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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

いちばんましな不幸(Del mal lo menos)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1604-9年

種類:架空の宮廷劇

補足:イタリアのナポリが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  カスティーリャ王国海軍司令官の甥であるドン・フアン・デ・メンドーサは、ある貴族との争いが原因で祖国を離れ、従者のモンソンとともにナポリへやってくる。ナポリ国王は妻のベアトリス、従妹のカサンドラとともにフアンを歓迎する。

 

 カサンドラはフアンに好意を持つ。しかしフアンは、カサンドラのような身分の高い女性に自分はふさわしくないと考え、遠慮がちに接する。フアンが席を外したすきにモンソンはカサンドラに「フアン様は祖国であなたの肖像画を見たときから、あなたに恋い焦がれているのです」と知らせる。

 

 カサンドラとその友人シルビアがバルコニーに立っていると、ナポリの貴族オクタビオファブリシオが彼女たちに求愛する。そこへ、カサンドラをひとめ見ようと望むフアンが現れる。国王から厚遇を受けているフアンをこころよく思わないオクタビオファブリシオは、カサンドラのような高貴な女性を口説くのは身の程知らずだとフアンを侮辱する。フアンは腹を立てて彼らを追い払う。カサンドラはわざと手袋をバルコニーから落として、フアンに手紙を渡す。

 

 カサンドラは、国王がフアンを気に入ってくれるよう、王妃のベアトリスに協力を依頼する。ベアトリスはそれを受け入れ、国王に向かってフアンの美点を並べ立てる。国王は王妃がフアンに過度の好意を抱いているように感じ、王妃がフアンに恋をしているのではないかと疑いを抱く。

 

 フアンは自分の盾に「私はあなたの手を取るには値しないが、手袋を取るには値する」という意味を含んだ紋章を彫らせる。そのことを聞いた国王は、フアンが高貴な女性に恋をしているのだと推測し、王妃との仲をさらに疑う。

 

 国王はフアンを呼び出し、「我々は同じ女性を愛してしまったようだ」と含みを持たせた言葉を言う。フアンは、国王もカサンドラに恋をしているのだと勘違いをして悲しむ。

 

 フアンがカスティーリャを離れる原因を作った貴族が、再びフアンに戦いを挑んできたという知らせが入る。フアンはその挑戦を受けざるを得ないと判断し、カサンドラに別れを告げる。カサンドラは再び王妃に、二人の戦いをやめさせるよう協力してほしいと頼む。

 

 王妃からフアンを助けるよう依頼された国王は、いっそう妻とフアンとの仲を怪しむが、自分の度量の広さを示すために決闘を阻止してフアンを助ける。(決闘の申し込みは、フアンを妬むオクタビオのでっちあげだったことが判明する。)その後、国王は王妃と彼とを引き離すため、カサンドラをつれて彼女の婚約者であるデンマークのところへ赴くようフアンに命じる。

 

 カサンドラデンマーク王との結婚から逃れるため、フアンと共謀して仮病を使い、出発を遅らせる。国王はフアンがなかなか出発しないのを見てますます王妃との仲を疑い、ついにフアンを殺そうと考える。

 

 狩りに出かけた国王は、フアンと二人きりになると、剣を抜いて彼に事の次第を問いただす。フアンとの会話を通じて、国王は彼が王妃ではなくカサンドラに恋をしていたのだと知る。

 

 国王は、フアンの身分はカサンドラの夫にはふさわしくないと考えるが、彼が王妃と恋仲になることを思えば「いちばんましな不幸」であると判断し、フアンの恋を実らせる約束をする。

 

 国王は、フアンをカスティーリャ国王の親戚だと偽って、彼にナポリ海軍司令官の位を与え、カサンドラと結婚させることにする。そのことを知らないオクタビオは、フアンを陥れるつもりで彼とカサンドラとの恋を国王に報告するが、国王は「二人を結婚させてやるつもりだ」と答える。

 

 デンマーク王が、カサンドラと結婚するためにナポリへやってくる。しかしカサンドラは、自分が愛しているのはフアンだと告げる。事情を知ったデンマーク王は、寛大にもカサンドラとフアンの結婚を祝福する。ナポリ国王によってファブリシオとシルビアの結婚とオクタビオの昇進、モンソンへの報酬が告げられて幕となる。