Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

山の火付け人(Del monte sale)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1627年

種類:架空の宮廷劇

補足:フランスのパリが舞台となる。原文のタイトルの意味は「山から出る」であるが、「山の火付け人は山から出る(Del monte sale quien el monte quema)」(害を及ぼす者は身内から出るという意味)という当時のことわざから取られたものであることを考慮して「山の火付け人」とした。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  フランス国王ルドビコは甥のエンリケ伯爵に王子殺害の疑いをかけ、彼を宮廷から追放する。

 

 無実の身で追放されたエンリケは、パリ近郊の村に住む農家の娘ナルシサと恋仲になる。ナルシサは言葉遣いや態度に高貴な雰囲気を漂わせている。ティルソという農家の若者もナルシサに恋をしていて、エンリケに嫉妬する。

 

 パリの行政官マウリシオは、国王に後継者がいないことを心配し、血縁者であるエンリケを許して宮廷に呼び戻すよう国王を説得する。国王はそれを受け入れる。

 

 突然宮廷へ戻るよう命じられたエンリケは、ナルシサに変わらぬ愛を誓ってから別れる。ナルシサはそれを信じるが、ティルソは「王位継承者と村の娘では身分が違いすぎる」と彼女に告げる。

 

 マウリシオの娘セリアは、死んだ王子の恋人だった。セリアは王子を失った悲しみを忘れられず、ロセロ侯爵の求愛を拒否する。

 

 エンリケが宮廷に到着する。ナルシサはひそかにその様子を物陰から見守る。国王とエンリケは和解し、エンリケは貴族たちに歓迎される。セリアは、エンリケが亡き王子とよく似ているので驚く。

 

 セリアとエンリケが互いに興味をもっている様子を見て、ナルシサは嫉妬する。セリアが席を外した後、ナルシサはエンリケに「私を裏切ったら必ず仕返しをする」と告げて去る。

 

 村へ戻ったナルシサのもとへ、エンリケの従者フェリシアーノが訪ねてくる。セリアとエンリケが恋仲になっていると聞かされたナルシサは復讐をたくらむ。

 

 セリアはエンリケとの結婚を望み、そのことを父のマウリシオに告げる。そこへナルシサがやってきて、“リヨンの貴族ドニャ・ソル”と名乗り、「自分はエンリケの恋人で、彼との間に三人の子どもがいる」とセリアに嘘をつく。

 

 ナルシサの嘘を信じたセリアは、激しくエンリケを非難する。エンリケは、セリアにでまかせを言ったのはライバルのロセロだと思い込み、ロセロと会って激しく口論する。

 

 国王はエンリケとロセロの争いをやめさせ、ロセロを捕える。エンリケは逃げる。国王は再びエンリケに不信感を抱くようになる。

 

 ナルシサは、今度は国王のところへ赴いて“マダム・フロール”と名乗り、「妹がエンリケ伯爵にむりやり体を奪われました」と訴える。国王はエンリケが信じられなくなり、彼を激しく叱責する。エンリケは理由が分からないまま、自分の意思で宮廷を去る。

 

 エンリケが去った後、ロセロは夜の闇に紛れてセリアの家へ行く。そこへセリアの父マウリシオが現れ、彼を制止する。マウリシオをエンリケだと思い込んだロセロは彼と戦い、殺害してしまう。

 

 ナルシサの父アルバーノが「おまえは本当は農家の生まれではない」とナルシサに告げて息を引き取る。

 

 エンリケが村へやってきて、ナルシサに再び愛を告げる。しかし彼が宮廷を去った本当の理由を知っているナルシサは、喜ぶ様子を見せない。ナルシサはエンリケに結婚の意思があるかどうかを尋ねるが、エンリケは身分の違いを思って尻込みをする。そこへ警吏が現れ、エンリケをマウリシオ殺しの容疑者として逮捕する。

 

 ロセロとセリアはエンリケの助命を国王に嘆願する。後継者のいない国王はそれを受け入れ、セリアの父親を殺した罪滅ぼしとして、セリアと結婚して彼女を保護するようエンリケに要求することにする。

 

 セリアはエンリケを迎えに行く。エンリケがまた宮廷へ戻るつもりだと思ったナルシサは激怒して、山のほうへ去っていく。

 

 セリアは“ドニャ・ソル”と名乗った女性とナルシサが同じ人物だと気づく。しかしナルシサとの結婚を決意したエンリケは、ナルシサがついた嘘を本当のことだとセリアに思わせ、子どもまで作った自分はセリアとは結婚できないと嘘をつく。

 

 国王が村へ到着し、近くの山が燃えているのを発見する。警吏がナルシサを捕えてくる。「山の火付け人は山にあり」ということわざの通り、犯人はナルシサ(およびその原因を作ったエンリケ)であった。ナルシサは、それまでのすべての事実を告白する。アルバーノの遺言とナルシサの持っていた指輪から、ナルシサの本名はイサベラで、国王の庶子であることが判明する。

 

 国王は娘が見つかったことを喜び、ナルシサとエンリケとの結婚を認める。いっぽうロセロはマウリシオ殺しの罪をエンリケに着せたことを告白し、セリアと結婚する。ティルソはナルシサの友人のフアナと結婚し、山を持参金として与えられる。