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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

わが家ではわれが賢者なり(Cuerdo en su casa, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1606-12年

種類:都会的な同時代劇

補足:同時代のことわざに「利口なよそ者より、その家の愚かな者のほうがよく知っている(Más sabe el loco en su casa que el cuerdo en la ajena.)」というものがある。知識よりも経験が重要とされることを意味する。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  プラセンシア(スペイン西部の都市)に住むメンドは、多くの土地を持つ農場主である。彼はある日、密猟者を捕えるために所有地の山へ出かける。

 

 仕事を終えるのが遅くなったため、従者たちは農場にある家で一夜を過ごすことを提案する。メンドは美しい新妻のアントーのもとへ早く戻りたいと考えるが、従者たちの意見に従う。

 

 そこへレオナルドという法律家が現れる。彼もプラセンシアに住んでいて、エルビラという新妻がいる。彼は従者をつれて狩りに出かけたが、道に迷っているうちにメンドたちに出会ったのである。レオナルドはメンドの誘いに応じて、彼の所有する家でともに夜を過ごす。

 

 メンドはレオナルドと意気投合し、翌朝つれだってプラセンシアへ帰る。メンドは、かつて父親とともに炭を売って暮らしていたこと、しかしアントーナと結婚したことにより、彼女の父親の所有する家と土地を相続して裕福な暮らしができるようになったことをレオナルドに話す。

 

 自分は学識と礼節を身につけた人間であると考えているレオナルドは、純朴なメンドを見て「田舎の習慣を捨てて、都会人らしい上品さを身につけた方がいい」と助言する。

 

 アントーナとエルビラは、それぞれ夫の身を案じて待っていた。司教の甥であるエンリケフェルナンドは、彼女たちを口説こうとするが、失敗する。

 

 自宅に戻ったメンドは、外泊したわけをアントーナに説明し、これからしばらくレオナルドの家へ頻繁に通うつもりだと話す。アントーナはメンドがエルビラに恋をしているのではないかと疑い、二人は喧嘩を始める。

 

 レオナルドとエルビラがやってきたので、メンドとアントーナは喧嘩を中断して彼らを迎え入れ、食事と飲み物をふるまう。レオナルドは、メンドの家にりっぱな椅子がないことや、食べ物や飲み物が田舎のものであることを批判する。メンドは次第にレオナルドのお説教を聞くのに疲れてきて、「ぼくの家ではぼくのほうがまともで、きみのほうがおかしいのだ」と反論する。

 

  メンドとレオナルドの交流は、その後も続く。エルビラは夫がアントーナに恋をしているのではないかと疑い、嫉妬する。

 

 エルビラは、わざとフェルナンドに気があるふりをしてみせる。レオナルドはそれを見て怒り、二人は喧嘩になる。

 

 アントーナも、メンドがエルビラに恋をしているのではないかと疑い、嫉妬する。メンドはそれに反論し、二人は喧嘩になる。

 

 メンドとレオナルドは、家に妻を置いて遊びに出かける。フェルナンドはそのすきにエルビラを口説き、エルビラはレオナルドへの仕返しのために彼に応じるふりをする。

 

 エンリケもアントーナを口説くが、アントーナはなびかない。しかしメンドが急に帰宅したので、アントーナは夫に誤解されることを恐れてエンリケを物陰に隠す。メンドはそれに気づいてアントーナを疑うが、従者のヒローテがアントーナの潔白を証明したので事なきを得る。

 

 アントーナは妊娠する。レオナルドは、それなりの身分の人物に子どもの名付け親になってもらうことをメンドに勧めるが、メンドはヒローテを名付け親にすると主張し、「他人の家に口出しをするより、自分の家に気を配った方がいい」とレオナルドに忠告する。メンドは洗礼式のためにエルビラがアントーナに贈った上品なショールも、農業を営む自分たちにはふさわしくないと考え、アントーナから取り上げてしまう。

 

  エンリケは、子どもの洗礼式が行われているすきをねらって再びアントーナを口説こうとするが、失敗する。いっぽうフェルナンドは、レオナルドがエンリケと遊びに行ったすきをねらってエルビラを訪問する。しかし偽りの恋に飽きたエルビラは彼を拒否する。

 

 エンリケが不慮の事故で怪我をしたために、レオナルドが突然帰宅する。エルビラはあわててフェルナンドを寝室に隠すが、レオナルドにばれてしまう。レオナルドは彼らを寝室に閉じ込めて、メンドの家へ相談に行く。

 

 メンドは「血をもって復讐するしかない」と助言し、レオナルドは不義を犯した妻と愛人を殺しに行く。しかしメンドは、先回りをしてレオナルドの家に行き、エルビラがほんとうは不義を犯していないことを知る。

 

 メンドは、レオナルドがフェルナンドの顔を見ていないこと、レオナルドの従者のモンドラゴンとエルビラの侍女レオノールがつき合っていることを利用しようと考える。彼はエルビラの寝室にモンドラゴンとレオノールを潜ませておく。

 

 レオナルドが妻の寝室に踏み込んだとき、彼が見たのは妻と愛人ではなく、彼の従者と妻の侍女だった。モンドラゴンとレオノールは、主人の留守を利用して恋人との時間を過ごしていたのだと告げる。

 

 レオナルドとエルビラは仲直りをする。モンドラゴンとレオノールは結婚する。メンドが「自分の家だけではなく、他人の家でも賢者である」ことが証明されて幕となる。

 

 

lopedevega.hatenablog.com