Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

落ちた王冠とモーセの杖(Corona derribada y vara de Moisés, la)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1597-1603年?

種類:宗教劇

補足:旧約聖書出エジプト記』の物語を扱ったもの。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 エジプトのファラオは、国内で生まれたイスラエル人の男の赤ん坊をすべて殺すよう命じる。イスラエル人の夫婦アランヘサベル(聖書ではアムラムとヨケベド)は、彼らの息子を殺さず、籠に入れてナイル川に流す。籠は王宮へと流れつく。

 

 ファラオの娘テレムセスが、籠に入った赤ん坊を発見する。父の後継ぎを産めないことで悩んでいたテレムセスは、拾った赤ん坊を神からの授かりものと信じ、モーセと名付けて育てる決心をする。ファラオも、テレムセスの夫もそれに賛成する。それを知ったイスラエル人の家臣ダタンアビロンモーセを妬む。

 

 モーセの実の姉であるマリア(聖書ではミリアム)は、ひそかにテレムセスがモーセを拾ったのを見届け、彼女にモーセの乳母としてヘサベルを紹介する。ヘサベルは実の息子モーセの乳母となり、彼を育てる。

 

 少年になったモーセは、自分の血筋に疑問を抱く人々がいることを知って憤慨する。ファラオはモーセを慰め、月桂樹の冠を彼にかぶせてやる。そのときモーセに「エジプトの富はおまえにふさわしくない」という声が聞こえる。モーセはその声に従って冠をはずし、ファラオの足元に置く。ファラオはモーセの行動に不安を感じ、ダタンとアビロンに助言を求める。彼らはモーセに反逆の兆候があり、いずれファラオは彼によって王冠を落とされるであろうと主張する。彼らの考えを受け入れたファラオは、モーセを捕えて生贄にするよう命じる。

 

 テレムセスは父に逆らい、みずから武器を持ってモーセの命を助ける。娘の行動に心を動かされたファラオは、自分の行動を悔いる。

 

 逞しく成長したモーセはエジプト軍の優秀な司令官となり、シェバで起きた反乱を鎮圧してエジプトに凱旋する。

 

 アランとヘサベルはモーセに、自分たちが彼の実の両親であり、モーセイスラエル人であることを告げる。モーセは驚きつつも、その事実を受け入れる。

 

 イスラエル人の奴隷レビとその妻ロセリアが、エジプト人から屈辱的な扱いを受ける。それを見たモーセは怒り、そのエジプト人を殺す。ダタンとアビロンはモーセがエジプトの民を殺したとファラオに知らせる。モーセは実の両親に別れを告げて、ミディアンの地へと逃亡する。

 

 モーセは牧人エトロのもとで働くことになる。数年後、モーセはエトロの娘ツィポラと結婚し、エリエゼルゲルショムという二人の息子を得る。ある日、モーセは柴の中に燃え上がっている炎を見る。彼が近づくと、「エジプト人の奴隷となっているイスラエルの人々を解放せよ」という神の声が聞こえてくる。

 

 神はモーセに、不思議な杖を与える。モーセがその杖を地に投げると、杖は蛇に変わる。モーセには吃音があり、うまく話すことができないため、神は彼の兄弟のアロンをともなってファラオのもとへ行くよう命じる。

 

 モーセのもとへゲルショムがやってきて、エリエゼルが天使によって空へ連れていかれてしまったと告げる。モーセが嘆いていると、天使がやってきて「息子を助けたいのなら、割礼を受けさせるように」と言って彼にエリエゼルを返す。ツィポラが息子たちに血を流させるのをためらい、割礼を受けさせなかったことを知ったモーセは、ツィポラを叱って息子たちに割礼を施すよう命じる。

 

 モーセの兄弟アロンがやってきて、イスラエルの民が受けている苦しみを知らせる。モーセはアロンとともにエジプトへ戻り、戦闘の末、レビやロセリアをはじめ囚われていたイスラエル人たちを救い出す。イスラエル人たちの歓喜の声とともに幕となる。

 

f:id:lopedevega:20170426180921j:plain

パオロ・ヴェロネーゼ

《河から救われるモーセ

1580年頃

プラド美術館

https://www.museodelprado.es/