェルナンドがフアンを「頭が良くない」と評したことを不思議に思う。フルヘンシオから見ればフアンはとても頭が良くて、りりしい若者である。

 

 フアンはフルヘンシオの娘ドニャ・レオノールに恋をしているが、父親のフェルナンドもレオノールに恋しているのではないかと疑っていた。フェルナンドがフアンをマドリードへ送るつもりであることを知ったフアンは、父が自分を遠ざけてレオノールと結婚するためかもしれないと考え、悲しむ。

 

 フアンは父親の命令に従い、従者のペドロファビオをつれてマドリードへ向かう。父親から「宮廷で教育を受けるように」と言われたフアンは自分の知性に自信がもてず、宮廷に行くのが怖くなる。ペドロとファビオは「あなたは決して愚かな人ではありません」と励ますが、フアンは彼らの言葉を信用せず、ペドロと服を交換して「ぼくは従者のふりをするから、おまえは主人のふりをしろ」と告げる。

 

 フアンたちはリサルドの家に到着する。フアンの服を着たペドロは、フアンのふりをしてリサルドとアナに挨拶をする。リサルドは甥の粗野な態度を見て驚くが、それは教育が足りないためであろうと推測する。いっぽう、アナはペドロのふりをしているフアンの品の良さにひかれる。フアンは“疑り深いペドロ”と名乗り、自分に自信が持てないことをアナに告白する。

 

 フアンは父のフェルナンドから「まだレオノールと結婚には至っていないが、希望は持っている」という手紙を受け取る。フアンは想像通り父がレオノールに恋をしていたことを知り、レオノールへの思いを捨てることを決心する。

 

 アナにしつこく言い寄っているフェリシアーノという騎士が、フアン(表向きはペドロ)に彼女への手紙をことづける。フアンはそれをアナに渡すが、アナは不機嫌になる。さらにアナは、侍女のイネスがフアンに接近しようとしているのを見て嫉妬する。

 

 アナはフアンに向かって、自分の恋心を遠回しに伝えようとする。フアンは、貴族の女性が従者の男性に恋心をいだくことなどありえないと思い、ペドロかファビオのどちらかが自分の正体をアナにばらしたのではないかと疑うが、従者たちはそれを否定する。

 

 フェリシアーノは、アナに取り入るためにペドロ(表向きはフアン)と親しくなろうと考え、彼になれなれしくお世辞を言う。ペドロはそれを利用して、フェリシアーノから金を巻き上げる。

 

 アナは「父は私をドン・フアンと結婚させようとしているが、私はそうしたくない。この結婚をやめさせてくれる人を自分の夫にしたい」と書いた手紙をフアンにことづけてフェリシアーノに渡す。フェリシアーノはアナに好意を持たれていると思い、喜んで去る。しかしアナの手紙は本当はフアンに向けて書かれたものであった。それを知ったフアンは動揺する。

 

 ヘレスでは、レオノールが結婚を迫るフェルナンドから逃れるために「マドリードの“善き出来事の聖母”の像を拝んでからでないと結婚はしません」と告げる。フェルナンドはフルヘンシオとレオノールをつれてマドリードへ出発する。

 

 アナはフェリシアーノに「もう父が私とドン・フアンとの結婚を決めてしまったので、あなたはあきらめてほしい」と嘘を言って彼を遠ざけようとする。フェリシアーノはペドロ(表向きはフアン)を買収してアナとの結婚をやめさせようとする。金に目のくらんだペドロはそれを了承する。

 

 フアンがペドロを叱っているところへアナが突然現れる。ペドロ(表向きはフアン)はその場をごまかすために「従者が私の金を盗んだので叱っていたのです」とアナに告げる。アナはフアンを助けようと、ペドロに自分の所持金を渡す。さらなる収入を得たペドロはひそかに喜ぶ。

 

 フェルナンド、レオノール、フルヘンシオがマドリードに到着する。レオノールはフェルナンドに「私はあなたではなく、あなたの息子のフアンを愛している」と告白する。フェルナンドはレオノールとの結婚をあきらめ、彼女とフアンを結婚させようと考える。

 

 リサルドの家では、ペドロ(表向きはフアン)とアナとの結婚式の準備が整えられていた。そこへフェルナンドが現れ、従者のペドロがフアンのふりをしているのを見て驚く。ペドロは、フアンに頼まれて主人のふりをしていたことをフェルナンドに告白する。

 

 フェルナンドはフアンとレオノールを結婚させようとするが、フアンがすでにアナを愛していることを知らされ、フアンとアナの結婚を許可する。フアンとアナ、フェリシアーノとレオノール、ペドロとイネスが結ばれて幕となる。