Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

天地創造、および人類の最初の罪(Creación del mundo, y primer culpa del hombre, la)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1631?-35?年

種類:宗教劇

補足:旧約聖書『創世記』の内容にもとづいている。また、アダムの息子カインが子孫のレメクの射た矢にあたって死んだという伝説も物語に取り入れている。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 天使ルキフェル大天使ミカエルに、自分が神と同等、あるいはそれ以上の者になりたいと望んでいることを告白する。ルキフェルの説明によれば、神は神自身に等しい力と美しさと価値をもつ存在として彼を創造したのである。

 

 ミカエルはルキフェルの尊大な態度を改めさせることに失敗し、その結果、ルキフェルは天から追放される。悪魔となったルキフェルは、神が泥の塊から最初の人間アダムエバを創造する様子を見る。自分を罰した神に復讐するため、ルキフェルは人間たちを破滅させようと考える。

 

 アダムはエバに、神のことを教える。神は七日間で世界を創造し、人間の住処として実り豊かなエデンの園を与えた。そこでは永遠に生きることができるが、ある果実を食べると死んでしまうので、それだけは決して食べてはならない。

 

 エバは好奇心にかられて、禁じられた果実のなる樹に近づく。すると謎めいた声がエバを誘惑する。エバは果実を食べれば神のような知識を得られると信じ、それを食べる。エバはアダムにも果実を食べるよう促す。アダムはエバへの愛情ゆえに神の命令にそむき、それを食べる。二人はそれまで裸であることを気にしないでいたにもかかわらず、急に恥ずかしさを覚えて体を覆い隠す。昼が終わり、夜になる。アダムは、光が失われたのは神の怒りによるのだと考える。

 

 40年後、アダムとエバはカインアベルという二人の息子とともにヘブロンの谷に住む。アダムは神の怒りが鎮まったのではないかと期待し、エデンの園へ戻ってみる。しかし園の入口には大天使ミカエルが立ち、エデンの園に入ってはならないと警告する。

 

 カインは、両親が犯した罪のために自分たちが置かれてしまった状況を嘆く。さらにルキフェルは、カインの心にアベルへの妬みを生じさせる。アベルは羊を飼い、カインは土を耕していたが、カインはアベルの仕事の方が自分の仕事よりも楽だと考えるようになる。

 

 アダムは、神の怒りを鎮めるために最上の捧げものをするよう息子たちに助言する。アベルはすぐに純白の羊を神に捧げるが、カインはできの良い穀物を捧げることを渋る。カインはようやく麦を一束捧げ、神が満足することを願うが、反応はない。いっぽうアベルが捧げた羊は神の起こした炎によって焼かれる。カインは自分が神から拒絶されたと感じる。

 

 カインはアベルを妬み、彼を襲って殺す。最初の殺人者となったカインは自らの罪を恐れ、アベルの死体を隠す。しかし死体はアダムに発見される。アダムはアベルの死をエバに知られまいとするが、アダムの涙を見てエバは事実を知る。

 

 アダムとエバは、カインが邪悪で傲慢な人間になったことを嘆く。大天使ミカエルが現れ、神がアベルを教会の最初の殉教者と認めたことを彼らに告げる。さらにミカエルは未来の重要な事柄に関するもの、すなわちノアの方舟バベルの塔聖母マリアを彼らに示す。

 

 ルキフェルはカインを自分のしもべにしようと考える。アダムとエバは、神にゆるしを願うようにとカインに助言するが、傲慢なカインは両親の助言を無視して去る。

 

 アダムとエバの前に、彼らの孫レメク(聖書ではアダムから数えて7代目)が現れる。彼は武器の発明者で、世界を分裂させ、諸国を武力で統治させたいと望んでいる。彼は狩りに行くと告げて、祖父母の前から去っていく。

 

 つづいて、アダムとエバの息子ユバル(聖書ではレメクの息子)が現れる。彼は音楽の発明者である。彼はアダムとエバに、「今朝、私が乾かしていた太鼓の皮を猿が破ってしまいました。私は罰として猿を殺し、その皮を太鼓の皮に使いました」と告げる。

 

 最後に、アダムとエバの三男セトが現れる。彼は天文学の知識を披露し、それを世に広めるつもりだと告げる。

 

 彼らの前にカインが現れ、そのまま山のほうへ逃げていく。ユバルはカインの姿を見て、自分が殺した猿の親だと思い込み、子どもを殺された仕返しをされるのではないかと恐れる。そこへ、狩りをしているレメクが現れる。ユバルは彼に、猛獣が茂みに隠れていると教える。レメクは茂みに向かって矢を射る。

 

 ルキフェルは、レメクの射た矢がカインの体を貫くよう仕向ける。大天使ミカエルはルキフェルの行動を非難する。人間に罰を下す権利も、栄光を与える権利も、神のみが持っているのだとミカエルは告げる。

 

 ユバルは、アダムとエバにカインの死体を見せる。エバはカインを埋葬しようとするが、ルキフェルは「新しい世界(地獄)の最初の果実」としてカインの死体を奪っていく。

 

 アダムが観客に向かって、これが「かくも多き災いの始まりとなった原罪の物語」であることを告げて幕となる。

 

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フアン・デ・ゴーニあるいはミゲル・デ・タラゴーナ

《盲目のレメクに矢を射られるカイン》1550年頃

ナバーラ美術館

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